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Vol.20 トロント在住のかなさん(ホルモン陽性、BRCA2タイプの乳がん)

執筆者の写真: ゆかりゆかり

*ポッドキャストの内容を書き起こして記事にしています。読みやすさを優先して微編集を加えています。 *内容は、ポッドキャスト収録時点の話です。収録と配信までにはタイムラグがありますのでご了承ください。



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こんちわ(根治の輪)第20回のゲストは、カナダのトロントにお住まいのかなさんです。娘さん4歳と2歳の娘さん2人と、日本人の旦那さんと住んでいらっしゃいます。


2022年11月にエストロゲン、ホルモン陽性タイプの乳がんを告知されました。遺伝子検査では、BRCA2であることもわかっています。全摘手術、術後の抗がん剤と放射線治療を終えて、現在はホルモン療法を実施中です。


ワーホリで行ったカナダにとどまることになった話、父方の兄弟が全員なっている乳がん、死ばかりを考えた乳がんが発覚したときの心境、遺伝性であることが救いになったこと。


抗がん剤のピックラインや放射線のtatooなどカナダならではのやり方、AC療法中にトイレで受けたショック、当日帰されるスパルタな手術と術後、夏休み中に子連れで20日間毎日通った放射線、新たな出会いが可能にした治療中のサポート体制、治療のひとつの区切りに実感が湧いた”Cancer is gone”の執刀医に言葉などなど、たくさん伺いました。


かなさんのインスタアカウントは、@november10.byebyecancerです。


それでは、かなさんの乳がんストーリーをお聞きください。


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ゆかり:今回のこんちわ(根治の輪)のゲストは、カナダのトロントにお住まいのかなさんです。よろしくお願いします。


かな:お願いします、かなです。


ゆかり:さっそく自己紹介をしてもらってもいいですか?


かな:カナダのオンタリオ州トロントにいて、夫と、5歳と2歳の娘2人と暮らしてます。


ゆかり:30歳くらいのときにワーホリで海外に出られたんでしたっけ?


かな:そうです。ワーキングホリデーっていう30歳まで使えるビザがあるんですけど、30歳のときにそれでオーストラリアに行って、カナダにきたんです。


またオーストラリアに戻るつもりやったんですけど、今の夫と出会ったんで。で、カナダにとどまることになりました(笑)。


ゆかり:そうなんですね。けっこう出会ってすぐにご結婚みたいな感じだったのかな?


かな:そうですね。カナダに着いて1ヶ月とかで今の夫と出会って、それからずっと一緒にいるんで。でも、会ったときにこの人と結婚したいっていうのはすぐにわたしは思ったんで(笑)。


ゆかり:そっかそっか。


かな:ものにできたっていう感じですね(笑)。


ゆかり:日本人なんですよね、旦那さん。


かな:日本人なんです。国際結婚とかではなくて。向こうも10年前くらいにカナダに大学生として来て。彼はワーホリとかじゃなくカレッジで来て、現地のサラリーマンとして働いて自分で永住権をとってカナダにいる感じですね。


ゆかり:じゃあ、この先もカナダかなって感じなのかな?今のところ。


かな:うーん、夫はやっぱりカナダの働き方が好きみたいで(笑)。カナダが合ってるって言ってますね。わたしはもうどっちでもいいんですけどね。


ゆかり:じゃあ別に日本に帰りたいっていうのもないのかな。


かな:なんか、日本とカナダはやっぱりいいところと両方あるから、でも今は娘2人のためにカナダにいるほうがいいんかなって感じはします。バイリンガルで育てたいなっていうのもあるんで。


ゆかり:ちなみにカナダだったらフランス語とかも習ったりするのかな?


かな:希望すればフレンチの学校に行くことはできますね。


ゆかり:そっかそっか。じゃあ今は日本語と英語?


かな:そうですね。今は英語のパブリックスクールに行ってて、土曜日だけ日本語の学校に行って。


ゆかり:うちも一緒です。


かな:大変ですよね、バイリンガル育児って。


ゆかり:そうなんですよね。やっぱ家庭環境がどうしても、うちは旦那は日本語ちょっとわかるけどっていう程度なので、お家でママだけになっちゃうとプレッシャーが(笑)。


かな:そうそうそう。なんか、最初は勝手にバイリンガルになるのかなって思ってたけど、そうでもなくて。ちゃんと日本語も教えなあかんし、英語も教えなあかんし(笑)。


ゆかり:そうなんですよね。親の覚悟がいりますよね。


かな:宿題もみないといけないんで。親の根気ですよね。


ゆかり:ね。ほんとそう思います。


そしたら、まず乳がんが発覚したのはいつでしたっけ?


かな:2022年の11月10日なんで、もうちょっとで1年経つんです。来週で。


ゆかり:ちょうど1年ですね。ホルモンタイプ、エストロゲン陽性の乳がんですよね。で、さっき収録前にも伺ったんですけど、遺伝子検査をされてBRCA2なんですよね。ご家族とかも乳がんになられた方がいらっしゃるのかな?


