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  • 執筆者の写真ゆかり

Vol.10 長野県で治療中で美容師のHirokoさん(HER2陽性、ステージ2Bの乳がん)

更新日:2023年9月7日

*ポッドキャストの内容を書き起こして記事にしています。読みやすさを優先して微編集を加えています。 *内容は、ポッドキャスト収録時点の話です。収録と配信までにはタイムラグがありますのでご了承ください。






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こんちわ(根治の輪)第10話のゲストは、カナダのトロントから帰国して地元長野県で乳がんの治療をされていらっしゃる美容師でメークアップアーティストのHirokoさんです。


トロントで2度検査を受けて何でもないと言われたものの、やはり気になってたまたま一時帰国した際に日本で検査したところ、2022年12月初旬に右胸の乳がんが発覚しました。タイプはHER2陽性で、ステージは2Bです。今年2023年1月6日に治療を開始し、術前抗がん剤治療と摘出手術を終えられて、最近分子標的薬治療と放射線治療を開始されました。


まずは何も手をつかないようなショックがあって、その後治療の話をしながら「エンジンがかかった」こと、パートナーとしっかり話して決めた幸せの形、パターンが見えなかった抗がん剤の副作用について、失うことも多いけど得るものもある乳がんになって180度変わった人生観、受け入れることの大切さなどなど、たっぷり伺いました。


ひろこさんのインスタグラムのアカウントは、@mabby.h です。


それでは、ひろこさんの乳がんストーリーをお聞きください。


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ゆかり:今回のこんちわ根治の輪のゲストはひろこさんです。よろしくお願いします。


ひろこ:よろしくお願いします。


ゆかり:ひろこさんは普段はカナダのトロントに住んでらっしゃるんですけど、今は乳がんの治療のために日本にいらっしゃると。


ひろこ:はい。そうですね。地元長野県で治療をしています。


ゆかり:そう。いつもインスタですごい大自然の写真をあげてらっしゃって、いいなー長野みたいに思ってるんですけど(笑)。


ひろこ:もうど田舎のど田舎で。


ゆかり:山がある景色がほんと。わたしは砂漠にいるので恋しいっていうか(笑)。そう、でさっき判明したんですけど、わたしとひろこさんはタメということで。


ひろこ:親近感が沸きました。よろしくお願いします(笑)。


ゆかり:じゃあですね、まず自己紹介を簡単にお願いできますか?


ひろこ:はい。わたしはカナダのトロントで美容師とメイクアップアーティストをしているひろこと申します。年齢は43歳です(笑)。今日本で治療を受けているので、仕事はしていないで休職をして治療に専念しています。


ゆかり:ちなみにメイクアップとか美容師のお仕事はフリーランスみたいな感じなのか、どこかに所属してらしたんですか?


ひろこ:一応トロントの美容室に所属をしながら、フリーランスでメイクの仕事をしていた感じですね。


ゆかり:発見に至った経緯とかをうかがう前に、今のひろこさんの乳がんの治療がどういうステージなのかを聞いてもいいですか。


ひろこ:大丈夫です。えっと、一応わたしの乳がんはステージ2BのHER2陽性乳がんですね。で、抗がん剤治療が終わって、手術も終わって、その後、分子標的薬治療と放射線治療を今開始したところです。


ゆかり:それって、あとどれくらいってわかってるんですか?


ひろこ:分子標的薬は全部で12回なので、3週間に1回なので36週間ですね。放射線治療は15 回ですね。


ゆかり:なるほど。でも、ちょっとずつ今の治療の終わりが見えてきたっていう気はします?


ひろこ:うーん。でも、長いですね。やっぱり。自分が思っていたよりも長いので、え、こんななんだっていう。


ゆかり:ですよね。そもそも乳がんだってことがわかったのはいつでしたか?


ひろこ:自分が乳がんだって初めてわかったのは、2022年の12月5日くらいです。


ゆかり:で、それもちょっとだけ伺ってるんですけど、カナダで検査は定期的にされていたんですか?


