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執筆者の写真ゆかり

Vol.15 北海道在住きょうこさん(ステージ1、エストロゲンとHER2陽性の乳がん)

*ポッドキャストの内容を書き起こして記事にしています。読みやすさを優先して微編集を加えています。 *内容は、ポッドキャスト収録時点の話です。収録と配信までにはタイムラグがありますのでご了承ください。




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こんちわ(根治の輪)第15回のゲストは、北海道在住のきょうこさんです。現在35歳で旦那さんと5歳になる娘さんと3人暮らしです。フリーランスで広報の仕事をされていらっしゃいます。


2022年10月にステージ1の乳がんを告知されました。エストロゲンが陽性、HER2陽性の乳がんです。左胸の全摘手術、術後の抗がん剤治療を経て、現在は分子標的薬と同時並行でホルモン治療のタモキシフェンを服用されています。


大好きなキャンプの話、最初は良性だと言われたしこり、死産した息子さんのためにも治療を前向きにがんばろうと思えた話、フリーランスになったことで治療に専念できたこと、妊孕性温存療法、治療に対する理解と納得の違い、自分の人生の延長線上に絶対死があると感じたことで変わった人生観、月2回開催のお話会についてなど、たくさん伺いました。


きょうこさんのインスタアカウントは、@kyoko__mindです。


それでは、北海道在住きょうこさんの乳がんストーリーをお聞きください。

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ゆかり:こんちわ(根治の輪)のゲストは、きょうこさんです。北海道にお住まいですね。よろしくお願いします。


きょうこ:よろしくお願いします。


ゆかり:そう、きょうこさんは最近キャンプから帰ってこられたばかりなのかな?


きょうこ:そうです。先々週ですかね、はい。3連休だとちょっと混むから、その前の平日からちょっといい場所を陣取ろうと思って。湖が見られるキャンプ場だったんですけど。


ゆかり:テントを張って、ご飯も作ってみたいな。


きょうこ:そうです。全部自分たちで。コテージとかもいいんですけど、自分たちで立てたテントで寝るっていうのがなんかすごく好きで。


ゆかろ:けっこう家族で行くのは慣れっこ?これまでもやってらっしゃる?


きょうこ:そうですね。キャンプにハマったのは2年くらい前なんですけど、もともと虫が嫌だからキャンプ行かないって(笑)。絶対嫌だ、なんで虫と一緒に寝なきゃいけないのって(笑)。


でも、旦那が行きたいってなって、じゃあ試しでって行ってみたら朝の爽やかさとか、自分たちで作るご飯で外で食べる気持ちよさとかを味わっちゃうと、もうやめられなくなっちゃって(笑)。


毎年行ってます。今年は抗がん剤の治療があったから2回しか行けなかったんですけど。


ゆかり:今年2回ってこと?普段はもっと行ってるんですか?


きょうこ:普段は2週間に1回とか、去年とか行ってました(笑)。


ゆかり:すごい、そんな頻度で行っちゃうんだ。しかも、これから自己紹介をしていただくんですけど、北海道にお住まいだから大自然とかもいろいろあるのかなって。


きょうこ:そうですね。今回は湖でしたけど、山が見えるキャンプ場とかもあるし、それこそ山の中、木がいっぱいあるところもあるし。


わたしは地元は北海道なんですけど、前は宮城県に住んでたので、戻ってきてから2年くらい経ってるんですけど、なのでまだまだ北海道のキャンプ場もこれから開拓していこうかと。


ゆかり:素晴らしい。きょうこさんのインスタグラムのプロフィールに、家族と好きなとこに好きな場所に好きなだけ行くことが人生目標って書かれてるので、まさにそれを実行されてるって感じですね。


きょうこ:そうですね。


ゆかり:じゃあ、順番が逆になったんですけど、きょうこさん、自己紹介をお願いしても良いでしょうか?


きょうこ:はい、わかりました。わたしは北海道在住のきょうこと言います。家族は夫と5歳の娘の3人家族で、年齢は今35歳で今年36歳になる年です。


もともと大学卒業後からずっと旅行会社に務めてて、それぐらいどこかに行くのが大好きっていう感じなんですけど(笑)。去年、会社を退職しまして、今はフリーで在宅で広報の事業をやってるって感じですね。


ゆかり:そっか。お仕事、それは乳がんになられたことをきっかけに治療に専念するためにも社員という形はやめてフリーになったってことなんですかね?