かな:BRCA2です。そうなんですよ。父方なんですけど、まずお父さんが長男なんですね。


下が女2人なんですけど、長女のほうが37歳のときに乳がんが発覚して、わたしと同じ年齢やって。37歳のときに発覚して、39歳のときに亡くなってるんですよ。それが20年くらい前の話なんですけど。


7年前にもう1人の妹も乳がんになって。で、標準治療を全部して一回は治ったんですけど、一昨年(2021年)の大晦日くらいにまた違う乳がんが見つかったんですね。同じ右胸で、今度はトリプルネガティブの乳がんが見つかって。で、また抗がん剤をして。


その話をちょうど去年一時帰国してるときに聞いてたんですね。わたし、絶対いつか乳がんになるやんって思ってて。で、帰ってきて数ヶ月後に自分が乳がん発覚したんですよ。


ゆかり:そうだったんですね。


かな:で、これまたビックリなんですけど、1ヶ月前に自分の父親も乳がんが発覚したんですよ。


ゆかり:1ヶ月前ですか?じゃあほんと最近…。


かな:めちゃくちゃ最近に。だから、お父さん側の兄弟全員乳がんで。


ゆかり:ほんとですね。そっかあ。そうなんですよね、男性は乳がんのイメージがないじゃないですか。大半は女性らしいんですけど、男性もなるんですよね。


かな:なるんですよね。で、遺伝子検査も一緒にして、お父さんもBRCA2で同じ遺伝子を持ってて。


ゆかり:そっかあ。じゃあ、お父さんはこれから標準治療を始められるのかな。


かな:そうですね。2週間前に手術して、で、始めは手術だけで終わるよってドクターに言われたらしいんですけど、病理結果をみたら悪性度が高くってけっこう。


同じホルモン受容体なんですけど、Ki67が80%で。リンパも3つくらい転移してて。だから抗がん剤もすることになって。まだハッキリと決まってないんですけど、だから治療中です。


ゆかり:それってどんな感じですか。自分がたどった道を、今度はお父さんがたどられるわけじゃないですか。わたしが思うのは、自分のことだったらどうにかなるかなって思うけど、人のことのほうがもっと心配しちゃったりしそうって思うんですけど。


かな:心配ですね。やっぱり自分が抗がん剤がすごくきつかったんで、なんか身内で同じ思いをする人がいるっていうのがやっぱり心が痛いですね。


ゆかり:そうですよね。しかも離れてるし。


かな:わたしは30代でしんどかったのに、お父さんは63歳なんですけど、60代で抗がん剤するのはきついなと思って。抗がん剤ってきついですもんね。身体的にも精神的にもしんどいですし。


ゆかり:そうですよね。今のかなさんの治療の状況を教えてもらっていいですか?もうアクティブな治療は終わったのかな?


かな:そうですね。今はホルモン治療で毎日タモキシフェンを飲んでて、この間ゾラテックスっていう注射をして。


ゆかり:わたしもタモキシフェンを抗がん剤終了から手術まで6週間開くのでタモキシフェンを飲み始めてるんですけど、ゾラテックスっていうのは注射を打つ人、打たない人って何が違うんだろう?わたしも同じホルモン陽性タイプなんですけど、初めて聞きました。


かな:たぶん、BRCA2のハイリスクの人に処方されるやつやと思うんですよ。で、それもたぶんアストラゼネカのやつで卵巣の働きを抑えてって感じですね。


ゆかり:うんうん。どうですか、タモキシフェンの副作用は。


かな:うーん。抗がん剤でホットフラッシュが出たじゃないですか。それがだいぶ落ち着いてきたんですけど、タモキシフェンを始めてホットフラッシュがまたひどくなってきましたね。


ゆかり:今、服用し始めてどれくらいですか?


かな:2ヶ月かな。


ゆかり:それって、だんだんに身体が慣れていくはずなのかな?


かな:ネット情報によると、始めはきついけど数ヶ月経つとマシになるとは書いてあったかな。


ゆかり:そっかそっか。じゃあ、まだそこにたどり着いてないのかな。


かな:なんか、ホットフラッシュも全身が痒くなるホットフラッシュなんですよ。暑くなってゾワゾワするみたいな。特にお風呂上がりとかは身体の血行が良くなってるから、虫が走るような痒さがあって。だから、ホットフラッシュがけっこうきつくなりましたね。


ゆかり:そっかそっかあ。かなさん、わたしはインスタで見つけさせてもらってフォローさせてもらってたんですけど、「わたしは強いがんファイターではありません」っていう風に書いてらして。「ジメジメがんファイター」って書かれてたんですけど(笑)。


だけど、そういう人は他にもいるはずだから、そういう人の代弁者でありたいっていうことを書かれてて。


必ずしもみんながみんな、すぐスイッチを入れて前向きに治療に臨めるわけじゃないから、いろんな人がいて、だからかなさんみたいな人もそうやって発信してくださるのってすごく意味があるなって思うんですけど。


最初に乳がんがわかって、しかもおばさんのことを聞いた後で自分もなるって思ったら数ヶ月後に実際告知されてっていうときの心境ってどんなでした?


かな:もう、とりあえず聞いた途端、堕落の底に落とされたような感じというか。もともとほんとにネガティブ思考というか、そこまでなんでも前向きに考えられる人じゃないんで。


わたし、たぶん子どもたちの成長見れへんわとか、親より先に死ぬかもしれんとか。死ぬことばっか考えてましたね。なんか、あ、身辺整理せなあかんわとか(笑)。


ゆかり:うーん。


かな:で、やっぱカナダに夫も日本人なんで親がいないんですよね。だから、わたしが死んでしまったら、この人は2人の面倒を見れるのかなとか。日本に帰らないかんかとか。そういうなんかほんとに嫌なことばっかり考えてたんですよ。


で、ネットで見ると嫌なことばっか目に入るし、でもその中で前向きに発信されてる方もいっぱいいて、いやー、わたしこんな風に考えられへんわってずっと思ってますね。今でも思ってますね(笑)。


ゆかり:そっかそっか。でも、最初はもう「死」っていうものしか頭にないみたいな、どんどん悪いシナリオばっかり考えてしまう自分だったのが、乳がんになったことをだんだん交通事故にあった、たまたま自分の身に起きたことみたいに捉えられるようになったって。もちろん時間が経って。


ってかなさんは書かれてたんですけど、そこってどういう風にたどり着いたんだろう?