ひろこ:定期検査はしていなくて、ま、しこりを見つけてもらって。わたしは実はパートナーにしこりを見つけてもらったんですよね。なんか凹みとえくぼを見つけてもらって、やっぱり病院に行った方がいいということで行こうと思ったんですけど。


日本だと最初から総合病院に行くことって可能なんですけど、カナダの場合はファミリードクター(かかりつけ医や家庭医)をまず通して紹介状をもらって、その後に総合とか専門医にかかるのが当たり前なんですね。


ゆかり:一緒ですね。


ひろこ:アメリカもそうなんですね。わたしはファミリードクターがいなくて。で、慌てて最初に誰でも行けるウォークインクリニックに行ったんですよ。


で、そこから紹介状をもらって病院に行ってエコー検査とマンモグラフィを受けたんですけど、ただの線維腺腫(せんいせんしゅ)て言われて。ただのおできみたいなのだって。


で、なんでもないんだと思って安心しようと思ったんですけど、やっぱり不安だったので、もう一つ違う病院に行ったんですよ。で、またそこで同じ検査をしたらやっぱりなんでもないって言われたんですね。


ゆかり:うーん。


ひろこ:で、一応そのときの書類を今でも残っていて見てみると、その時のしこりの大きさは2.5cm。で、そのままわたしは何事もなくまた仕事をしてたんですけど。


ゆかり:じゃあ、他には症状、たとえば痛みがあるとかってまったくなかったんですかね?


ひろこ:いや。今思うと、よくわたしは美容師でハサミを使って利き手が右手なんですけど、よく物を落とすようになって。で、あと右胸にちょっとチクチクしたような、ずっとじゃないんですけど、たまにチクチクっていう痛みがくるようになって。


それがもしかしたら今思うと初期症状だったのかなって思ってますね。


ゆかり:うんうん。ステージによるのかもしれないけど、わたしもやっぱりチクチクがありましたね。たまに来る感じで。で、ナースの人に聞いたら、それはがん細胞が大きくなるときにチクチクするっておっしゃってて。それでもう痛みがすごく怖くなっちゃったんですけど。


ひろこ:そうですよね。


ゆかり:今はどの痛みもそこに頭がいっちゃうようになっちゃったけど。じゃあ、でも2箇所に診てもらってなんでもないよって言われたらそれはそうかってね。


ひろこ:そしたら安心しますよね。で、その後にわたしコロナの影響で3年間くらい日本に帰ってなかったんですよね。


で、ちょうど2022年の11月に2週間だけ一時帰国をしたんですよ。で、その時に明らかに右胸のしこりが大きくなって硬くなってて。で、これはちょっとおかしいなと思って慌てて地元の乳腺外科を受診したんですよね。


ただ、受診した日がトロントに戻らなきゃいけない日ギリギリで、結果を聞けないままトロントに戻っちゃったんですよ。


ゆかり:そうなんですね。


ひろこ:で、仕事をするじゃないですか。で、12月の初旬に深夜両親から電話がかかってきて、その時に電話越しに自分が乳がんであることがわかったんですよね。


ゆかり:それってでも、違うってカナダで2回も言われてるからえーっていう、なんかこう驚きがいっそう大きいですよね。


ひろこ:そうでしたね。え、嘘でしょって思ってしまって。もうすぐ仕事を辞めて、家はそのままにして早くやっぱり日本に帰って治療しなきゃいけなかったので、なのでパートナーと一緒にクリスマスの日、12月25日にまた日本に帰ってきて。で、今年2023年の1月6日から治療を開始してる感じなんです。


ゆかり:やっぱり日本で治療するっていうのはもう迷わずに決めた感じでした?


ひろこ:やっぱり2回見つからなかったものが乳がんっていう風になったときに、もう信じられなくなってしまって、自分の中で。なので、もうこれは日本に帰ってしっかり治療をしようっていう決意にもなりましたね。


ゆかり:そうですよね。で、パートナーさんもフレキシブルな感じなのかな、お仕事とかも。とりあえずひろこのために一緒に帰るみたいな。


ひろこ:そうですね。まだわたしたちは結婚してないので、一緒には住んでますけど。なので、滞在できるビザが短いじゃないですか。だからその時だけは休んでくれて、今は彼はトロントで仕事してますけど。


ゆかり:今どれくらい会えてますか?


ひろこ:彼がトロントに戻ったのは今年の3月だから、そこからずっと会えてないですね。


ゆかり:連絡は取り合ってるけど会うってことはできない。


ひろこ:そうですね。


ゆかり:最初はショックで、まさかっていうところから実感が湧くのはどういうタイミングでした?