きょうこ:そうですね。厳密に言うと、乳がんがわかる前に妊娠してたんですけど、2人目を妊娠してたんですけど死産してしまって。その死産をきっかけにやめたんですけど。


その1ヶ月後くらいに乳がんがわかったっていう感じで、仕事をやめた1ヶ月後に。どのみち辞めてたかもっていう。


ゆかり:でも、お仕事の仕方っていう意味ではフレキシブルだし、仕事の安定するしないみたいな、わたしもずっとフリーでライターをやっていたので収入面の不安定さはあるけれども、でも、気持ち的に楽じゃないですか?


きょうこ:わたしはほんとストレス、時間に追われる、時間の束縛がすごくストレスだったので。それのせいで娘になんだろう、あまり優しくできなかったちろか、ちょっとしたことでイライラしちゃったりとか、そういう自分にも自己嫌悪だったりとか。


そういうのがすごく自分の中でもストレスだったなーって思ったので、やっぱり今時間にゆとりがあって今日も朝散歩してきたりとか。


ゆかり:そうですよね。その時の気分の赴くままにできるのも。


きょうこ:病気になってわかるけど、ストレスを抱えないっていうのはすごく大事だなって思って。


ゆかり:わかります、そうですよね。


えっと、ちょっと話してくださったんですけど、そもそも乳がんの発見に至った経緯を伺ってもいいですか?


きょうこ:はい、わかりました。もとのもとを言うと、わたし祖母がですね、乳がんで亡くなっていて。49歳という若さで亡くなってたので、わたしはおばあちゃんに会ったことがないんですけど。


乳がんっていう病気が他の病気よりも身近というか、小さいときからおばあちゃんが乳がんだったっていう意識があったから、なんか自分ももしかしたらみいな意識が漠然とあったんですよね。


でも、さすがに20代とかはならないだろうって思っちゃってて。今思うとそういうこともないんですけど。検診とか20代の頃とかは言ってなかったんですけど。


でも娘を31歳になる年に産んで、そのとき、会社員だったから育休に入ったんですね、そのまんま。育休中は、子どもを預けるのも大変だし、会社の健康診断とかも行かなくなっちゃって。


で、そのときは何もチェックとかしてなかったんですけど。育休開けて初めて健康診断に行くってなったときに、乳がん検診のオプションをつけたんですね。30も超えたし、一応やってみるかって。


で、エコー検査だけ受けたら、その時は左胸がB判定っていう、まあなんだろう、経過観察みたいな感じでひっかかるというか。っていう感じだったんです。で、ん?と思ったけれど、経過観察だし、娘も母乳で育ててたから詰まってるとかそういうのが残ってるんだろうくらいに思ってたんです。


1年後にもう一回受けたら、そしたらもうH判定、要精密検査みたいな感じになっちゃって。え?みたいな。近くのクリニックに行って、そしたら乳がんって診断された感じだったんです。だから、今思うと、B判定の時点で行ってたらもっとあれだったのかもしれないですけど。


だから、自分で触ってしこりがわかって病院に行ったっていう方もけっこういると思うんですけど、わたしは自分で触っても全然わからなかった人で。乳がんってわかって先生にここにあるよって言われてもわからなかったくらい。検診を受けておいて良かったってすごい今は思ってるっていう感じですね。


ゆかり:乳がんがわかったのは何年前だろう?


きょうこ:去年、2022年の10月に告知を受けたんですよね。


ゆかり:ちょうどもうすぐ1年ってことですよね。じゃあ、おばあさまも乳がんになられてたし、だからこそ、ご自身も検診をちゃんと受けてらした。でも、まさか自分が乳がんに、しかも若くしてなるとは思わないですよね。


きょうこ:思わなくて。一応って、30超えたらから一応で受けただけなのに、え?まさか?って思いました。


ゆかり:乳がんのタイプとかその時のステージは何でした?


きょうこ:わたしはHER2陽性なんですけど、ルミナルHER2っていうんですかね。ホルモンも陽性、エストロゲンだけ陽性なんですけど。ホルモン陽性、HER2陽性。で、見つかったときはまだステージ1でした。


ゆかり:ほんとじゃあ理想的、ある意味。もちろん乳がんにならないに越したことはないんだけども、早期発見だったって言う意味では。乳がんがわかったタイミングは、ご妊娠されてたんでしたっけ?