かな:もう自然にですね。こういうきっかけがあったから前向きにやろうとかじゃなくって、発覚して次の週に外科医と合ってオンコロジスト(がんの主治医)と会って、CTスキャン撮って、MRI撮ってってトントントンとすごい忙しくなったんですよね。


で、考えてる暇がなくて、身体も疲れてるし、心も疲れてるけど、考えてても寝れへんしっていうのがウワーッてなって。で、考えてる暇ないわみたいな。やらなあかんねんやってなったんですかね。たぶん。


ゆかり:じゃあ、もうなんか動くしかないみたいな感じ。


かな:そう、そうそう。動かされてるみたいな(笑)。スケジュールに動かされてるわみたいな。でも、あっという間に手術になって、もう自分の胸が、わたしは部分切除なんですけど、それでもうとって。だからもうあんまり心と身体が一致してない状態でした。


ゆかり:そっかあ。じゃあ、腑に落ちて自分が乳がんだって受け入れて納得してっていうよりは、もう目の前のことをやらなきゃ、走らなきゃみたいな。


かな:走らなきゃ、やらな、手術せな、抗がん剤せなみたいな。そのうちに遺伝子の結果が出て、あ、そっか、わたしタバコも吸ってへんし、お酒も飲まないんですよ。


で、そんなに不健康な生活をしてるわけでもないのに、なんで自分が乳がんになったんやろって思ってたんですけど、あ、遺伝子っていうのがあるんやっていうのでちょっと自分を納得させたというか。あ、わたし悪くなかったんやっていう風にはなりましたね。


ゆかり:自分がしたこととか、しなかったことが原因じゃなかったって。


かな:そうそうそう。何があかんかったんやろ?っていうのも考えたんですけど、あ、違うわ、遺伝子やったんやっていうんのんで、ちょっとフォローにはなりましたね。


ゆかり:遺伝子の検査ってどのタイミングでやったんですか?


かな:もう告知されて、次の週にCT、MRIで、骨シンチグラフィ、遺伝子っていうのをポンポンポンポンってやって。結果が出たんが、手術終わってすぐぐらいやったんで。


ゆかり:そっかそっか。じゃあ、もうなるほどなっていうか。仕方なかったみたいな。じゃあ、まず部分切除の手術をしました、で、その後が抗がん剤?


かな:はい。


ゆかり:抗がん剤をやるっていうのは、手術のタイミングでわかってたんですか?


かな:わかってました。もう抗がん剤は絶対しないといけないからって言うのは、主治医から説明を受けてて。あなたはもう30代やし、BRCA2っていうのも出てるから、ごめんやけど抗がん剤はするよって言われて。


ゆかり:うーん。なんか抗がん剤っていう言葉のイメージがすごくあるじゃないですか。たぶん映画とかそういうものから培われてるイメージなんですけど。とにかく辛いものっていうイメージしかないから。


で、実際かなさんの場合は副作用がけっこう辛かったんですよね。


かな:辛かったですね、抗がん剤。最初にピックラインを入れたんですよね。


ゆかり:そう、それ初めて聞いたんですけど、カナダはピックラインなのかな。ポートみたいなものなのかな?


かな:ポートかピックラインがあるんだけど、あなたの場合は8クールなんでピックラインって。


ゆかり:ピックラインっていうのは、腕に通すっていうことなんだ。二の腕の内側?


かな:ここに入れて長いチューブをずっと原発のガンのところまで通すみたいな(笑)。イメージしたらめっちゃ怖いじゃないですか。


ゆかり:聞くと怖い(笑)。


かな:でも、実際に入れるときは全然痛くなかったです。


ゆかり:それは、じゃあ麻酔して?


かな:麻酔もしなかったです。普通に注射っていうか針を指して、そっから細い管を入れていくんですけど、全然感触がなかったんですよ。


でも、怖いから泣いて、もうやりたくないみたいな(笑)。でも、ナースがあなたならできるわよ!大丈夫、ハッハッハみたいな感じで。


ゆかり:豪快な感じ(笑)。


かな:そうそう(笑)。ほら、終わったでしょ?あなたならできると思ってたよみたいな。その日に第一回の抗がん剤でしたね。


ゆかり:でも、ピックラインって支障はないんですか?普段の生活に。そこに管があって、二の腕の内側だから大丈夫なの?


かな:でも、内側に管みたいなんはぶら下がってる感じなんで、うちもちっちゃい子どもがいるから抱っこしたら絶対引っ張られるじゃないですか。だから、もうそれはネットでカバーしてやってました。で、お風呂に入るときはアームカバーみたいなんつけて入ってました。


ゆかり:それは、じゃあ何ヶ月くらいそれがついた状態で生活してたんだ?


