*ポッドキャストの内容を書き起こして記事にしています。読みやすさを優先して微編集を加えています。
*内容は、ポッドキャスト収録時点の話です。収録と配信までにはタイムラグがありますのでご了承ください。
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こんちわ(根治の輪)第6話のゲストは、宮城県にお住まい、38才のYukiさん(以降ゆきさん)です。2022年10月5日にホルモンとHER2のすべてが陽性のトリプルポジティブの乳がんを告知されました。最終的なステージは3Aでした。
以来、AC療法を8クール、2023年5月末に右胸全摘と広背筋を使った再建手術を終えられました。術後のカドサイラというお薬を使った化学療法を14回行うことが決定しています。
本編でも話に出てきますが、ゆきさんは乳がんのことを職場の方やご友人など周囲の方にっオープンに話されていて、@breastcancer.yukiのインスタグラムのアカウントでもご自身のご経験やそのときの思いなどを詳しくシェアしてくださっています。
ゆきさんは独身でいらっしゃるので、乳がんがわかって抗がん剤治療を始める前に迫られた卵子を凍結するかの判断、かなりきつかった副作用によって生まれた抗がん剤治療への不安にどう向き合ったのか、背中の筋肉、こうはいきんを使った右胸の再建手術、がんばらなくていいというメッセージまで、たっぷり伺いました。
それでは、ゆきさんの乳がんストーリーをお聞きください。
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ゆかり:今回の「こんちわ(根治の輪)」ゲストは、ゆきさんです。
ゆき:よろしくお願いします。
ゆかり:ゆきさんはまたこれはインスタ繋がりなんですが、2ヶ月前に手術を終わられたということで、ちょっと先を行かれている先輩の声を聞きたいというのもあって今回ゲストにきていただきました。まずは、簡単に自己紹介をお願いしてもいいですか?
ゆき:はい。宮城県に住んでいるゆきと言います。仕事はブライダルジュエリーといって、婚約指輪とか結婚指輪の販売をしているんですけど、今は治療中ということでしばらく休職させていただいているような感じです。38歳です。
ゆかり:術後のお話とかもけっこう細かくインスタグラムのアカウントに書かれているんですけれども、その話に入る前に一番最初に乳がんの発見に至った経緯みたいなのを聞いてもいいですか?
ゆき:わたしは見つかったのが実はけっこう前なんですけど、2021年に仕事前にシャワーを浴びていたら、右の乳首から血液みたいな赤いものが流れてきたんですね。
なんだこれってなって。看護師の友人になんだこれっていうので相談したらすぐに乳腺科に行きなさいっていうことで、いろいろ検査をして、そのときは悪性の腫瘍というか、がんではないと言う結果になったんですけど。
そこがきっかけでちょくちょく検診を4ヶ月に1回くらい受けて、2022年、去年の7月にエコー検査をしたときに、ちょっとこれは怪しいなっていうことでさらにMRIとかPETスキャンとかをやったら、今回は間違いなく乳がんですねっていうことで。
それで、2022年の10月から抗がん剤治療が始まった感じです。
ゆかり:タイプはHER2陽性でしたっけ?ホルモンは陰性ってことなのかな?
ゆき:HER2陽性でホルモンも陽性です。
ゆかり:じゃあトリプルポジティブってことですね。ちょうど1年くらい前ってことですよね、最初に乳がんが発覚したのが。
ゆきさんのインスタの投稿をさかのぼって拝見すると、一番最初はステージ1だって言われて、そこから2段階くらい上がって最後はステージなんだったんですか?
ゆき:いまはステージ3Aです。
ゆかり:それってどういうことなんだろう。それだけ大きくなったということなんですかね。最初に言われたのと違うよみたいな。
ゆき:そうなんです。ちょっとそれがいざこざみたいなのがあったんですけど。
うーん、なんか生検で針を刺して検査をする段階で、だいたいこのステージかなっていうのを医師のほうで断定した感じの口ぶりで説明したんだなっていう。あとでいろいろと自分でも情報を入れて結果的に考えて。
検査結果というより、だいたいこのくらいだなっていう結果を教えられたというか。わたしもちょっと当時わからなかったので。
ゆかり:わからないですよね。
ゆき:ステージ1なんだ、そうなんだっていう感じで受け止めていたので。なんかその医者とわたしとの意思疎通がしっかりいっていなかった結果だったのかなって。
ゆかり:そっかそっか。一番最初の先生がけっこう酷かったというか、その検査結果を待たずに断定して伝えてきた先生だと思うんですけど、相性が。でもそこから違う先生に変わったのはどのタイミングから?検査とかをしているタイミングから変わった感じですか?