きょうこ:えっとですね、健康診断を受けたときに妊娠してたんですよ。で、クリニックに焦って行ったときは妊娠していて。で、実は最初にクリニックに行ったときは良性って言われてたんですよ。


ゆかり:しこりが良性だと。


きょうこ:しこりは良性だって言われてて、で、良性だから3ヶ月後くらいにもし大きくなってたら良性でもとったほうがいいから、3ヶ月後くらいに一応見せてにきてっていう感じで言われたんですよね。


で、まあ良性なら別にいいかと思ってたんですけど、でもその3ヶ月後っていうタイミングがちょうど死産をしてしまったタイミングだったから、再検査に行く心境じゃなくって。


だけど、このまま放置しててもなーって感じで思ってて。で、大きくなってたら怖いしと思って10月にもう一回再検査に行ったら、そのときはもう妊娠してなかった状態なんですけど、マンモグラフィとかもして見え方が変わってるって言われて。そこでわかりました。


ゆかり:ちなみに、最初のクリニックがしこりを良性だって判断した基準、何をもってそう言われたんですかね。


きょうこ:なんか、しこりの見え方がはっきりくっきり見えたらガンの可能性が高いけど、堺がぼやけてたら良性の場合が多いみたいな感じで。けっこう触ってくれたりもしてたんですけど、あ、これは良性だねって言われて。そのときはホッとして、良かったと思ってたのに。


ゆかり:インスタにもきょうこさんは詳細に上げてくださってるんですけど、死産をされてそれで乳がんがわかってっていう一連のことがあって。


乳がんも、最初は検査も今はそれどころじゃないって感じだったけれども行こうってなって、なんか捉え方が変わったというか、っていうお話をあげられていて。そのことをきょうこさんの言葉で改めて聞いてもいいですか。


きょうこ:もちろん大丈夫です。検査に行こうって思った10月に行かなきゃって思ったのも、なんかこう不思議となんですけど、朝すごく早く起きたタイミングがあって。


で、そのときたまたまインスタに乳がんの方が出てきて、なんか行かなきゃみたいな。良性だから大丈夫だと思ってたはずなんだけど、行かなきゃって気持ちになって、その日のうちに再検査の予約をしたって感じだったんですけど。


それで、検査を受けて、エコーの時点で見え方が前と全然違うよって言われて。結局、針生検とかも全部してガンですってわかったんですけど。


見え方が前回と全然変わってたのは、妊娠して死産したから、ちゃんとこのタイミングでハッキリ見えたってことを言われた時に、あ、なんかお腹の息子はこれを伝えるためにきてくれたのかなっていう風にその時に思っちゃって。自分の捉え方なんですけど。


自分の捉え方としてはそういう風に思えたから、すごいそのとき息子に感謝したし、ステージ1で、もし妊娠が継続してたらもしかしたら変わってたかもしれないし、わかんないですけどそんなのは。


やっぱり教えてくれるためにきてくれたのかなーなんてちょっと思ったり。自分の中ではそういう風に捉えて、だから病気のこともだからこそ前向きにというか。教えてくれて命を助けてくれたから、前向きに治療しようって思えたって言うのはあるかなって思います。


ゆかり:早く直して生きるよっていうことですよね。


で、これはたぶん乳がんになって人によって捉え方はいろいろだと思うんですけど、乳がんになってしまったことをどこかで自分のせいみたいに思ってしまう人ってたぶんいらっしゃって。


死産されたこともそうだし、それもやっぱりママとしては自分が何かをしたからかとか、しなかったからとか、乳がんになったことも同じように自分を責めてしまうっていうのがあると思うんですけど、それはたぶんきょうこさんもそういう風に感じたって書かれてて。


それをどういう風に切り替えたというか、どういう風に考え方を変えられた感じですか?