かな:4ヶ月ですね。抗がん剤中はずっとつけっぱなしで。最初はすごい怖かったんですけど、全然すぐに慣れて。一週間に1回消毒してくれる場所みたいなところがあるんで、そこに行って消毒してもらって。


ゆかり:すごい。それ初めて聞いて、そんなのもあるんだって思ったんですけど。で、抗がん剤のお薬はACだから一緒ですよね。AC療法とパクリタキセル。


そう、ACの時の打ちます、でなるべくお水を飲んだほうがいいっていうじゃないですか、身体から出しましょうって。


だからトイレも近くなって、それこそ点滴中ににもトイレに行くじゃないですか。そうすると、おしっこが赤いみたいなショック。


かな:ありました〜。もう、ほんとに。なんかね、抗がん剤を打つ手前ぐらいにインスタグラムを開設したんですよ。で、抗がん剤しますっていうのを投稿して、そしたら変なDMくるんですよ。


ゆかり:そうなんですか?


かな:なんかね、抗がん剤はやっぱ毒やからしないほうがいいですよみたいな。でも、わたし素人やし、やっぱ抗がん剤って怖いから、わたしほんまにしていいんかなっていうのでずっと間にいたんですよね。


でも、わたしの妹が薬剤師で相談したら、抗がん剤はしなあかんよみたいな。抗がん剤しなくて手遅れになるよりかは、ちゃんと抗がん剤をして治療をしたほうがいいよっていうので、納得して抗がん剤を打ったんですよね。


やっぱ、抗がん剤打っても怖くって。あ、打ってしまった。もう引き返せへんみたいな。


ゆかり:身体に入っちゃったみたいな。


かな:身体に入ってしまったみたいな。で、抗がん剤が終わって、トイレ行ったらなんか血のようなおしっこがでて。身体に入ってしまった…みたいな。


ね、わたしは抗がん剤を入れてすぐに副作用を感じたんで。頭皮から手の足先からもうピリピリ痛いような感じ。で、もう口の中の皮も剥けるような感じがすぐ始まったんで。怖かったですね。トラウマにはなってますね。


ゆかり:そっかあ。それで、そんな変なDMとか来てたらやっぱりそうなのかみたいになっちゃいますよね。


かな:そうそう。でも、もう打ってしまったからやらなあかんけどみたいな。でも、すぐに抗がん剤がしんどかったから、もう抗がん剤をとりあえず出す出す出すってそっちに頭をシフトしてやりました。


ゆかり:そうですよね。普段以上にお水を飲みまくってたから、夜中とかもトイレに行く回数がすごく多くて(笑)。それで眠れないみたいになっちゃったんですけど。


それ以外の副作用はどうでした?


かな:副作用が、その2回目の抗がん剤の時にちょっとほんとに動悸息切れがきつくって。で、主治医にテキストしたら肺血栓が起こってるかもしれにから、とりあえず緊急外来に行ってって言われて行ったんですよ。


でも、まあカナダの緊急外来ってほんとにひどくって。


ゆかり:”緊急”じゃないんだよね。


かな:緊急じゃないの、ほんとに(笑)。夜の10時に病院に行ったんですけど、受付をしてくれたのが深夜12時くらいで。ドクターにやっと会えたんが、午前1時とかで。


で、とりあえずCT撮りましょう、点滴もしましょう。で、その間も寒いからブランケットくださいって言っても持ってきてくれず…。で、やっとCT撮れたんは朝の5時とか6時とか。CTとレントゲン撮った後は、昼の3時まで放置でした。


ゆかり:ひどい。


かな:で、もうわたし泣いてナースを呼んで、わたしいつまで待たなあかんの?なんの食べてへんねんみたいな。そしたらパサパサのサンドイッチと牛乳をもらって。


そんなん抗がん剤2日目で食べれるわけないやんみたいな。で、食べへんかったら、え、牛乳嫌いなん?みたいな感じで(笑)。嫌いとかじゃないねんみたいな。わたし抗がん剤2日目やねんみたいな。


ゆかり:なんかあれですよね、アメリカもそうですけど、医療システムの話をし出したら愚痴がとまらないみたいになりますよね(笑)。


かな:とまらない、ほんとに。ナイトメア(悪夢)でした。


ゆかり:ただでさえ副作用で辛いのに。だったら家のベッドにいたほうがまだマシだわって感じですよね。


かな:そう、めっちゃ後悔しました。なんでわたし緊急外来来たんだろうって。でもまあ、その甲斐があって3クール目からは抗がん剤の量を90%まで下げてもらったんですよ。ちょっと下げましょうみたいな。で、もしこれでもきつかったら80%まで下げてもいいしって。ちょっと減らしてもらったおかげか、ちょっとマシになりましたね。


ゆかり:副作用が全体的にマシになった?


かな:うん、全体的にマシになりました。そんときは水さえ飲むんも気持ち悪かったんで。


ゆかり:じゃあお薬を飲んでもあまり効かないって感じなのかな、吐き気止めとか。


かな:吐き気止めが、オランザピンを飲んでたんでたんですけどけっこうきつくないですか?


ゆかり:あれって精神系のお薬でしたっけ?