ゆき:一番最初の乳がんかもしれないっていって検査をして、やっぱり乳がんじゃなかったですねっていう最初のときがあって、その後、4ヶ月に1回くらいの検査のときに違う先生に変えてくださいって言って。
クリニックを自分から変更した感じですね。そしたら、たまたまいい先生に巡り合って、その先生とは相性が良かった感じ。
ゆかり:最初の今考えたらむかつく!みたいな先生とのやりとりの中で、なんか学んだこととか、今後、もしお医者さんと付き合うことがあったらこうしようみたいな教訓みたいなものはありましたか?
ゆき:あります。けっこう、わたしはこう受け身タイプというか、自分からこうですって感じの性格ではないので、言われたら言われるがままみたいなところがあるんですけど。
そうするとけっこう自分の心へのダメージもひどいし、自分の思っていることも絶対わかってくれないので、ちゃんと思っていることを伝えてわからないことは全部ちゃんと聞かないと、先生とのやりとりが絶対的にうまくいかないなっていうのは学びました。
ゆかり:わたしもアメリカで治療をしていて、わたしの勝手なイメージでは多分日本のほうがきめ細やかな対応をしてくださるかなと思うんですけど、こっちはもうちょっと大雑把だったりするので。
自分がいかに主導権を握って、もう質問をリストにしていって上から順に聞いていく!みたいな(笑)。満足いくまで帰らない!くらいの気持ちが必要なんだなっていうのは普段から感じますね。
ゆき:そうですよね。
ゆかり:2022年の7月に初めて乳がんですねってなったときって、どういう気持ちだったというか、受け止めるのにやっぱり時間がかかった感じですか?
ゆき:そうですね。乳がんですねって言われる前も、いろいろな検査をして乳がんですねっていう期間がやっぱりあるので。
その期間中に、わたしはけっこうリサーチするのでいろいろ調べて、わたしは乳がんなんじゃないかみたいなのを調べていたので、ある程度言われた段階でがーんと落ちた感じではありました。その時点で。
ゆかり:わたしもやっぱりグーグルで調べちゃったりするんですけど、自分がそうではないって思いたいほうの情報を信じようとしません?そんなことない?(笑)。
ゆき:あー。それもありますね。
ゆかり:でも、ここにはこう書いてあるからきっと違うよみたいな。そう信じたいから。でも、そうやってご自身で調べるなかで、乳がんの可能性も十分あるなってことはわかっていたってことなのかな。
ゆき:たぶん違うだろうなっていう気持ちでは思ってるんですけど、先生からそうですって言われたら、あー、そうなんだって。今まで集めた情報が全部頭のなかでぐるぐる回ってた感じですよね。
ゆかり:そうですよね。最初は抗がん剤治療、ACでしたよね?を始める前に、抗がん剤治療の副作用についてのお話がお医者さんからあるじゃないですか?
そのときに、これもまたゆきさんの投稿を拝見したんですけど、ゆきさんはまだご結婚もこれからだし、お子さんとかってことも将来的に考えるんだったら、抗がん剤が卵子とか妊娠する力に与える影響みたいなのも先生との間できちんと話せた感じでしたか?
ゆき:やっぱり抗がん剤が始まると妊娠が難しくなるっていうお話はしっかりとあって、もし、望むのであれば卵子凍結をしておきますか、どうしますか?っていう感じだったんですね。
ただ、治療を始めるちょっと前くらいから、しこりがどんどんどんどん大きくなるのがわかるくらい急激に大きくなっているのを自分でも感じていて、担当の主治医のほうからも早くしないといけませんよみたいな感じのお話もあったし。
今現在特にパートナーがいるわけでもないので、ちょっとこれは自分のために早く治療を始めようかなって思って卵子凍結とかはしないで。もし、将来的に子どもができたらいいかなとは思っていたけれど、できれば自然に妊娠できればいいかなって思っていたので、わたしはしない決断をしました。
ゆかり:そこで無理にそれを優先して治療を遅らせてしまうよりは、今はまず自分が元気になることを優先したってことですよね。
で、治療の流れはこれまでの経緯を振り返ってもらうと、まずAC療法を8回やって、で手術…?