きょうこ:そうですね。やっぱりお腹の子の死産については、仕事をそのときは会社員でやってたんですけど、ほんとにつわりも我慢しながら片道1時間半くらいかかるところまで通ってたりしてて。で、実際ちょっと出血しちゃったり切迫流産って言われたりもしたんですよね。


それくらい自分の身体に無理をさせてしまったんだなっていうので、自分を責めたりもしたんですけど。だけど、息子の死産については都合よく解釈したって言われたらそうかもしれないけど、きっとガンを教えるためにきてくれたんだって思って切り替えられたっていうのはあります。


逆にガンがわかってショックだった反面、死産に対する気持ちはそこでちょっと変わったっていうか。


ガンは、やっぱりストレスをずっと抱えていた自分に、なんだろうな、自己犠牲がけっこう多かったので、そのつけがきたというか。自分を大事にしなかったせいだって言う風に思ったんです。だけど、きっとこの年で乳がんになったっってきっと何か意味があるんじゃないかっていう風にだんだん思ってきて。


じゃあ、今できること、この年で乳がんになったからこそできることをこれからやっていって、がんになったことをなんだろう、言い方は悪いですけど正解じゃないですけど、なったことを人生のプラスにむしろできるようにしていこうっていう風に気持ちが変わっていって。で、今はそんな風に思っています。


ゆかり:ほんと逆境をバネにするじゃないですけど。


きょうこ:うん。そうですね。それでも息子の存在は大きいですね。命を助けてもらったから、わたしにじゃあ世の中でできることをやろうって思ったりもするので、それが原動力になってるかもしれないですね。


ゆかり:今はきょうこさんはどの治療の段階なんでしたっけ。


きょうこ:そうですね、今はHER2陽性なので分子標的薬のハーセプチンとパージェタの2つを点滴して、同時並行でホルモン治療のタモキシフェンを毎日飲んでるって感じですね。


ゆかり:ホルモン治療はどれくらい飲むって決まってるのかな?


きょうこ:長くて10年、もしかしたら5年かもしれないって先生も迷ってるって。


ゆかり:もう手術はされてるんでしたっけ?


きょうこ:はい、わたしは手術が先だったんですよ。


ゆかり:じゃあ、手術をした後に一連の治療をされていて、で、任用性の温存治療もされたんですよね。それはどのタイミングでしました?


きょうこ:わたしは手術の後に抗がん剤っていう流れだったんですけど、抗がん剤の前に8週間の猶予があるって言われて。その8週間の間に妊孕性温存を2回やりました。


ゆかり:わたしは知識がないんですけど、きょうこさんのご存知の範囲とご経験の中でどういうことを具体的にするんでしょう?


きょうこ:毎日ホルモンの注射を打ちに行って。卵胞を育てる注射を毎日土日も欠かさず打ちに行って。排卵する前に採卵っていうのをするんですけど、採卵は卵巣に針を刺して一個ずつ卵子をとっていくっていうのを。


ゆかり:ってことは、妊孕性温存イコール、えっと、なんだっけ、ケモブレイン。


きょうこ:あるあるですね(笑)。


ゆかり:卵子をとる。


きょうこ:卵子をとって、その後、精子をふりかけるとか顕微授精とかいろいろあるんですけど、やり方が。


ゆかり:じゃあもう受精卵まで作っちゃってあるってことですか?


きょうこ:そうですね、希望によるんですけど、卵子だけ凍結することもできますし、わたしは受精卵までしました。


ゆかり:そうなんですね。わたしも子どもを体外受精で産んでるので同じプロセスで受精卵を戻してみたいな感じだったので。ご存知だったらですけど、乳がんの一連の治療が終わります、ホルモン剤はまだ飲み続けます。で、どのくらいのタイミングから妊活をしてもいいっていうのってあるんでしょう?


きょうこ:今も先生とお話をしてる最中ではあるんですけど、先生としては3年は最低でもホルモンのタモキシフェンを飲んで欲しいって言う感じで、3年過ぎたらその後どうするか、まあ、結局わたしに委ねられるんですけど。


先生がいいよとは積極的には言えないので、何かあってもっていうのはあるので。結局わたしが全部決めなくてはいけないんですけど、最低3年はっていう話にはなってます。


ゆかり:でも、年齢的にはたぶんわたしが次男が産んだ年齢かな。きょうこさんの3年後だったら。うまくいくことを願っています。


きょうこ:はーい。


ゆかり:そう、きょうこさんは抗がん剤治療はEC療法でしたよね?で、これも投稿から拝見したんですけど、主治医の先生に治療方針の話をしました。それで、先生のいうことだからって治療をそのまま開始してしまったけれど、「納得」と「理解」の違い。


きょうこさんは、治療方針を理解はしたけれど、ご自身のなかで納得できてはいなかったと話をされていて。それって、確かになって。わたしも今までやった治療を納得してるかっていうと、どっちかというと専門の先生が言うことだからやりますって感じでやってるところのほうがもしかしたら大きくって。


あれ、それ違うなって気づいたのは何がきっかけだったんですか?