かな:精神系のお薬で、吐き気がきついときに飲んでねみたいな。それを飲むと朦朧とするんですよね。朦朧とする上に、吐き気もあって。


ゆかり:そう、旦那さんが副作用が辛いときに「つわりみたいだね」って言ったって。それに突っ込んでやったみたいなことをかなさんが投稿されてて(笑)。


かな:そうそう。たぶん、彼も彼でフォローできる言葉を探して言ってくれたんやと思うんですけど、いやいや、ちゃうやろみたいな。そこはそんなもんじゃないよみたいな。


わたしつわりもけっこうきつかったんですよ、2人目のほうは特に。で、つわりを抑える薬も飲んでたくらいきつくって。その時もほんと20時間くらい1日寝てたんですよね。


ゆかり:そっかそっか。


かな:で、そん時みたいだねみたいに言われて。いや、でもつわりはいつか終わるし、いつか終わったらかわいい子どもに会えるやんって。


これは自分の細胞を殺してねんでって。だから、抗がん剤が終わって毎回夫と喧嘩というか、もう泣いて怒ってました。こんなんしたくないー!みたいな。


今思ったら別に夫に起こることじゃないんですけど、もう誰かに怒りをぶつけたかったんやと思います(笑)。


ゆかり:そうですよね、わかります。たまたま旦那さんが一番近くにいるから(笑)。


かな:もうサンドバッグです。


ゆかり:でも、わかんないけど、それが旦那というか家族の役割な気もします(笑)。


そうやってぶつけられる、吐き出す場所が家族に対してとか、周囲の人に対して吐き出せないと、たとえばインスタとかで吐き出すとかっていう風になるのかなって思うから。


実際に周りの人に対してそういうことをぶつけられるのは、ある意味健全なのかなって思うけど。


かな:そうですね。まあ、うちの夫はけっこう大人で、ほんとに全部嫌なことも辛いことも吐き出しました。その時は。ケアギバーも大変ですよね。


ゆかり:うんうん。で、カナダのやり方のひとつで、アメリカもそうなんですけど、手術って日帰りだったんですよね?


かな:日帰りでしたね(笑)。朝の5時に受付して、帰ったんが夕方の6時とかやったんで。もうほぼ12時間くらい。


ゆかり:ですよね。で、帰る時って、じゃあ麻酔がちょっと抜けて自分で歩けますぐらいになってから、じゃあもう帰っていいよって感じなのかな?


かな:そうですね。朝5時に受付をしたじゃないですか。10時くらいに手術をして、わたし麻酔がすごい効きすぎてしまったんですよね。で、手術が終わってリカバリールーム(回復室)に行って、なかなか目覚めなかったんですよ。


で、パッと起きた時に、日本語で「痛い痛い」みたいに言って(笑)。そしたらナースがバババババって来て、携帯のGoogle翻訳で「手術は終わりました」って見せられて(笑)。


でも、そこでもうパニック発作を起こしてしまって、たぶん。あんまりちゃんと覚えてないんですけど、麻酔が効きすぎてるからまた寝てしまうんですよね。


ゆかり:そっかそっかあ。


かな:で、深く寝てしまうから息も忘れるんですよ。で、酸素濃度がどんどん下がっていくから「ほら、wake up、起きて!」みたいなのを繰り返されて。


だから人より2時間くらい遅く起きて。それでも、あなたは帰れるよって言われて帰らされましたけど(笑)。


ゆかり:それでも(笑)。


かな:一応交渉はしたんです。わたし、小さい子どももいるし、病院に一晩だけでも泊まれないって?そしたら、大丈夫、あなた帰れるよみたいな。で、帰らされました。


ゆかり:スパルタですよね。


かな:スパルタですよね。わたし、長女を生んだときも生んで1時間半後に帰されてるんで。


ゆかり:それすごいですね。


かな:だから、まあまあそうかって感じで納得して帰りましたけど。


ゆかり:もう免疫があるんだ(笑)。


かな:そうそうそう(笑)。


ゆかり:それで、術後、朦朧としていてリンパをどれだけ実際に取ったかってどのタイミングでわかったんですか?


かな:えっと、手術して、2週間放置やったんですよ。傷の具合とかを見てもらえるわけでもなくて、消毒もしないままで2週間放置やって。


消毒とかしなくていいの?って聞いたら、大丈夫みたいな。2週間後の外科医とのアポに来てくれたらいいからみたいな。お風呂は?って聞いたら、入りたかったら入ればみたいな(笑)。


ああ、オッケーって言って帰って2週間経って、そん時に病理結果がもう届いてて。はい、あなたの病理結果はこれね。手術で取ったんは2cmくらいで、リンパは11個取りましたーって。え、11個も取ったん?みたいな。


そんなにリンパって取っていいの?みたいなショックを受けたんですけど、もう取ってしまったもんはしょうがないし、文句も言えないまま。


でも、まあテスト結果は11個取った中の1個にだけ転移があったから、これはいい結果だよって言われて。そうか…って(笑)。


だから、もう手術前にもドクターにも会ってなければ、手術後にも会ってないので。


ゆかり:え、でもその2週間放置されてる間って、リンパを多く取ると腕が上がらないとか痛みとかあるって言うじゃないですか。それはどうでした?


かな:やっぱり無理矢理切ってつけてるから、腕は全然上がらなかったですね。


ゆかり:そういう状態があるから、リンパをけっこう取ったのかな?みたいなのはあったのかな。


かな:いや、全然。なんかね、そこは想像しなかったですね。考えもしなかったです。リンパの傷もあったし、リンパを取ったっていうのはあったんですけど、そこまで取られたとは思ってなかったです。だからけっこうショックでした。ほんとに。


ゆかり:そうですよね。インスタにも、やっぱ取ったリンパの数を聞いたときに久々のメンタル崩壊がやってきたって書かれてて。


かな:うんうん。なんか、しかも11個取って1個しか転移がなかったっていう。じゃあそんなに取らんでよかったやんって。


ゆかり:たしかに、そうですよね。それは正しいリアクションですよね。


かな:そうそうそう。戻してよーって思いました(笑)。


ゆかり:それはでも、どう言う風にそのメンタル崩壊してる状態からちょっとずつ上がっていけたんだろう?


