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Vol.17 東京都在住愛さん(ステージ3のトリプルネガティブの乳がん)

  • 執筆者の写真: ゆかり
    ゆかり
  • 2023年10月16日
  • 読了時間: 28分

*ポッドキャストの内容を書き起こして記事にしています。読みやすさを優先して微編集を加えています。 *内容は、ポッドキャスト収録時点の話です。収録と配信までにはタイムラグがありますのでご了承ください。


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こんちわ(根治の輪)第17回のゲストは、東京都在住の愛さんです。現在は治療のため休業中ですが、東京の大山でカフェを運営していらっしゃいます。22歳と18歳になる娘さんがいらっしゃいます。


2023年3月にトリプルネガティブの乳がんを告知されました。EC療法をやった後、愛さんは遺伝性の糖尿病をお持ちなので、糖尿病の方でも使えるアブラキサンというパクリタキセルの仲間を投与されました。その後、2023年9月中旬に再建なしの片胸の全摘手術をされて、これから放射線治療を開始されます。


長引いている術後の回復の話、検査をもっと早くにしていればという思い、情報に翻弄されてしまいがちな治療中の食生活について、坊主に抵抗がなかったこと、通院した病院でのさまざまな出会い、他の人の早期発見を願っての発信活動、お母さんの一言で変わった時間の過ごし方、再発の不安との向き合い方、泣いて流すことの大切さなどたくさん伺いました。


愛さんのインスタアカウントは、@dklcafe/です。


それでは、東京都在住愛さんの乳がんストーリーをお聞きください。

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ゆかり:今回のこんちわ(根治の輪)のゲストは、東京にお住まいの愛さんです。よろしくお願いします。


あい:よろしくお願いします。


ゆかり:はーい。愛さん、さっそくなんですけど自己紹介をお願いいたします。


あい:はい。東京の大山でカフェを経営してます。大山ではLOVEっていう相性で商店街などで活動してます。42歳、年をたまに忘れちゃうんですけど。22歳と18歳の子どもが2人います。よろしくお願いします。


ゆかり:はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。そっか、カフェは大山にある商店街の一角にあるのかな?


あい:商店街の外れなんですけど、ちょっと訳あり、機会があり、商店街の人と関わることになり、商店街での活動をちょこちょこさせていただいてます。


ゆかり:なんかいいですね。わたし、もし日本でどこかに住むなら商店街があるところが絶対いいと思ってて。


あい:すごくいいですね。みんなアットホームな感じで、仲良しですごくいいです。


ゆかり:うん。しかも年齢も幅広いですよね、いろんな方が関わってらっしゃるというか。素敵。


えっと、愛さんはトリプルネガティブの乳がんですよね。


あい:はい、そうです。


ゆかり:発見したのっていつでしたか?告知されたっていうのかな?


あい:告知されたのは、今年2023年の3月です。


ゆかり:そうなんですね。じゃあ、わたしも4月末だったのでそんなに違わないんですね。


あい:そうなんです。見てて同じような感じだなーと思いながら。


ゆかり:そっかそっか。で、現状の治療はどういう状態なんでしたっけ?


あい:治療は抗がん剤が終わり、手術が終わり、とりあえず病理の結果も出て、これから放射線をするっていうことになってますね。


ゆかり:なるほど。手術を終えられたのはいつでしたっけ?


あい:うんと、2023年9月13日に手術を終えて19日に退院したのかな。


ゆかり:そっか。ってことは、まだそんなに日が経ってないですね。


あい:そうなんです。


ゆかり:どうですか、身体の調子は?


あい:やっぱり乳がんって足が動けるので、入院も一番遠い部屋で歩かされたんですけど。


全然動くのは動くんですけど、やっぱ抗がん剤を先にやってたのがあって体力がすごくないのと、やっぱりこう足の骨っていうんですかね、やっぱ長い間抗がん剤をやっていたのと量も量だったから、明日の骨が痛かったりして。


一回座ると立つのがけっこうきつかったり、やっぱり体力が本当にないのを実感させられました。


ゆかり:うんうん。手術はちなみに部分ですか?それとも…


あい:全摘で、しかもわたしの場合、小胸筋と大胸筋の裏にがんがあって、最初4個って言われてたんですけど、3個は消えたんですよ、抗がん剤で。トリプルネガティブも消えたんですね。


だけど、一個残ってた検査ができなかった大胸筋と小胸筋の裏にあったガンをとるために小胸筋と大胸筋の裏の筋肉を療法の筋肉をちょっと削ったのと、あとリンパが一人30個くらいあるって言われてるんですけど、そのうちの16個をとってて。


なかなりの量で、普通の人はたぶん傷口は胸だけなんですけど、わたしは背中の手前までけっこういってまして。


だから、なんていうか、手を挙げるときの違和感がたぶん普通にリンパをとった人よりもすごく大きいのか、すべてすごく痛いんですよね。背中のほうが。


ゆかり:いまだに痛いです?