ゆき:で、これからまたドタキセルが始まります。
ゆかり:それはどれくらいやられるんですか。
ゆき:それも12回くらいですね。
ゆかり:点滴ですよね。
ゆき:あ、ドタキセルじゃない。すみません。カドサイラか。
ゆかり:ACを結局8回全部やられたんですよね。わたしもACをやるんですよね。今はパクリタキセルっていう軽めの抗がん剤のお薬をやっていて。
それを4回やったら次はACを4回隔週でやることになっていて、副作用がどうなのかっていうのが人によるから必ずしも当てはまらないんですけど、でもゆきさんの投稿をみているとなんか覚悟しなきゃっていうか。本当に壮絶な感じが伝わってきたので。
特に1回目が辛かった感じですか?それとも蓄積されていく感じだったのかな?
ゆき:蓄積もされてはいたけれど、一番最初が一番辛かったですね。
ゆかり:何が特に辛かったですか?全部?
ゆき:けっこうわたしは全部ですね。なんだろう、吐き気、身体も痺れるような痛みとか、頭痛とめまいと、息苦しい、息ができないみたいな感じとか。全部の症状が痛みのマックスくらいできて、それは大変だったんですね。
ゆかり:それってお薬とかを飲んでもすべての副作用が出た感じだったのかな?
ゆき:痛み止めはもらってたんですけど、それを飲んでも効かなくって。自宅にいたので、なんとかその日は耐えてって感じですね。
ゆかり:もう、のたうち回るみたいな。
ゆき:うーん。本当にそんな感じでした。
ゆかり:じゃあ1回目それだけひどい副作用があってもう無理って思うレベルで、それをじゃあ先生に相談して、2回目以降、少しでも和らげられるようにっていう調整みたいのはできたんですか?
ゆき:そうですね。ちょっと副作用が強すぎてもう抗がん剤をやるのが怖いからやりたくないですっていうまでの気持ちになっていたので。
そんなに辛いんだったら、じゃあ100%の量じゃなくて85%に減らしましょうっていうことで量を調整することができるようで。それでちょっと少なくしてもらって副作用がちょっと弱くなったかなっていう感じですね。
ゆかり:でも、お薬を増やすとか違うお薬を、例えば吐き気止めとか、そういう感じではなかった?
ゆき:うーん。服用の飲み薬はちょっと変えたりとかはしましたけど、抗がん剤自体を変えるってことはしなかったですね。
ゆかり:ちなみにゆきさんはブースターとかって打ったんですかね。あの白血球をあげるための。
ゆき:打ってないですね。
ゆかり:じゃあそこはいつも8クールともギリギリパスするレベルの白血球は保てていたっていうことなんですかね。
ゆき:そうですね。抗がん剤の前に血液検査をして、それで問題がなければそれで普通にやっていたので。
ゆかり:じゃあAC療法を8回なんとか乗り越えられたのは、85%の量に減らしますっていうのと、多少飲み薬とかを変えて、あとインスタで拝見したのが高濃度ビタミンC?あれも点滴ですか?
ゆき:点滴で、それは1週間に1回くらいやっていって。ただ、日本だと保険適用じゃないのでけっこう料金が高くってあれだったんですけど。でも、それをやったら副作用がけっこう抑えられて効いたんですね。
ゆかり:高濃度ビタミンCは何回目から始めたんですか?
ゆき:1回目をやって1週間後くらいからですかね。
ゆかり:それはもちろん自由療法だから、違う先生を見つけられてってことなんですよね。
ゆき:そうですね。ただ、検査をしていたクリニックの先生、その相性がいい先生に出会ったってさっき話したところでビタミンC点滴をやっていたので。検査をやってもらっている先生のところでビタミンC点滴もしてもらっていた感じですね。
ゆかり:副作用を抑えるためにその方法にたどり着いたのはどういう経緯だったんですか?
ゆき:それもちょっと複雑なんですけど、母の知り合いでがんなどの病気をされた方がいらっしゃって、その方がお世話になったがんの専門の先生がいらっしゃって。
その方に副作用が酷すぎて抗がん剤をするのが辛いんですけど、でも治したいんですけど、どうしたらいいでしょうと相談したところ、ビタミンC点滴っていうのがあるからそれをやると副作用が軽減できる可能性が高いから調べてやってみてっていうお話だったので。
そこで調べたら、ちょうど自分がかかりつけ医のクリニックの先生のところでやっていたので、ちょっと受けたっていうような経緯ですね。
ゆかり:じゃあゆきさんの実感、これは全部人によると思うので同じことをやっても効果がどれだけ得られるかは人それぞれだと思うんですけど、ゆきさんの場合は1週間に1回高濃度ビタミンC点滴を打つことで副作用が全体的に軽くなった感じでした?