きょうこ:そうですね。違うというか、EC療法をわたしは2回目で逃げ出してくなるくらい副作用がしんどかったんですよね。で、これ、ほんとにやらなきゃいけないの?みたいな疑問が湧いてきちゃって(笑)。


これをやらない方法は何かないのかなって。何か先生に言えることないかな、材料探そうみたいな感じでけっこう検索してしまって。


そこでたまたま、同じタイプの、同じタイプといっても皆さんそれぞれ違うんですけど、同じタイプでステージ1の方でEC療法をやらなかっていう方とか、あと最近はECを選ばないお医者さんもけっこう増えてるみたいな話を見てしまったので。


EC療法はやらなくて良かったやつなんじゃないの?みたいな思いが湧いてきてしまって。でもこれって治療中じゃなくって、治療前に調べておかなきゃダメだったなって言うのをその時すごく思ったんですよね。


ECを2回打ってるのに、じゃあこれやめましょうかって言っても、もう2回打ってるじゃないってなるので。それは先生の言うことを、先生を信頼しているからではあるんですけど、ま、全部その通りにあ、やりますやります、副作用はこうなんですねみたいな感じで頭の中で理解はしても、ちゃんと自分でこれをやるぞ!やるよ!みたいに自分自身で落とし込めてなかったっていうか。


最初にそれを調べてれば、先生に事前に質問できた。わたし、どうしてこれをやらなきゃいけないんですか?とかって聞けたなーと思って。


ゆかり:でも、結果的に2回目以降も…ECは4回とかだったのかな?


きょうこ:そうです、4回です。


ゆかり:全部やられたんですか?


きょうこ:やりました。


ゆかり:それは先生の話を聞いて納得できたから?


きょうこ:そうですね。先生に言ったんですよ。わたし、これやる必要あったんですか?って(笑)。


ゆかり:今さらですけどみたいな(笑)。


きょうこ:先生はすごく話を聞いてくれる先生なので、そっかみたいな感じで。もちろん、僕はECをやらない方法も知ってて、だけど、あなたの年齢的にもこれから何十年ってあるから、今までのエビデンス、本当にがん細胞を最大限にやっつけられる方法だって判断したからこれをやってるっていう風に言われたので。


あ、先生もいろいろ考えた上でこの方法にしてくれたんだなっていう風に、先生の思いっていうのも伝わったし、これから何十年があと2回で変わるかもしれないって思ったら、あと2回がんばろうって思えたので。


ゆかり:じゃあ、そのきつかった副作用は回数を重ねるごとにひどくなった?それともどうでした?


きょうこ:ECに関しては、なんか毎回同じパターンで。そこまでひどくなるとかはなかったですね、最初から辛かった(笑)。


ゆかり:最初から最後まで辛かった(笑)。具体的にどんな副作用でした?全部出ました?


きょうこ:わたしが一番辛かったのは倦怠感だったんですけど。倦怠感って副作用のところにそんなに重要なところに書いてないっていうか。


倦怠感がほんとにすごくって、体が沈み込むくらいに重くて、フラフラして字も書けないくらい。娘の幼稚園の連絡網も書けないくらい、身体がいうことを聞かないっていうんですか。10日間くらい寝込んでましたし、家事も何もできなくて。吐き気とかもありましたけども、実際に吐くってことはなかったので。倦怠感ですね、わたしは。


ゆかり:あと、眠れなかったっていうのはECのときですか?


きょうこ:ECのときからなんですけど、動悸がすごくて。動悸がずっとバクバクして興奮状態みたいな感じになっちゃってて、それでもう全然眠れなくって。


それからECの後にドセタキセルっていう抗がん剤もやったんですけど、それでも眠れなくて。結局抗がん剤中は、ほとんど1時間とか2時間とか、無睡の日もありました。


ゆかり:すごいですね、それで耐えたって。


きょうこ:そうなんですよ。だから、倦怠感で辛いのか、寝不足で辛いのか(笑)。・


ゆかり:マックスですね。でも、その眠れないのは、だからといって先生に何かを処方してもらえるわけでもなくって感じなのかな?