あい:そこだけは腕を動かすとどうしても傷口が痛いですね。


ゆかり:そっかあ。今って生活の中でどれくらいまでならできる感じですか?やっぱり制限はされてるけど、例えばお料理とか洗濯とか。


あい:子どもたちの負担になっちゃうのでなるべく自分でできることは時間をかけてもやろうと思うんで。


術後、初めて洗濯したときは1時間くらいかかったんですよ。腕が上がらないので。だけどそれもなんか工夫して、干すやつを落として干してからかけるだけにするとか。


自分で工夫してやってて、今は休みのときは子ども達がやってくれたりするんですけど、前より時間をかけても自分でできるようにはしてます。


ゆかり:それは、やっぱり身体が、特に腕がちゃんと使えるようになるっていうのは自分のリハビリによるところが大きいんですかね?


あい:そうですね。どこまで上がるかはわからないとは言われたんですけど、ま、リハビリをする・しないはやっぱり違うらしくて。


けっこうね、みなさん上がるっていう人と上がらないっていう人と聞くとさまざまで。


ゆかり:なんか、どうなんでしょう。リンパをいくつとったっていうところが大きいのかな。


あい:どうなんですかね。手術の仕方とかもあるのかなってちょっと思うんですけど。


ゆかり:えっと、じゃあ2023年3月にわかった乳がんの発見に至った経緯を聞いてもいいですか?


あい:もともと乳腺炎をずっと繰り返してたんですよ、子どもたちを生んだ後に。


で、その乳腺炎が母乳をあげ終わって、1人目2人目と終わった後に、ちょっとしこりが残ったんですね、脇の下のたぶん大胸筋のところなんですけど。残ったんですけど、動くんですよ。


ゆかり:コリコリするみたいな?


あい:そう、コリコリ。だからガンだと思わず。小さかったし、そのまま放置して乳腺の残りだね、気になるなら取ろうかみたいに言ってたんですけど。


ま、そのまま月日が流れ、子ども達が高校生くらいになったときにふとそこを気づいて触ったら、ちょっと大きくなってるような気がしたんですよ。


でも、ずっと触ってたわけじゃないから、まさかねーって思いながら過ごしてたら、下の子が高校生のときに右の乳房のほうに同じようなしこりを見つけて。それもまた動くんですね。


で、それがだんだん痛くなり、もう月日を流れるところ1年、2年経ったら痛くなってきて。で、ある日突然、カフェの経営中になんか痛いと思ったら胸から分泌物が出ててっていうのが3月だったんですよ。


で、そのまま先生に乳腺炎の残りかもねって言って。いつもの先生だったし、「もう切っちゃって先生」って伝えて。「切って膿が出なきゃこれ腫瘍だよ」って言われたんですけど、大丈夫、切っちゃってなんて言ったら腫瘍だったんですよ。


そのままその日のうちに紹介された病院に調べに行ったら、もうたぶん先生の顔でわたし乳がんなんだなって悟ったっていうか。結果が出る前にちょっと覚悟しなきゃなって自分で思って。


そこからやっぱすぐですよね、2〜3日して電話をいただいて、やっぱり乳がんでしたって。先生がすぐに調べてくれてトリプルネガティブっていうのがたぶんわかったのか、ちょっと怪しい雰囲気で。


トリプルネガティブのステージ3だったから抗がん剤からで。手術ができないっていうことで。


ゆかり:まず抗がん剤で小さくしてから。


あい:そうですね。あと、糖尿病を持ってるんですよ、小さい頃から。


ゆかり:遺伝性なんですよね。

あい:そうなんです。で、インシュリンも打っていてその治療もあるから、いきなり手術っていうわけにいかず。やっぱり血管が耐えられないんですよ、糖尿病の方って。


わたしなんか特に膿みやすかったりするので、で、まあポートを入れる手術を3月の入院でしてから抗がん剤に入るっていう形にしたんですよね。


ゆかり:うんうん。じゃあもうけっこう大きくなってたのかな、ステージ3っていうのは他にも転移があったのもあるし。


あい:そうですね。転移がリンパに一個見つかったのと、あと胸の中に全部で3つあって、一番悪いのがトリプルネガティブの4.5cmとか。で、グレードでいうとグレード3のCの末期に近い感じみたいで。だから、絶対抗がん剤からっていうことで。