ゆき:そうですね。最初に比べたらけっこう改善されて軽くなりました。
ゆかり:じゃあそれは8クール全部終わる最後まで続けられたんですか?
ゆき:そうですね。やりました。
ゆかり:難しいですよね。ゆきさんの3月頭の投稿で、抗がん剤治療をやることに対する迷いみたいなのがあるっていうことを書かれていて、もっと自然療法、抗がん剤っていうどぎつい形ではない違う方法はないものかみたいな。
わたしも一瞬ちょっとそういうことを考えたことがあって、中国系のヒーラーみたいな人に話を聞いたりしたんですよね。ほんと顔見知り程度の人がそういうのにすごく近いことをやっていて。
なんかその辺ってゆきさんのなかでは、どういう風に折り合いをつけて、最終的にやっぱり抗がん剤治療っていう風に決められたわけですけど、どんな思考だったのかなって。
ゆき:そうですね。やっぱり抗がん剤を打つってなると身体へのダメージも副作用とかも物凄いし、抗がん剤を打った後にトイレとかも2回必ず流してくださいとか、もし吐いた吐瀉物とか何かあれば家族の方でも手袋を必ずして絶対に触らないでくださいとかって言われる、けっこう危ない薬じゃないですか。
ゆかり:ほんとですよね。わたしも子どもと同じトイレは使わないようにって言われてます。
ゆき:そうですよね。それって、やっぱり怖いなっていう思いがすごくあって。食事療法とか食事で何か変えられるとかいろいろあるじゃないですか。
そういうので改善できたらいいなとは思いながらも、ただその乳がんが発覚した2022年の胸のゴツゴツした9cmのしこりで手で触っても胸全部がしこりみたいなくらいの大きさだったので、もし抗がん剤をやめたらまたあれになるのかっていう恐怖でぐらぐらで揺れていて。
ただ抗がん剤の副作用が軽減できる方法もあるってこともわかったので、もっと軽減できるものを探していって治療をしたらいいなじゃないかなっていう方向に考えがまとまった感じですね。
ゆかり:そっか。主には食生活とか、普段の生活を身体にいいものにするっていう感じなんですかね。
ゆき:けっこう一番最初の頃は食べ物に気を使いすぎて、お肉はもうほとんど食べないとか、フライとか揚げ物は食べないとか。小麦粉もグルテンフリーにする、パンを食べないとか。
もう限界で(笑)。やりすぎると限界がくるんですよね。なので、最近は気にしつつあまりお菓子とかを食べないようにするくらいでバランスを保てるような感じにしようかなって(笑)。
ゆかり:でもそれすごくわかります。わたしも自分が乳がんだってわかって、わたしも8cm のしこりがあって、けっこうすごいあっという間に大きくなったなっていうのがあったので、とにかく砂糖はダメだとか、炭水化物も結局グルテンになってダメだとかっていうどんどん食べるものがなくなっていって(笑)。
ゆき:そう、食べられない(笑)。
ゆかり:砂糖って、じゃあ果物も砂糖じゃんみたいな感じで。わたしも知識がないから、最初はそう思ってそれも食べなくてとかってやってて。でも、マラソンとしてやり始めないと、短距離じゃないから。
乳がんだってわかって1ヶ月くらいはあらゆるものを絶って、良質なタンパク質と穀物も食べるならホールグレイン、たとえば玄米とかってしてたんですけど、最近はだいぶゆるくなりましたね(笑)。
それで精神的にきてしまうというか。あ、食べちゃったみたいになって落ち込むストレスのほうがよくないかなって思い直して。
ゆき:同じです(笑)。
ゆかり:だからほどほどにってことを学びましたね(笑)。
ゆき:そうですね。
ゆかり:じゃあ今は食生活を含め気をつけながら、そのほかにやってらっしゃることって運動でもなんでもいいんですけどあったりしますか?