きょうこ:一応それは先生に言って、睡眠導入剤みたいなのをもらったんですよね。最初、コンスタンっていう薬をもらって飲んでたんですけどあんまり効果が感じられなくて。


で、次にデイビゴっていう薬をもらったんですけど、それをもらったときは入眠はできるんですけど、結局2時間とか4時間で起きちゃって睡眠時間自体はあんまり変わらない。


で、さらにだんだん使っていくうちに金縛りに会うようになってきて。こわい、やめようって思って。


ゆかり:そうなんですね。そっかそっか。最近は寝られるようになった?


きょうこ:そうなんです。それこそ、キャンプに4泊5日でホテルとかキャンプとか行ってきたんですけど、その後から爆睡できるようになって(笑)。


ゆかり:自然の力だ(笑)。


きょうこ:自然の力なのかなーと思いましたけど。抗がん剤が抜けてるからなのか、どっちもなのかもしれないですけど、逆に眠くて眠くてたまらなくて。家で娘と一緒に寝落ちみたいな。


ゆかり:いいですね(笑)。これまでの分も寝る。


きょうこ:そうですね。


ゆかり:そうなんですね。そっかー。今、娘さんの話が出てきましたけど、その倦怠感だったり眠れてなくて朦朧としてる中で、子育てとの両立はどうされてたんですか?サポートとかありました?


きょうこ:そうですね。サポートがないとほんとにやっていけなかったんですけど。もちろん夫にもサポートしてもらいましたし、あとは実家が車で20分くらいの距離なので母にもきてもらって、父にもきてもらって、幼稚園の送り迎えすらできなかったので。


どうしてもわたしでなきゃダメなお風呂とか、娘は絶対わたしでないとお風呂に入らないから、風呂桶につかまりながら頑張って洗ったり(笑)。


ゆかり:ママ(笑)。


きょうこ:そんな感じでやってました。


ゆかり:そうなんですね。そっか、でもほんとご家族が近くにいるってあれですよね。わたしも今回AC療法を来週で最後なんですけど、2回目と3回目に母が日本からきてくれて。もうなんか、ご飯を作ってくれたり私の分と子どもの分と、子どものお世話もしてくれるし本当に助かって。家族は本当にありがたいですね。


きょうこ:サポートがないと無理でした。


ゆかり:ちなみに、今は5歳ですけど、治療を始めた段階では4歳だった娘ちゃんにはママの乳がんの話は伝えました?


きょうこ:はい、伝えました。やっぱり見た目も変わるし、胸に傷もできちゃうし、髪の毛もなくなるっていう外見に変化があるので、やっぱり娘にはしっかり伝えらなきゃなって。


この先ずっと付き合っていく病気になるので、娘には小さいけどちゃんと伝えようって思って伝えました。


ゆかり:お仕事を、治療を始める前にやめられていたから、フリーのお仕事もその間はおやすみというか。


きょうこ:そうですね。


ゆかり:治療に専念できて、それはやっぱりいい判断だったなって感じですか?


きょうこ:そうですね。やっぱりわたしは今はちょっと考えを改めたところもあるけれど、やっぱり人が関わると、あ、誰々に迷惑かけちゃうなとか、そういうことをすごくストレスになっちゃうんですよね。


だから、抗がん剤治療中はなるべく友達との予定とかもドタキャンとかしたら申し訳ないと思って。実際にしちゃったことがあってので。なるべく予定を入れないようにしようとか。そういうことも考えたりするくらいだったので、だからそれを考えなくていいのがすごくわたしにとっては良かったですね。


ゆかり:じゃあ、もうストレスフリーで治療にだけ専念できる環境をつくられて。きょうこさんってインスタって鍵とかついてないでオープンですよね。で、お顔も出されてて。


ってことはけっこう周囲の方を含めオープンにご自身の乳がんのことは伝えてらっしゃるのかな?


きょうこ:そうですね。周り、自分の本当のお友達とかはインスタを通して知ってもらったとういうか。親友にはLINEで伝えたんですけど。わざわざ自分でLINEとかで伝えたっていうよりは、オープンにすることで伝わったという感じです。


ゆかり:それって、みんなに広く伝えるって言うのはそうしようと思った理由はなんでした?