あと、リンパが調べられなかったっていうのが、種類を。それも大きかったみたいで抗がん剤からの選択しかなかったっていう形ですね。


ゆかり:そっかあ。でも、どういう思いでした?そのコリコリするのはガンじゃないっていう自分の中であって。


あい:自分の中でそう思ってました。


ゆかり:ね、それがあって、もしあの時に行ってれば、もし検査してればみたいな思いは絶対よぎっちゃうじゃないですか。なんかそういう思いとはどう向き合ったっていうか。


あい:なんか、何度も店に行ったときに一緒にそこの病院にいる乳腺科の先生に診てもらえばって言われてたのを自分で拒否ったんですよ。


大丈夫だよって、違うからって自分の中で思うし、忙しいし大丈夫大丈夫って思ってたのを、あの時もし一回目のときに診せてたら、もしかしたらステージ1とかそんなもんだったのかなっていう思いはすごく自分の中ではあったんですけど。


でも、見つかったのが今だから見つかったし、今だからこういう風に治療に向き合えたんだって思えたというか。


あとは、自分で良かったっていうのと。娘が2人いるし、まあ、旦那さんもそうだし、母もいるし、弟夫婦とかも思ったら、その人たちがならなくて私がなったことが良かったんだって思ってましたね。なぜわたし?っていうよりかは、わたしで良かったって。


ゆかり:そっか、そうですよね。娘さんとかは、まだお若いけども、乳がんは若いからならないってものじゃないっていうのを自分が乳がんになって他の方を見てて思うから。


えっと、治療の流れは、なので最初にEC療法だったのかな。


あい:EC療法を4回、2週間に一回を4回やって、それから2週間空けてアブラキサンを毎週1回。


ゆかり:アブラキサンって初めて聞きました。


あい:なんかパクリタキセルの仲間みたいなんですけど、それの中で糖尿病の人が使えるっていうものでアブラキサンを毎週1回。


で、アブラキサンに至ってはジーラスタを打たなくていいっていうのでたぶん、そこは少し助かったんですけど。ジーラスタがほんとに辛かったので。


ゆかり:うんうんうん。そっか、じゃあ最初のECのときはジーラスタを打ってらしたと。


あい:そうですよね。


ゆかり:あれは、骨の痛みとかそういう副作用?


あい:骨が痛かったですね。なんか吐き気は起きないように先生に最初から言われたんですよ、吐き気を一回体が覚えるともうそれから吐き気を覚えちゃうから、吐き気だけは気をつけてくれと先生に言われてて。


やっぱり抗がん剤を抜くためには水を飲むとか、動かすとか、汗をかくっていうのが大事だから、ECを受ける時に1日2リットルを飲むような感覚でいてくれと先生に言われて。


ま、ほんとに水をたくさん飲んだのと、ECを受けながら味覚障害が起きないように氷を舐めたりとか。けっこう水分をとってたので、大丈夫かなと思ったんですけど、やっぱジーラスタを打った後にきましたね、骨の痛み。ほんとにだるさと骨の痛みが。


ゆかり:他の副作用はどうでした?


あい:爪の変色と、爪がもろくなって足の爪が一番もろくなって。やっぱ真っ白な爪が死んだっていうのですかね、そんなような感じで白くて。指のほうはなんとなく大丈夫だったというか、変色はあるんですけど弱くはなくて。


あとは全身の脱毛ですよね。本当に髪の毛から全部。


ゆかり:そうですね。


あい:髪の毛はね、わたしにとっては抵抗がないものだったので。


ゆかり:あ、そうなんですね。


あい:髪の毛はウィッグも買ったけど、ウィッグをつけるほうが気持ち悪くて。だからいつも今かぶってるベレー帽で。格好が奇抜だからなのか、坊主にベレー帽っていう格好でも皆さん自分の好みで坊主にしてると思ってくれてて。


ゆかり:あー、なるほど。ファッションなんだね(笑)。


あい:「乳がんなんです」っていうと、すごくびっくりされるんですよね。えー!みたいな。だからやっぱヒップホップが好きなんで、格好的にもちょっと奇抜に見えるみたいで。自分で坊主にしてるんじゃないんですかってやっぱ言われますね。すごく。


ゆかり:愛さんは、ちなみにヒップホップを踊るんですか?