ゆき:そうですね。わたしはけっこう水をよく飲むんですよね。
ゆかり:大事っていいますよね。
ゆき:仕事をしていたときは、わたし1日で500mlのペットボトル1本くらいしか飲まない日がけっこうあったんですよね。
ゆかり:お仕事は接客なんですよね。
ゆき:そうですそうです。接客業でずっと立ちっぱなしで、接客でお客様とお話なのでなかなか忙しいと大変で水分もとれないってところもあって。
今はもうずっと家にいるので、2〜3リットルくらいを1日に飲むように気をつけてますね。
ゆかり:でも、わたしもそれは抗がん剤の副作用に一番大事なのはとにかく水分をとることって言われてるので。
わたしも同じ感じで前は全然飲まなかったんですけど、今はもうがぶがぶ飲んで。マイボトルみたいなのを用意して、そうすると自分がどれだけ飲んでるかわかるので。だから、ひたすら飲んで、出す(笑)。
ゆき:そうそうそう。それが大事ですね(笑)。
ゆかり:それなんかすごく基本的なことだけど先生には一番大事よって言われたことです。
そう、2ヶ月前にゆきさんは右胸の全摘と再建をされて、その先を歩く先輩の話をぜひ伺いたいんですけど。
これもまた、壮絶なのはインスタの投稿からも伝わってきたんですけども、そもそも全摘をするっていうのはゆきさんの判断だったんですか?部分的にではなく。
ゆき:全摘をしなければいけないほどの大きさがもともとあったので、先生のほうから手術するんだったら一応がんの形で部分的にも手術できることはできるけど、変にがんの細胞を残してしまう可能性もあるから、だったら全摘をしてしまったほうがおすすめというか。
ゆかり:ちなみに抗がん剤治療を8回やった後にしこりがどれくらい小さくなってたかは覚えてますか?
ゆき:あ、はい。9cmだったんですけど、手術が終わってから見てもらったら4mmにまで小さくなっていて。かなり小さくなりましたね。
ゆかり:じゃあすごい効いたんですね。でも、ゆきさんも詳しくインスタで投稿されてましたけど、やっぱり見えないところにがん細胞が残っているかもしれないしやっぱり全摘しますってことで。
で、再建が広背筋(こうはいきん)っていうんですか?ゆきさんがお持ちの知識の中で、どういう再建の方法なのかを教えてもらってもいいですか?
ゆき:はい。わたしは右胸の乳がんだったんですけど、右の背中の広背筋、背中の筋肉なんですけど、そこの筋肉を切り取って胸の中に入れるっていう手術なんですね。怖いですよね。
ゆかり:じゃあそこの筋肉はなくなってしまって、ゆきさんは今その部分は左側しかないってこと?
ゆき:その一部分だけそうですね。背中はけっこう大きな傷ができていて、40cmくらいは斜めに切っていて。そうですね、筋肉が右胸に入ったという感じ。
ゆかり:そっか、だからダブルなんですね。全摘でそっちの再建もあるけれど、背中の傷口もあるから。
ゆき:そうなんです、表と裏が痛い感じで。
ゆかり:だから、どう転んでも痛いですよね。寝方も。
ゆき:入院中はそうでしたね。
広背筋の再建の方法だと、筋肉を胸として入れているので、年数が経つと、筋肉って脂肪じゃないからちょっと縮むそうなんですね。なので、5年後か10年後か、かなり年数が経った頃にちょっと胸のサイズが変わってくる可能性はありますねっていうようなお話はあったんですけど。
わたしの通っている病院で自家再建、自分の体で乳房再建をする場合だと、広背筋かお腹の脂肪を使うかっていう2拓だったんですね。
で、お腹のほうだとお腹も30-40cmくらいかなりの傷ができるっていうのと、腹筋がなくなってしまうので術後もそっちのほうが大変みたいで。
わたしの胸のサイズからいくと、広背筋の背中の筋肉だけで左右で見た時にバランスも同じくらいになりそうだからって。術後も早く回復できるのは広背筋のほうってこともあって。それで、背中からの再建を選びました。
ゆかり:そうなんですね。わたしの限られた知識では、アメリカではインプラントを入れた再建っていうのが一般的みたいで、外科医の先生とこの前話した時も当たり前にその方法だよねみたいな前提で話が進んだんですけど。
そういう選択肢はゆきさんの通われている病院ではないっていうことなのかな。
ゆき:インプラントでできるのが、ステージ2までだったんですね。あと、もし手術後に放射線治療とかがあるとインプラントだと当てられないっていうことになっていて、なのでそもそもわたしは選べなかったんですね、インプラントは。
ゆかり:なんかほんと病院によっても国によってもやり方が違うから。わたしは放射線治療を全摘の後にやるんですけど、それでもインプラントになるはずで。なんか徐々に大きくしていくみたいなやり方ではあるんですけど。
じゃあ前と背中も切って、もう痛い痛いって感じですか…。
ゆき:そうですね。手術が終わってしばらくはだいぶ痛くて、背中をつけてベッドに眠れないので。
ゆかり:横?