きょうこ:そうですね。ま、隠す理由が特になかったっていうのが前提というか第一なんですけど、わたしも告知されていろいろ不安だったときに本当にたくさんの方の情報があったから事前に心の準備ができたりとかっていうのもあったし、自分もこういうことするのかなっていう予測ができたり。


そういう方の情報ってすごく役に立つし、病気でも生活をされている方の様子とかを見ていると大丈夫かもって勇気をもらえたりとか。やっぱりそういうのって、自分もそういう側に発信する側になりたいなっていう思いも出てきたので。


発信すると、わたしの場合こうだったとか、こういうのあるよとかって逆に情報をいただけたりするから、発信するとお得もついてくるって(笑)。


ゆかり:双方向ですよね。


生活面で、大切にされていること、きょうこさんが。冒頭のキャンプの話とかもそうだと思うんですけど、以前の投稿で乳がん患者だけじゃない自分っていうのを意識させてくれるようなことをするのを大切にしてるっていうお話があって。


それすごくわかるんですよね。どうしても乳がんですって話をすると、もう三橋ゆか里イコール乳がんの女性になってしまって。生活面できょうこさんがそうじゃない本当の自分みたいなものを意識するためにやられてることとかありますか?


きょうこ:そうですね。あまり自分自身、がん患者って自分自身に意識を重く置かないようにはしているというか。意識の問題だと思うんですけど。


がん患者ではあるんですけど、やっぱり一人の人だし、ママだし、妻だしみたいな(笑)。なんていうのかな。治療してる病院に行く時は自分はがん患者だと思いますけど、それ以外はあまりがん患者だから自分に制限をかけたりとかっていうのはしないように意識をしてるっていうのはありますかね。


抗がん剤治療中は副作用があったからあれでしたけど、今はそれがだんだん軽くなってきたから、なんでもできるっていう風に思ってて(笑)。


ゆかり:乳がんになって、きょうこさんの場合は息子くんを死産されたこともそうだと思うんですけど、その2つのことに向き合って、人生への向き合い方とか日々の生き方とか人生観みたいなものってどんな風に変わりましたか?


きょうこ:そうですね。やっぱり病気になっていい意味でも悪い意味でも自分の人生の延長線上に絶対死があるっていうのをすごく感じたんですよね。で、わたしは死ぬ瞬間、絶対にわたしの人生最高だったって思いながら死にたい(笑)と思ってるんですよね。


もちろん乳がんになりたくはなかったですけど、さっきもちょっと言いましたけど、逆にこの32歳っていう年齢で人生を見つめ直せる機会だったのかなって言う風に思っているので。


だからなんか今から自分が何ができるかっていうのを考えていて、治療もこの先長く続くから大変っていうのはあるんですけど、あまりそこばかりにフォーカスしないで、あくまでこれって自分の人生の一部にしかすぎないと思ってるので。


がんになった自分のその先にあるものにフォーカスして、生きていこうっていう風に思っているので。だから、自分が満足できるような行動だったり自分の生活だったりとか、そいういうものを感じながら生きていきたいなっていう風には思ってます。


ゆかり:ひとつ、きょうこさんと、かとちゃみさんが一緒にやられてるお話会に名前はあるんですか?


きょうこ:名前は今決めてるところなんです(笑)。


ゆかり:そうなんですね(笑)。わたしもインスタで拝見してて、わたしはラスベガス在住で時差があるんでなかなか参加はできないんですけど、たまに募集されてるのを見てるんですけど。


どういう経緯で始められたんですか?乳がんの経験者、サバイバーの女性とのけっこうこじんまりしたお話会みたいな感じなのかな。


きょうこ:そうですそうです。わたし自身もいろいろインスタで幸いなことにたくさんの方と繋がることができて、メッセージでのやり取りとかもやらせてもらってるんですけど。


実際にま、今ゆかりさんとこうやって対面でお話してもそうですけど、実際にお顔を見て話すってより深く自分のことも知ってもらえるし、相手のことも知ることができるし。共感が生まれたりとか、繋がりがより強いなっていうのは感じていて。


なので、そういう繋がりをモテたら誰かの役に立てるんじゃないかな、自分自身もやってて楽しいし(笑)。


ゆかり:わたしもそうです(笑)。


きょうこ:そう、自分自身もためにもなるし、どなたかの役に立てるんじゃないかなっていうそんな気持ちで。


あれをやるっていうのも自分の中ではけっこう勇気がいることだったんですけど、でもえいやーみたいな。自分も成長できるって思ったし。それもまた人生が終わったときにああいうこと頑張ったなみたいな(笑)。自分でも思えるかなって思って始めました。


ゆかり:お話会の開催は不定期ですか?