あい:高校のときずっと踊ってて、子どもが生まれてから、子どもと一緒の舞台に立ちたいと思ってまたヒップホップを始めたんですよ。だけど、アキレス腱を切って、もう切ったままなんですけど。で、やめたっていうか。つま先が使えなくなっちゃって踊るのをやめたんですね。


ゆかり:ま、でもファッションというかスタイルは変わらず。


あい:家族みんなそんな感じです(笑)。


ゆかり:KINGさん(旦那さん)もそうですよね。なるほど、坊主に抵抗ないって初めて聞きました。でも、理由を聞いて納得しました(笑)。


あい:そう、だから昔から坊主にしたいって言ってたのを子ども達に反対されて、してこなかったので、あ、この機会で坊主になれると思い。


ま、抜けるのを子どもに見せたくなかったので、坊主に自分でしようと思ってKINGにしてもらったんですけど。その時にKINGも一緒に坊主にして。夫婦で坊主で。


ゆかり:そうなんだ、いいですね。そっかそっか。


えっと、全摘について聞きたいんですけど、愛さんは再建はされてないんでしたよね?


あい:してないです。


ゆかり:それはどういう風に決められたんですか?


あい:乳がんですって言われた3月のときに、病院に行って先生に「全摘でお願いします。抗がん剤も放射線もなんでも生きるための選択は全てするので」って。


抗がん剤の種類も色々あるみたいなんですけど、わたしは先生の指示に従ってわたしのがんにあった抗がん剤でやりますって始めに言ってたんですよ。


先生には、術後に見てから決めるとかって言われたんですけど、「もう再建はなしで全摘でいいです」と。もう子どを生むつもりもなかったし、わたしの中ではもういいかなっていうのを乳がんが見つかったときに自分の中で決めてましたね。


ゆかり:そっか。もう迷いもなく。


あい:迷いもなくですね。


ゆかり:生きるための選択ってことですね。


あい:そうですね。


ゆかり:遺伝性の糖尿病をお持ちだってことなんですけど、抗がん剤中または治療中の食事とかってなんか普段と変えたりとかってする必要があったのかな?


あい:食べちゃいけないものとかけっこう色々ネットで見るとすごい色々出てくるやないですか。何がいい、何がダメって。


で、それもすごく不安で、なんか色んな人から牛乳ダメだよとか豆乳ダメだよとかって乳製品はダメだよって言われたのがすごく不安で。


ゆかり:そうなの?


あい:先生に最初のときに何かガンについて質問ある?って言われたときに、「え、牛乳って飲んじゃダメなんですか?」って聞いたら「えー」みたいに言われて。


「そんなことないよ」って言われたのがきっかけで、やっぱ何は食べちゃだめ、これはダメっていうのは特にないんだって。


ただ、まんべんなく色んなものを食べることが大事だし、逆にお米を食べないとかっていう選択はガンと闘えない身体になってしまうよって言われたので。


ゆかり:お米っていうのは炭水化物ってことなのかな?


あい:そう、炭水化物をカットしたほうがいいよって言われた人もいて。


ゆかり:言いますね。


あい:だけど、先生的にはお米からとれる栄養とかそういうのはガンのための手術に向けて闘うためのパワーになるんだよって。だからまんべんなくなんでも均等に食べてくださいと。


一個偏って食べるよりかはまんべんなく食べてくださいって言われたので、なるべく糖尿の食事を意識しながら、塩を使わないようにしながら自分で作りながら少しずつ少しずつ色んなものを食べました。


ゆかり:そうですよね。そういう情報を集め始めちゃうとキリがないから。


あい:そうなんです。ほんとに。ネットに殺されるじゃないけど、ほんとにそんなような感じになっちゃって。


だから、ほんとにすごいネットで調べたんですよ、乳がんについて。やっぱり乳がんって、切って終わりっていう感覚がわたしの中であって。


ゆかり:わたしもあった。


あい:だから、ちゃっちゃっと切ってもう終わりでさっさと仕事しよーってイメージだったんですけど、乳がんには5種類もあって、その中でも進行型とか色々あるじゃないですか。


トリプルネガティブでも進行型があったり、ま、多発性とか色んなのがある中で、やっぱわたしの乳がんに合ったものっていうのを調べるのがすごく難しくて。


やっぱり同じ人っていないじゃないですか。だからそれをまた探すのも大変で、ネットを見てると不安になり落ち込むので。


それをやめて、最初の入院で知り合った乳がんの方など、経験者の方のものを見て、あとはわからないことは先生に聞いて、自分なりにちょっと研究じゃないですけど色々調べてみようって思って。人からの話ってのが一番大きかったですね、わたしの中では。


ゆかり:なんかそう、愛さんの投稿を見てると、通われてる病院で他の患者さんと知り合ってとかっていうエピソードがけっこう出てきて、それがすごい素敵だなと思ったんですけど。