かな:結果が、その11個取って1個しか転移がなかったからいい結果だよっていう言葉を信じようとは思いましたね。もう取ってしまったものはしょうがないし、次に行こうみたいな頭にはなりました。


ゆかり:上がらない腕は、リハビリとかをして徐々に使えるようになっていった感じですか?


かな:そうですね。日頃ストレッチあんまりしなかったんですけど、気にかけてストレッチするようになって、あとは2歳になったんですけど、その時は1歳の子どももいたから。


ゆかり:まだ1歳だったんだ。


かな:そう、一歳半とかやったんですよね。で、抱っこしてとか体力作って、もう抗がん剤をすることは決まってたんで、抗がん剤する前に体力つくっとこうって思って動いたりしてましたね。ただ、1月とかやったんで、カナダめっちゃ寒かったんですよ(笑)。


ゆかり:うん、寒そう(笑)。


かな:外に出て散歩する体力はなかったんで。


ゆかり:そっか、じゃあ室内でできる限りのことを。


かな:室内でできる限りのことはしてましたね。


ゆかり:そっかそっか。ちなみに、右胸全摘で、本来だったら娘ちゃんを抱っこする時って右側で抱っこする感じ?


かな:普段から左で抱っこしてて、でも持ち上げる時とか利き手で持ち上げてたんで。あとは掃除してる時にベッドの下のおもちゃを取るのとかがすごい大変で(笑)。


ゆかり:そっかあ。足で(笑)?


かな:そう、届かへんって思って、なんか棒を使ったりしてましたね(笑)。


ゆかり:なるほどー。そうなんですね。術後どれくらい経って、普通に右腕が使えるようになったのって。


かな:でもやっぱ1ヶ月はかかりましたね。


ゆかり:そっかあ。


かな:でも、今でも腕は100%は元には戻ってないです。


ゆかり:突っ張る感じ?


かな:突っ張りますね。突っ張るし、皮が足りない感じ。ホルモン治療のせいで関節痛とかもあるんですけど、関節が固まってるというか。関節の中の水分が減ったような感じ。


だから、なめらかじゃないんですよね、ジョイントしてる部分が。だから、腕は気持ちよくは上がらないです。最近ヨガも始めたんですけど、腕をあげる時とかはちょっと痛いです。回す時とかは。


ゆかり:そっかそっか。で、放射線治療もやられてますよね?それって手術の後、それこそ1ヶ月とか待ってからだったのかな?身体が回復してから。


かな:えっとね。手術して、抗がん剤して、抗がん剤の後にちょっとリカバリー(回復)の期間があるじゃないですか。そん時に、ちょうどうちの夫のお父さんが危篤というか、死にそうみたいになって。


うちの夫は一人っ子なんで帰らないといけなかったんで日本に帰ったんですよ。そのせいで放射線の治療は遅れたんですけど、1ヶ月半後くらいには放射線をしました。


ゆかり:そっかそっか。あれですね、これもまたカナダ話になっちゃうけど、カナダは印にマーカーじゃなくてタトゥーをいれるって。


かな:そうそう(笑)。事前に聞いてたんですよね、放射線はタトゥーやでって言われてて。え?タトゥーってどういうことですか?って(笑)。その場でいれるの?針でインクを刺していれて、全然ちくちくする感じで痛くはないんですけど、でも今でも残ってます。


ゆかり:けっこう何ヶ所もあるってこと?


かな:そうです、ほくろみたいなんが5箇所くらい。


ゆかり:そっかあー。放射線の副作用はどんな感じでした?


かな:やっぱ眠たい、だるいって感じですね。でも抗がん剤に比べたらめっっちゃくちゃ楽やったんですけど。


ただ、今住んでる地域に、広い地域なんですけど放射線の機械がなかったんですよ。毎日じゃないですか。月曜日から金曜日をわたしは20日したんで、車で30分かけて隣町のところまで行って。


地味にそれが辛かったです。


ゆかり:毎日だもんね。


かな:毎日やし、わたし高速はまだ運転できなくって、家族総出でいつも行ってました。夫に運転してもらって、子ども2人がちょうど夏休みやったんで。


ゆかり:重なってしまったんだ。


かな:重なってしまって、だから子ども2人を連れてて旦那連れて、毎日20日間行ってたんですけど。でも放射線のスタッフはほんとにいい人ばっかりで。


ゆかり:せめてもの(笑)。


かな:せめてもの救いでしたね、そこは。うん。


ゆかり:なるほど。それは大変ですね。子ども連れてって、何事も何倍か大変になるから。


かな:やっぱ親がこっちにいいひんものの宿命っていうか(笑)。やっぱ気軽に病院一つもいけないじゃないですか。それは手術んときもそうやし、抗がん剤の時も放射線の時もそれは辛いですね。


ゆかり:そうですよね、ほんと。それはわかります。放射線の20日間のあいだにすごい心が病んでしまったってかなさんは書かれてたんですけど、それはどんなことだったんだろう?


かな:なんかね、いつも放射線に通う時がラッシュアワーの時間やったんですよ。だから、行き道の車の中で子どもらはギャーギャー言ってるし。


もうそれで毎日通うのも家族に対して申し訳ない気持ちになって。しかも、いい季節じゃないですか、カナダの夏って。そんな時にこんな放射線通うのもなんかなーみたいな。


ゆかり:そっかそっか。


かな:そこはけっこうストレスでしたね。


ゆかり:それはほんとわかります。想像するだけで、わたしも同じ年くらいの子どもがいるから。車の中もね、しかもラッシュアワーとかほんとやめてほしい。


かな:ほんとに大変でしたね。放射線は放射線で。


ゆかり:じゃあ、まあ20日間をなんとか乗り越え、そしたら心が落ち込んでたところから抜け出せた感じだったのかな?