ゆき:入院していたときはリクライニングで頭を高くあげて座ってる状態で寝るっていう(笑)。傷があたらないように。
ゆかり:お薬とか痛み止めとかもらって、それは効いてました?
ゆき:わたしなぜか効かなくてですね(笑)。なかなか効かなくって。4時間に1回飲んでくださいっていうような痛み止めをきっちり4時間ずつ飲んでも術後すぐはあまり効かなくて。そんな感じでずっとお薬を飲んでましたね。
ゆかり:なんだろう、でもリハビリというか、動き出してくださいねみたいなのは術後のどれくらいのタイミングからでした?
ゆき:そうですね。歩いたりは全然できるんですけど、なんでしょう、ものすごく動くっていうのが手術が終わった後にドレーンっていうのがつくんですけど。
けっこう腕を動かしてリハビリをしたりっていうのは、ドレーンが全部抜けるのがわたしは3週間くらいかかったんですね。
3つついていて、1週間〜10日くらいで1個2個と外れて、退院日まで最後の1個は残っていたので。それが全部とれてから徐々に腕とか手術したほうも動き出す感じでしたね。
ゆかり:ドレーンって重いんですよね?
ゆき:うーん、でも一個ずつはものすごく重いってわけじゃないんですけど、やっぱり何個もついているとちょっと重いですね。
ゆかり:あと、ほかにもホットフラッシュとかもあったって書かれてましたけど。
ゆき:ちょっとそれは抗がん剤の副作用で残っていたものかどうかはわからないんですけど、急にものすごくぶあーっと暑くなってきて。もう冷やさないといられないような感じがあって(笑)。それが何回も何回も1日のうちにあるんですよね。
ゆかり:波みたいな感じで。
ゆき:そうですね。それが大変でした。
ゆかり:じゃあ3週間入院されて全摘と再建の後、退院のときっていうのはどんな状態でした?物理的に日常生活はできますよっていうくらい?
ゆき:そうですね。普通にもちろん一人で歩いてトイレも行けるし、ただ、けっこう痛みが酷かったので自分で料理をするとかそういう感じにはならなかったですね。
ゆかり:やっぱり制限はされてる感じだ。ゆきさんは、ご自身が乳がんで治療をしているってことはどれくらい周囲の方にオープンに話してる感じですか?
ゆき:わたしはけっこうオープンにみんなに伝えてるタイプなんですけど。職場にも上司とかにはもう全部話をして。職場も女性の職場なのでみんなには伝えて。あと、家族とか友達にもけっこう伝えてはいますね。
ゆかり:そっかそっか。抗がん剤治療中また術前・術後の大変なときに近くでサポートしてくれてたのはどういう方が多かった?やっぱりご家族とかですか?
ゆき:そうですね。家族ですね。わたし、一人暮らしをしてるんですけど、母親に来てもらって食事をつくってもらったりとか、あと近くに兄夫婦がいるので兄とかやっぱりお姉さんとかにも助けてもらいました。
ゆかり:いいですね、ご家族がお母さんを含め近くに住んでらっしゃるってことですね。職場の人とかにもオープンにお話されてるってことでしたけど、治療を始めてからはしばらくの間は休職しますって感じでやってらっしゃるのかな?
ゆき:去年のタイミングではとりあえず手術が終わるまで休職させてほしいってことで半年くらい休職の希望を出してたんですけど、また抗がん剤が始まることになって。
この抗がん剤も担当の先生によると、お仕事できないくらいの可能性もあるって言われていて。
で、わたしがその1回目の副作用で人よりも効きすぎるかなっていうところがあったので、これはもう思い切って全部休んでしまおうということで延長で休職することにしました。
ゆかり:理解がある職場というか、それはもう頑張って治療してきてって送り出してもらった感じ?やっぱりお仕事をしないで治療に専念できるっていうのは救われていますか?