あい:そうなんですよ(笑)。すぐ仲良くなっちゃうんです。


ゆかり:はは、愛さんの性格(笑)。住んでらっしゃるところに近いから知ってる人がいるとかじゃなくて。


あい:違うんです。すごい遠い電車では30分なんですけど、車で行くと混み具合があり1時間ちょっとかかるんですけど、その病院に紹介されてそこに行って。


そこの抗がん剤室や待合室とか、朝会う人とか、入院してた人、受付の人、売店の人とか。で、まあ糖尿のほうもあったので糖尿病のほうで知り合う人、採血室で出会う人とか。


ま、なんかそういう方と会うと挨拶して喋って。3月に入院したときに一緒の部屋だった人とは連絡をとってたり、あとは商店街の関係で知り合った人の乳がんサバイバーの方たちとの話を聞いたりとか、ほんと色んな人の話を聞きましたね。


ゆかり:そっかあ。けっこうそういう場だと色んな年齢の方がいらっしゃいますよね。


あい:多かったですね。若い方は、わたしより2〜3個下の方が乳がんの方でいて、その方は両胸をとるって選択をしたみたいで、なんかそういう人の話とかもけっこうみんな出会った方はポジティブな方で。そういうのに逆に元気づけられて。


で、なんか情報交換したりとか、こういうものを使ったらいいよとか、坊主にはこのシャンプーがいいんだよとか、眉毛はこうだよとか。いろんな情報をいただいて、逆にそれをわたしも教えたいなと思ってインスタに書き始めて。


ゆかり:そっかそっか。ほんと、リアルにそういう人が目の前にいて話せるってすごくいいですね。


あい:うん。だから、わたしも本当に思いました、SNSってすごいなって思いました。


ゆかり:日本だとあまり知らない人は知らない人って感じであまり挨拶とかしないじゃないですか。アメリカだと知らなくても目があったら挨拶するとかそういう文化があるんですけど。


だから日本に行くと知らない人に話しかけるって勇気がいるんですけど、でもなんかそういうセッティングだったら、たぶんきっと仲間を求めてるんじゃないかなって思うから、もしかしたら勇気を出して話しかけてみてもいいのかもしれないですね。


あい:たぶんわたしの風貌で坊主であそこの場にいると、やっぱり抗がん剤経験者なのかなって皆さん思うみたいで。そこから目が合うと挨拶すると、えっと抗がん剤治療してるんですか?って聞かれたりとかするので。


ま、この風貌が良かったのか、坊主が良かったのか、けっこういろんなことを話せたので。やっぱ坊主で不安になる方のほうが多かったので。髪の毛が抜けるってすごく嫌な人が多いので、それを一番聞かれました。


でも、皆さん病院で買う医療用ウィッグって全然わからないんで。わたしウィッグ屋で働いてたんでウィッグをいっぱい持ってるんですけど。


ゆかり:そうなんですね、でも使ってない(笑)。


あい:そう、使ってないです(笑)。医療用ウィッグってわからないんですよね。びっくりしちゃいました。なんかやっぱ人工の毛じゃなくて人毛だってのもあるのか、すごく毛質もそうだし、わかりづらかったです。つけてる人が何人かいたんですけど、全然わかんなかったです。


ゆかり:じゃあ、実はって感じなんですね。愛さんは、ご自身が乳がんになって治療してますってことを周囲の方、実生活で周囲の方にはどれくらいオープンにしてます?


あい:もう見つかったときに、やっぱお店をやってるので、お店を休むこともあり、SNSにまず投稿したんですよ。で、それ以外は家族に全部話して。


そしたら、やっぱ仲良い子から「なんでわたしに先に言ってくれないの、支えるのに」って泣きながらお電話をいただいて。


あ、そっか、先にそっちをしなきゃいけないのかってちょっと思いながら、もうお店お店お店と思ってたので。なんか多くの方が言ってくれたら良かったのに先にって言ってくれて。


なんか逆に「助けてよ」っていう前に「助けるよ」って言われたから、すごく心地よかったというか。ありがたかったなとすごく思ってますね、今も。


ゆかり:うんうん。えっと、娘さんたちは、もうお姉さんは社会人で、なんだろう、これまでわたしが話した語ってまだお子さんが小さめの方が多いんですけど、それぐらいの年齢の娘さんたちだとどういう反応なんだろう?ママのニュースに対して。


あい:なんか、乳がんだったママって言ったら「あ、そうなんだ」っていうなんか軽いというか、そっかそっかって。切っちゃって早く生活に戻ってくれば大丈夫だよみたいな、ママなら大丈夫大丈夫みたいな感じしたね。


下の子のほうはけっこうネガティブというか気持ちが落ちやすいので、ママがいなくなったらっていうような感じにはなってたけれども、ま、家のことなんでもやるからねっていう感じで。