かな:ほんとに全部がそうなんですけど、駆け抜けろーみたいな感じで駆け抜けてた感じですね。放射線も。


で、放射線終わって、ま、どっかパーっと旅行行こうっていう目標もあったんで。ドミニカ共和国に行ったんですけど、そのために頑張るぞと思って頑張ってました。


ゆかり:なんか日焼けしちゃダメって言われたけどってやつ?


かな:そうです(笑)。もう我慢できないんですよね。もういいやって思って。


ゆかり:目の前に海があったらね(笑)。


かな:そうそうそう(笑)。カナダは海がないんで、思いっきり泳ぐことはできないんですよずっとコロナもあったし、海に行けなかったじゃないですか。だから、もういいやと思って。別に皮がただれようがいいやと思って泳ぎました(笑)。


ゆかり:そっかー(笑)。それで、放射線治療が終わって、やっぱみんなが聞きたい言葉だと思うんですけど、執刀医の先生から「もうガンが消えたよ(Cancer is gone)」って言ってもらったっていうのは、これは何かの検査をベースにしてるのかな?


かな:検査はベースにしてないです。もうなんの検査もないんですけど、放射線が終わって、放射線のドクターにはこれであなたはフリーだねって言われてたんですけど。あんまピンと来なかったんですよね。なんか別に来週も病院行くしなーって。


で、わたしはBRCA2があるから、今後もまたおっぱいをとるんですよ。予防切除で。で、執刀医に会って次の手術の話をしてる時に、わたしってどうなん?みたいな感じで聞いたら「もう大丈夫!あなたはCancer freeよ」みたいに言われた言葉で、あー、やっと終わったんやっていうのはありました。


うん。そこでなんか言葉で救われたというか。で、張り詰めてたものがふぁーっとなったというか。やっぱね、夫が初めて泣きましたね。


彼もほんとに2022年の4月に自分のお父さんが肺がんってことがわかって、11月にはわたしが乳がんってことがわかって、けっこうケアギバーとしてすごいしんどい1年やったんですよね。


で、お父さんのこともある中、わたしがガン治療をしてるのもすごいストレスもあったと思うんですよ。恐怖もあったと思うんですけど。


ま、執刀医のCancer is goneっていう言葉に、あー、よかったって言うのがほんとになったみたいで。帰りの車で泣いてましたね、彼は。


ゆかり:そうなんですね。そっかあ。そう、なんか治療を次から次へとあるから、どのタイミングで「あ、もうやったぞ」っていうか終わり感っていうのかな。


かな:終わり感がないですよね。でも、なんか終わりを思わんでおこうって思ったんですよね。なんか、完治を目指そうと思わへんくなったっていうか。


なんか、乳がんって10年経っても再発する可能性はあるっていうじゃないですか。がん自体そうじゃないですか、いきなりまた転移があって再発があってみたいな。


なんか完治を目指してたら毎日ビクビクするなって思って。だからもう完治を目指すなじゃなくて、とりあえず今は大丈夫って思うようにしようって思って。


ゆかり:うんうん。じゃあ、あんまり先のことをこうかな?ああかな?って考えるよりも、今に集中するっていう。


そっかそっっか。でも、かなさんたちはカナダにいらっしゃってご家族とかも周りにいなくって、どういう風なサポート体制っていうのかな?


かな:なんかね、すごい不思議な話で、あんまりスピリチュアルなこととか考えたこととかないんですけど、乳がんってわかる1ヶ月前に2人の友人と知り合ったんですよ。


1人がカナダ生まれの日本人の方で、その人がもともと医療従事者なんですよ。で、日本語も英語も完璧にしゃべれる友達で、だからその人にうちの夫も10年以上カナダには住んでてこっちのサラリーマンとして働いてるんですけど、医療英語になるとやっぱりわからないじゃないですか。だからそのお友達についてきてもらって通訳してもらったりしたんですよね。


で、もう1人はここから10分くらいに住んでる友達で同じような年代の子どももいて。なので、その人がほんとにしょっちゅう家に来てくれて家事もしてくれるし、子どもの対応もすごい上手で全部面倒見てくれて。


ゆかり:そっかあ。


かな:だからめちゃくちゃ助かりました、その2人には。


ゆかり:ご縁ですね。しかも、最近できたお友達だったっていうのが。


かな:そうです、ほんとに1ヶ月前くらいにわかって。それで乳がんがわかったから、出会ってすぐに相談するのもあれやけど、助けてって言ったら、快く2人とも助けてくれたんで。その2人にはほんと助かりました。


ゆかり:良かった。でも、ほんとそういうのってありますね。家族がもちろんいてくれたら心強いし助かるんだけど、いないならいないなりに友人だったりとか周囲の人たちがありがたいことにサポートしてくれるっていうか。


えっと、かなさんは乳がんになって自分の生き方とか人生観とかで変わったりとか気付かされた点とかってありましたか?


かな:やっぱ感謝するようにはなったんと、せっかく生きてんのやからやらないかんなっていう気にはなりましたね。


今までは、死ぬまでの退屈凌ぎやくらいの気持ちやったんですよね。だけど、せっかく生きて命を繋いでるからちゃんと子どもの成長も見守りたいし、必死で生きようって言う気持ちにはなりましたね。真面目に生きようと思いました。


ゆかり:そっか。あと、ちょっとさっき話したんですけど、再発の恐怖って常にあって、いろんな痛みをそこに繋げて考えてしまうみたいなのって一回乳がんになったらずっと付き合わなきゃいけないのかなって思うんですけど。


今一応一連の標準治療を今の乳がんに関しては終えましたっていう段階で、どうですか?