きょうこ:えっとですね、一応今は月に2回のペースでやろうかっていう話をしていて。で、平日だったり土曜だったり、朝だったり夜だったり。


ゆかり:きょうこさんとかとちゃみさんを入れて何人くらいなんだろう・


きょうこ:定員4名っていう形でやらせてもらってて、多い時は1〜2人多いときもあるんですけど。


ゆかり:こじんまりいいですよね。特に初めて参加するときってドキドキすると思うし、それくらいだったらちょっと話せるかなっていうちょうどいいサイズな感じがします。


じゃあ、参加をしたい方は、きょうこさんか、かとちゃみさんのインスタを見ていれば開催しますみたいな感じで出る?


きょうこ:そうですね。だいたいストーリーズで流していますので。


ゆかり:なるほど。じゃあ最後に、これはみなさんに聞いてるんですけど、これから乳がんの治療に向き合っていきますっていう女性に伝えたいこととか、伝えてあげられることはありますかね?


きょうこ:そうですね。やっぱりわたしもけっこう前向きに治療はしてるんですけど、やっぱり治療中ってすごくメンタルが落ちるときってあると思うんですけど。


告知を受けたときもそうですけど、そういう落ちちゃう自分を攻めちゃったりとか、わたしダメだっていう風に自分を否定しちゃうときもあったんですけど、でもそういう自分を否定しないで、無理に元気になろうとしたりとかそういう風になる必要はないなと今は思っていて。


メンタルは落ちるときはとことん落ちていいと思っていて。それすら、織り込み済みみたいな(笑)。わたし落ちてる、うん、もうわかってるわかってるみたいな(笑)。そんな感じで、今はそういう時期だよねって自分を認めてあげる。なんかそういう風にしてもいいのかなって言う風に思っていて。


ずっと落ち込んでるのは辛いと思うので、そういうときにインスタで吐き出したりとか、もし良かったらオンラインで私たちのお茶会、お話会とかに参加してもらってもいいですし。


そういうのを上手く利用してもらって、自分のメンタルをちょっとずつ落ちて上がって落ちて上がってを繰り返して、結局ちょっと右肩上がりになってればいいかなってわたしは思ってるので(笑)。


ゆかり:たしかに(笑)。


きょうこ:なので、落ちてるときの自分を攻めなくていいって言う風に思ってるので、これから不安な方も多いと思うんですけど、一緒に乗り越えて行けたらなっていう風に思います。


ゆかり:ありがとうございます。どうしても落ちる時は落ちるし。


どうだろう、乳がんになることで、今回きょうこさんのお話を伺ってると、なんかけっこう自分に厳しい方なのかなって気がするんですよ。周りに迷惑をかけないとか、責任感が強かったりとかっていうところがあるのかなって。


ちょっとお話を伺っただけでそんな印象を受けたんですけど、乳がんになって治療をされたことで、その辺の自分ってもうちょっと自分に優しくできるようになったとか、自分に寛容になったみたいな変化ってありました?


きょうこ:それはすごい今意識をしているというかっていう感じなんですけど。ずっと昔からそうで、だからこそ自己犠牲もすごくしてたというか。


自分がこれをやれば人に迷惑がかからないから自分がやろうみたいな感じでやっちゃったりとか。育児とか家事とかもこれやんなきゃ、完璧にやっておかなきゃみたいなのがあったんですけど。


なんかガンになって、ああそうじゃなくていいよねって(笑)。これくらいでいいよねをどんどん増やして。まあいいんじゃん、このくらいでいいんじゃんってもうちょっと頭の中で唱えるっていう風には意識して、今まさにやってるって感じです。


ゆかり:わかりました。ありがとうございます。今回のゲストは北海道在住のきょうこさんでした。


きょうこ:ありがとうございました!


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