ゆかり:そっかそっか。ね、でもたぶん20歳そこらだと乳がんのこともそんなに知らないですよね。


あい:そうですね。知らないから、やっぱ娘たちには言いました。おばあちゃんが膵臓癌だったんですよ。だから、そういうのもあるし、ママがなったし、あなたたちもなることがあるから自分で胸を触ったりとかちょっと気になることがあったらすぐ病院に行くことは大事だよと本人たちには直に伝えたので。


なんか怖がらせるというよりかは、やっぱ早期発見すれば治る病気ではないんですけど、気持ち的には全然違うからって伝えましたね。


ゆかり:そうですよね。早期発見だったら、私たちが当初思っていた、とっておしまいになれるかもしれないし。


あい:そうなんです、そこなんですよ。抗がん剤をして良かったって今は思うんですけど、自分の病気に関しては。


だけど、やっぱり抗がん剤ってしなくてもいいものだと思うんですよね、早期発見だったらば。こんなに身体の辛いこっとってないし。気持ちもめげるし、落ちるし。やっぱりそれを経験してほしくないなって思うから、やっぱり子どもたちには伝えて、SNSでも伝えて。


で、何人かDMで、やっぱり勇気がなかったけど病院に行きましたっていう方がすごくいっぱいいて。その中で大丈夫だった人も何人もいたんですけど、その中で乳がんで見つかった方も何人かいらっしゃって。でも、皆さん早期発見だったっておっしゃったので。


ゆかり:良かった。


あい:良かったなってほんとに思います。


ゆかり:ほんとそれだから、発信する意味ですよね。まさに。私たちと同じ思いをしないように。


あい:ほんとに。


ゆかり:そう、愛さんの投稿を拝見してると、お母さんもすごくサポートしてくださってるっていう。お近くに住んでらっしゃるんですか?


あい:はい、すぐ近くに住んでてくれて。で、母の彼氏も喉頭がんなんですよ、末期で。わたしと同じ時期、ちょっと後に見つかって。で、わたしの前にはお母さんの親友が肺がんになってたりして。


だから、やっぱそのガンっていうイメージが自分の中であったのもあり、なんか子どもは親より先に死なないっていうイメージがあるじゃないですか、普通は。年齢的に。だから、自分の娘がまさかって思ったのがすごく大きかったみたいで。


できれば変わってあげたいってすごく何度も言われましたね。わたしのほうが先に死ぬんだから変わるよ、変わるよって。何回も言われたのがすごぐ衝撃的で。


でも、大丈夫だからって。大丈夫大丈夫。お母さんよりわたしのほうが強いからっていつも言ってましたね。


ゆかり:そっかあ。なんか、お母さんが愛さんにかけてくれた言葉で、すごく刺さったっていうか、言葉があったんですけど。まず自分のために生きてっていうお話をお母さんがしてくださったじゃないですか。それはどういうタイミングで?


あい:いつも、商店街のこともそうなんですけど、店のこともそうだし、お店にけっこうわたしに相談をしに来る方が多いんですね。


毎日私生活でもLINEとかでも10人近くの相談ごとを聞いたり、 LOVEの言葉って描いてるんですけど、それを色んな人の恋愛や経験から作った言葉をあげてたりして。


それを見て、相談をしてくる人とかがけっこう多かったりするし、なんか私ってけっこう頼まれたりっていうかやらなきゃなって思うと自分で動かなきゃって思っちゃうタイプで。


手術まで2週間もないときに、なんかやっぱちょっと具合が悪くなるじゃないけど、喘息も持ってたので、鼻水出たりとかそういうのを母が見てて。


もういい加減にしてほしいって言われて。人の心配する以前に自分だよって。自分を大事にできない人は人を心配したらダメって言われて。お母さんに自分の時間にまずは使いさないと言われて。


そのときにやっぱりそっか、わたしには戻らなきゃいけない場所があるし、支えてくれてる人もいるし、まずは自分のことを立て直さなきゃってすごく思って。


なんか別にSNSに翻弄されてたわけじゃないんですけど、なんか残さなきゃ、書かなきゃって思う気持ちが強かったりして。


だけど、それを絶って、人の投稿は見ますけど、自分のことを知らせるとか書くより、まず子どもたちや手術までの2週間は自分の時間に使おうかなってすごく思って。


2週間くらいインスタをとめてて、で、全身麻酔が初めてだったので、もしかしたら死ぬかもっていう思いがどっかで自分の中で消えなくて。


ゆかり:うんうん。


あい:だから、2週間後、手術が終わってから初めて投稿を書こうって自分の中で願掛けみたいな感じですよね。


で、それで決めて、お母さんとも時間を作ろうと思っていっぱい会ったりしゃべったりとか。そういう時間に充てて。母に言われた言葉がすごく大きかったですね、自分を見つめ直す時間に変えられたので良かったなと思いました。