ゆき:そうですね。やっぱり仕事もしながら今の治療を続けるっていうのはけっこう厳しいので。仕事をすると多少なりともストレスもあるし、疲れもあるし。で、おやすみさせてもらえてるっていうのはけっこう一番ありがたいです。
ゆかり:そうですよね。オフィスワークとかだったらまだしも、お客さんの前に出てみたいなお仕事だとちょっと難しそうですよね。
乳がんだってことがわかって、これまで1年くらい治療に向き合われて、自分の人生への向き合い方とか考え方とかこんな風に変わったなって点はありますか。
ゆき:そうですね。やっぱり乳がんとか、がんって言われると、わたし死ぬかもしれないみたいな気持ちになるんですよね。
で、今までもある程度仕事だったりプライベートだったりとか、これをやりたいとかこれを目標にするとかっていうのはあったんですけど、なんとなく生きてたなみたいなのがあったんですよね。
ただ、やっぱり今の年齢とかこの病気のことを考えると、なんでしょうね、もうちょっとちゃんと自分のやりたいことって何だろうってところから考えるようになりました。
なので、なんだろう、いろいろ自分のことを振り返ることができたのかなっていうような気持ちになっています。
ゆかり:うんうんうん。でも、ほんとそうですよね。こんなことでもなければ、たぶん死を身近に感じることもなくて、ま、1日1日その場その場で過ごしちゃってたかなっていうのはありますよね。その辺の意識はやっぱり変わりますよね。
これまで1年間治療をされていて、メンタル面であー、あのときは本当に辛かったなというときにどう乗り越えたり切り替えたりしましたか?
ゆき:やっぱり病気がわかって、わたしも将来的には結婚もして子どもできるのかななんてぼんやり思っていたのが断ち切られたような思いだったので。
やっぱりこう気持ち的にはすごくダメージだったんですけど、インスタだったりとかネットでいろんなことを調べていたら”cancer gift”(キャンサー・ギフト)っていう言葉が出てきて。
がんになったことで気づけたものっていうのが今の自分に必要だったのかなっていうようなところで、すごく暗い気持ちではあったんですけど、なんていうんだろう、もうちょっといい方向に、逆に病気が知らせてくれたのかなっていうような考え方に変わって。
前向きな気持ちになりましたね。そういう言葉があるんだっていうようなところから。
ゆかり:本当にわたしも、ゆきさんしかり、インスタでつながっている直接お会いしたことはない女性ばかりなんですけど、でもやっぱりみなさんが同じように治療をがんばっているっていうのはすごく励みになるし。
キャンサー・ギフトいい言葉ですよね。
ゆき:そうですね。
ゆかり:最後に、これから治療に向かっていく女性たちにゆきさんが伝えたいこととか、伝えてあげられることって何かありますかね。
ゆき:わたしもそうだったんですけど、あんまり頑張りすぎなくていいんだなって思いました。
やっぱり治療も自分が頑張らないといけないって思うと、すごく頑張ってるのに副作用でこんなに辛いとかってどんどん気持ちが落ちて行ってしまうので。
頑張って何かをやるじゃなくて、あ、今日これできたみたいな。できたことを自分に対して褒めてあげるってことをして、頑張るんじゃなくて乗り越えられたらいいかなって思いました。
ゆかり:ありがとうございます。そうですね、頑張るって便利な言葉だからついつい使っちゃうんですけど。うん、乳がんサバイバーって告知された時点でもう頑張ってるのが大前提だから(笑)。
ゆき:そうなんですよね(笑)。
ゆかり:こっちだと、あなたはすごい勇気があるわねとかすごいみたいな感じでいうんですけど、なんか選択肢がないからそうしてるだけであって、自分にその時々でできることやるのみっていう。
はい、じゃあ今回のこんちわのゲストはゆきさんでした。いっぱい具体的にお話が聞けたし、ゆきさんのほんわかに癒されました。
ゆき:いえいえ、ありがとうございました。
ゆかり:ちなみに、ゆきさん、最後に。ウィッグがすごい可愛いって最初に話したじゃないですか?どこで買ったかとか覚えてます?
ゆき:これはオンラインで、Brightleleっていう。
ゆかり:可愛い、すごく似合ってます。
ゆき:ありがとうございます。リーズナブルで安くていいのでよく買っています。
ゆかり:いいですね。ちょっと見てみます。最後にウィッグトークになってしまいましたが、はい、ゲストはゆきさんでした。ありがとうございます。
ゆき:ありがとうございます。
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