かな:うーん、まあ、ほんとに遺伝子は持ってるっていうのは逃げられないのがあるんで。


明日はとりあえず卵巣のエコーをとりにいって、で、主治医には「早く取れ」って言われてるから、だからまだ治療に追われてます(笑)。


だから終わってるけど、まだ終わってないから。こなしてるというか。


ゆかり:次から次へとまだ。


かな:まだ終わってないんでね。


ゆかり:だから、なんか付き合っていくっていう感じなのかな。


かな:そうですね。あまり深く物事を考えず。やっぱ考え出したらキリがないじゃないですか。今でも腰が痛かったら、腰が痛い、転移かな?とか、頭痛い、転移かなとか考えてしまうんで。


ゆかり:わかります。


かな:あんまりなんでもシリアスにとらえるのはやめようって思ってますね。


ゆかり:これまで治療をずっとやられてきて、その間にかけられた言葉、サバイバーでもお医者さんとか看護師さんとかでもいいんですけど、すごく励みになったとかプラスになった言葉とかってありました?


かな:なんか、カナダってある意味いい感じで気が抜けてるんで。わたしは英語が得意じゃないんですよね、まだ。


だから、わたしにわかるような英語でいつも説明してくれるんですけど、”Your cancer is good”とか(笑)。あなたのキャンサーはいいキャンサーよ、みたいな(笑)。


ゆかり:ちょっと心が軽くなる感じ。


かな:そうですね。なんか日本語やったらそんな感じで言われへんと思うんですけど、あなたのキャンサーはいいキャンサーよみたいな言葉は救いにはなりましたね。


ゆかり:そっか(笑)。ちょっと拍子抜けな感じもあるけど、それでちょっと楽になるみたいな。


かな:そうそうそう(笑)。楽になるし、あとは、ほんとみんな褒めてくれる文化なんで、めっちゃくちゃ褒めてもらいました。あなたはすごい頑張ってるよーみたいな。励みになりましたね。


ゆかり:最後に、これから乳がんの治療に向き合いますよっていう女性にかなさんが伝えたいこととか伝えてあげられることは何かありますか?


かな:やっぱわたしもそうやったんですけど、告知直後はもうほんと出口の見えないジェットコースターに乗せられたみたいな感じやったんですけど、終わりはあるというか。なるようになる。その一言。もうなるようになるなとは思います。


あんまりいっぱい考えてもなるようにしかならへんし、ですね。なるようになる。


ゆかり:目の前のことをこなしてくっていう感じなのかな。


かな:そうですね。目の前のことをこなして、食べれるときに食べて、寝れるときに寝て、吐きそうでも、吐いてもいいから食べて。


なんか、これは友人に言われたんですよね、もう何も食べられへんくて、でも食べなあかん、食べろ食べろっていうプレッシャーがしんどいって思った時があったんですけど、友達に「吐いてもいいやん、食べーや」って言われて。それで食べられるようになったんですよね。


なんでもそうやと思うけど、さっきも言った再発とか転移のことを考えてても楽しくないし、もうこれからずっと付き合っていくようなもんだと思うんで、なるようになる。


ゆかり:そっかそっか。ありがとうございます。


なんか、ほんとあれですね、インスタでいろんな場所、全然離れたところにいる方だけど同じように乳がんと向き合ってる形と繋がれるのはありがたいですね。


かな:なんかわたしがインスタ作ったときって、全然いなかったんですよね。海外で闘病してる人のアカウントって。


で、わたしほんと英語が得意じゃないから基本的に日本語のページで見たくって、検索しててもなかったから、あ、じゃあわたしが作って備考録として残しておこうって思って始めたんですけど。


でも、こうやって繋がれてほんとに嬉しいです。


ゆかり:まだね、治療というかBRCA2でいろいろ続くけれども、ひとつずつ乗り越えていけるように応援しています。ありがとうございました。


かな:手術はこれからなんですか?


ゆかり:手術は2週間後くらいです。抗がん剤が終わってMRIをとってどれだけ効いたかっていうのを見て。


体積は8分の1のサイズにはなってたんですけど、でもやっぱりまだ残ってるっていうのがあるから、手術は怖いけど、それも全部バイバイできるって思うと早くしたいなっていう気持ちもあるので(笑)。


かな:そうですね。わたしも初めに手術をやってから抗がん剤だったんで、ま、それはそれで良かったと思ってます、もう早く取ってほしかったんで。

ゆかり:ですよね。


かな:取ったら取ったで、やっとなくなったってなるからスッキリしますね。ちょっと怖いけど。


ゆかり:そう、だけど、もうそれが一つのパッケージって思ってるから。


かな:入院させてくれるんですか?


ゆかり:ううん、日帰り(笑)。


かな:ですよね(笑)。


ゆかり:そうそう、日帰りだから。手術は3時間くらいでわたしはエキスパンダー入れるので、それを含めて3時間くらいかな。だからその日の夕方には帰れるよみたいな感じでしたね(笑)。かなさんに続けるようにがんばります!


かな:応援してます。


ゆかり:ありがとうございます。今回のゲストは、カナダのトロントにお住まいのかなさんでした。ありがとうございます。


かな:ありがとうございました。

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