ゆかり:うんうん。ね、なんか、ほんといくつになっても40歳過ぎても娘は娘ですよね。ほんとそれは思いますね。


あい:ゆかりさんもお母さんが来てましたよね。


ゆかり:そうなんですよね。抗がん剤のACのときに来てくれて、また手術のときも来てくれるんですけど。なんか、ほんとありがたいですね。甘えられるっていうか、自分のことだけしてればいいっていう状況にしてくれる。本当に家族には。


あい:ほんとに大きいですよね。


ゆかり:なんかそういう関係とか、そういうのも見直すきっかけにんほんとになってますね、乳がんになったことが。


あい:乳がんになって良かったことなんてほんとにないんですよ、実際は。ならなきゃ普通に生きていけるし、普通の生活だしって思うんですけど。


なったらことで気づいたこととか、繋がりもそうですよね、こうやってゆかりさんに会えたことも含めて色んな人に会えた繋がりっていうのはすごく大きくって。


ゆかり:生まれるものもすごくありますよね。


あい:ほんとです。失うものはね、なんか、こう言ったら失礼なのかもしれないけど、自分の中では胸一個でこんだけの繋がりができたなら、乳がんになったのも捨てたもんじゃないって思うように。


ゆかり:うん、わかります、わかります。


なんか、たぶんどっかでなってたんだろうなって思うから、それだったら40歳ちょっとでなって、その先まだ長いじゃないですか。だから、このタイミングでなって、自分の生き方とかそういうものを見直せたのはほんとに良かったなって思います。


あい:そう、すごく思いました、それは。ほんとに。


ゆかり:ね。愛さんは乳がんになったことで、こう日々の生活の向き合い方とかこういう風に生きようみたいなものって変わりました?


あい:特になんか変わったっていうよりかは、周りにもっと目を向けなきゃなって自分の中で思ったっていうか。


自分の家族にもそうですし、やっぱり家族にとってって、甘えが強かったから、ここまでやってくれる、やってもいいっていう自分の中であったけど、やっぱり自分が病気になって一番支えてくれたのは家族だからこそ、仕事仕事仕事ってやるよりかは、もっと家族に目を向けていかなきゃなって改めて感じたのと、いくら大きくても子どもは子どもなんだなっていう。


子どもに対しての感覚もやっぱ変わったし、ま、仕事だけじゃなく、やっぱり私生活、自分の本当の時間、自分の私生活がほんとに作らなきゃいけない大事な時間があるんだなってすごく改めて思いましたね。


ゆかり:そっかあ。ま、でもあれですね、愛さんの今のお仕事を伺ってると、人に頼られるタイプというか、人に相談されちゃったりとか人が寄ってくる方だからこそ、なんかそういうのってNOっていうの難しいじゃないですか。


あい:そうなんですよね。


ゆかり:そこが難しそう。


あい:ね、だから、NOと言える環境作りも必要なのかなとか思いますけど。でも、やっぱ頼られてきちゃうと、そっかって思って、よし、やるかともなっちゃう部分があるし、そこは変えられないのかなとか。まだちょっと葛藤中ですね。


ゆかり:そうですね、これから手探りでいいバランスっていうかが見つかるといいですよね。そっかそっか。


えっと、何度か話してますけど、乳がんになりました、そしたら手術してとっておしまいじゃないし。わたしも同じステージ3なんですけど、ほんと1年越しの治療じゃないですか。


少なく見積もってそれぐらいだから、長い付き合いで、その後もまたじゃあ再発するかなみたいな不安って必ずずっとあるから。今、愛さんはどういう風に捉えてます?やっぱりそういう不安は感じたりしますか?


あい:再発の怖さはほんとに怖いんですけど、どう向き合ってくかとかも。でも、今回の経験を活かして、再発が起きたとしても向き合う覚悟は自分の中ではできてる。


やっぱり今の生きるための選択っていうのは間違ってなかったと思うので、再発しても、ま、生きる選択を自分の中でしていこうってやっぱりすごく思いますね。


ゆかり:でも、それすごくいい捉え方ですね。生きるっていう選択だったら、あんまり迷いはないはずっていうか。やることが自ずと決まってくる。


そうなんですよね。今って治療に向き合えるじゃないですか、治療の最中だから抗がん剤中もそうだし、手術そうだし、一つずつのステップを乗り越えていけばいいんだけど、それが終わって何もしなくなったときのほうがもしかしたら再発への不安って大きいのかなって思って。


あい:そうなんですよね。


ゆかり:でも、どうにかして向き合い方を見つけなきゃいけないし。ね。


あい:やっぱね、経験者は特にですけど、再発っていうほんとその言葉がすごく怖いと思うんですよね。ずっと。大丈夫って言い切れないから。ほんとに思うんで、その怖さはずっと消えないと思います、ほんとに。


ゆかり:ま、でも同時にじゃあ再発の可能性は50/50で常にある、誰にでもあるけれど、でもその再発を怖がってて今をちゃんと生きてないっていうのはそれはそれで違うかなって思っちゃうから、そこをうまく折り合いつけられるといいなって思いますね、自分も。


えっと、最後に、愛さんは3月の時点でこれから治療を始めますっていう状況で、わたしも4月に治療を始める前の段階が一番不安が大きいと思うんですけど、これから治療を始めますっていう女性に愛さんが伝えたいこととか、伝えてあげられることはありますか?


あい:なんか、先の楽しみを見つけていってほしいんですね、すごく。人参ぶら下げれば馬が走るってインスタにも書いたんですけど、そういうたとえなんですけど、先の楽しみを向けて進んでほしいなと。


甘いものを食べる、洋服を買うとか、好きな場所に行くとか、自分なりの先の楽しみを見つけてご褒美を見つけながら治療とも向き合ってほしいなと思うんですよね。


ほんとに辛いこととか、ほんと悲しいこととかいっぱいあると思うし、気持ちも落ちるし、ほんとにたくさん泣くし、ほんとにたぶん言い表せないぐらい治療に向き合ってる人ってほんとにいっぱいいっぱいなんだと思うんですよ。だから、自分のためのご褒美を見つけて進んでいってほしいなと思いますね。


ほんとに辛いと思います、だから泣くこともすごく大事だと思うのでたくさん泣いて。ほんとに。治療と向き合ったあとはご褒美をあげてください。


ゆかり:うんうん。愛さんはちなみにご褒美はなんだったんです、たとえば?


あい:わたしは毎回の抗がん剤後ではないけれど、抗がん剤が一種類終わったらかに道楽に行ったり焼肉食べたりとか、その時に食べたいものを食べる。


やっぱり量が食べられなかったりもしてきてたので、残してもいいから行こうよってKINGが言ってくれて。


あとはやっぱ季節の変わり目に洋服をどかっと買って、洋服を見に行ったりとか、そういうほんとに自分にあげるご褒美。いつもは家族に買っていたのものを自分に向けるっていうんですかね。そういうご褒美を自分にあげてましたね。


ゆかり:素敵。そうですね。そういうの大事ですね。ありがとうございます、愛さん。


あい:すみません、泣いてしまって。


ゆかり:とんでもないです。ほんとでも、泣きたいときはどかーって出したほうがいいですよね。


あい:本当に思います。一番お風呂の中で泣いてましたね。お風呂の中で一番泣くことが多かったかな。家で泣くと子ども達も心配するので、何なに?ってなるので。


お風呂の中で泣いてたことが多かった。お風呂の中で泣くと、全部流してくれるじゃないけど、排水溝で(笑)。


ゆかり:あはは(笑)。持ってってくれる。


あい:持ってってくれるから、わたしはなんか自分のがんのある胸に手を充てて、泣きながらわたしの中から出ていけって思いながらその思いと一緒に悪いものを全部流してとってくれるんだって思いながらずっと泣いてました。


ゆかり:でも、なんかそういうメンタルのイメージって大事そう。


あい:うん。なんか、ほんとにみんなお守りとか神社行ったりとか色んなことをするのって、ほんとに神頼みじゃないですけど、願掛けじゃないですけど。そういうのが好きとかじゃないんですけど、なんか昔おばあちゃんにこう言われたなとかいうのを思い出しながら。


なんかハスの花って悪いものを吸い取ってくれるっておばあちゃんに言われて。だから、蓮の花が咲いた時に神奈川の鶴岡八幡宮に行って蓮の花を見てきたたんですよ。


あの時これが良かったのかもとか、今治療は手術を終えたときに色んなことを思い出しながら、やっぱこういう行動も大事だったんだなって。家でメソメソするよりかも、やっぱ外に出て自然を見たりとか色んな行動すると自分の中でなんか気持ちがよし、がんばろうってなるので。


ゆかり:うん、わかります。


あい:海に行きたい、足を海につけたらよくなるかもとか(笑)。


ゆかり:またそれも水が’(笑)


あい:なんか流してくれるっていうような感覚で、もうずっと抗がん剤中は過ごしてましたね。


ゆかり:ね、でもわかります。乳がんになって、そういうのをもっと信じるようになった(笑)。


あい:そうなんです。色んなことを信じるようになりましたね(笑)


ゆかり:そっかあ。ありがとうごいました。はーい、今回のゲストは東京にお住まいの愛さんでした。ありがとうございました!


あい:ありがとうございましたー!



 
 
 

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