ひろこ:最初はやっぱりすごいショックで、チーンって感じなんですよ。何も手につかないような状態で。


なんか自分があ、わたしがんなんだ、治療しなきゃいけないんだってわかったときは、やっぱ検査が全部終わって、日本で最終的に自分の乳がんのステージがいくつで、これからこういう治療を始めますよって言う先生との会話で「あ、わたし治療しなきゃいけないんだ」っていう風にエンジンがかかった気がします。


ゆかり:うんうん。そっか。でも、エンジンがかかったっていう表現をされるっていうのは、プロアクティブにヨシみたいな感じだったのかな。


vなんかもう悔しくて、ほんとに(笑)。そのときの状態が、ほんとに仕事も順調で、これからパートナーとも結婚しようって思っていた矢先の出来事だったので。もうガラガラガラってこう落とされた感じで悔しくて。もうこんなんだったら早く治してやるじゃないですけど。怒りに変わりましたね(笑)。


ゆかり:怒りが力になって(笑)。やってやるみたいな。


ひろこ:やってやるぞみたいな。


ゆかり:そんなタイミングだったんですね。じゃあいろいろこう仕事も順調だし、結婚の話も出ててみたいな。


ひろこ:そうなんですよね。


ゆかり:ほんとですよね。そういうのが一旦保留になってしまった。


ひろこ:で、わたしも年齢が年齢で、卵子を凍結しますかっていう提案が出たんですよね、先生から。


ただ、やっぱり先生がそのときの乳がんの状態だと、ま、卵子を凍結するのもタイミングが必要じゃないですか。それを待ってると、ちょっとやっぱり進行が早いかもしれないって言われて。


で、彼ともうんとよく話し合って、私たちはもうこれでわたしも閉経状態になってしまったので、子どもはあきらめるようにしたんですけど。


ゆかり:うーん。ほんとだったらすごいじっくり話して時間をかけて決めたいことだけど、そんな余裕もないから。


ひろこ:余裕がなかったですね。だから、最初にしこりが見つかったときは2.5cmだったんですけど、もう日本に帰った2022年11月には5cm以上になってもう倍以上に大きくなってたから。やっぱりスピードがドーンって上がったと思うんですよね。


もし、それでまた遅らせちゃったらまた大きくなっていたかもしれないので。


ゆかり:彼はどんな言葉をかけてくれました?将来のことを話したときに。


ひろこ:でも、すごい助けられましたね。なんかわたしが思っている以上に冷静で。なんか人の幸せの形はいろんな幸せの形があるから、子どもがいない人でも幸せの人たちはたくさんいるし、いろんな形で幸せは得られるから。


わたしは今はがんをまず治療して、健康になることを一番に考えて、その先はまた2人で考えていこうみたいな。ってすごい大人の考えが返ってきたんですよね。


ゆかり:ちなみに彼は年上ですか?


ひろこ:年下なんですよ、9歳も。


ゆかり:そうなんだ、でもしっかりしてらっしゃる(笑)。


ひろこ:わたしよりしっかりしてるんですよね(笑)。


ゆかり:でも、頼もしいパートナーですね。そういう風に背中を押してくれて。


ひろこ:なので、すごく安心しました。そういう風に言ってもらって。なんか申し訳ないって思ってしまって、わたしはやっぱり。子どもが産めなくなってしまったっていうのは罪悪感を感じたんですけど、でも今はもうそれはないですね。


ゆかり:ごめんなさい、その閉経状態になってしまったっていうのは、今の一時的な状態ってことですよね?


ひろこ:一時的な状態ではあるんですけど、やっぱり先生が言うにはほんとに数%しか生理が戻ってくる可能性はないとハッキリ言われてしまったので。


ゆかり:それは何の副作用として?


ひろこ:最初のDDEC療法のエピルビシンっていうお薬と、次のお薬のドセタキセルがやっぱり子宮に影響するらしいんですけど。


なので、戻ってきても数ヶ月でまた終わって徐々に閉経に迎えていくと思いますって言う風にハッキリ言われたので。ま、ちょっといろんな意味でも子どもはあきらめましょうっていう話にはなったんですね。


ゆかり:うんうん。治療の流れを最初から教えてもらってもいいですか。


ひろこ:大丈夫です。最初にDDEC療法っていう、普通だと3週間に1回の抗がん剤を2週間に1回のペースですね。それをまず4回受けました。


で、その後にハーセプチンとパージェタとドセタキセルっていう3つのお薬の治療を3週間に1回を4回ですね。なので、抗がん剤は全部で8回。


で、がんがそれで消失したので手術に踏み切って、ほんとは全部摘出するはずだったんですけど部分切除で済んだので。リンパ生検もして、リンパの転移もなかったので、そのまま今は分子標的薬と放射線治療で今も治療中です。


ゆかり:ちなみにその最初の抗がん剤を通常日本では3週間に1回が標準なのを2週間に1回っていうのはひろこさんの選択なんですかね?


ひろこ:それは先生からの提案でしたね。抗がん剤で叩いてみて効けば、やっぱり周期を早めるってことはそれだけ効果が強くなるわけじゃないですか。


それでちょっと様子を見ましょうってことになって。で、治療をだいたい2回か3回目くらいでがんがどんどん小さくなっていったのがわかったので。触ってもわかりました。ふにゃふにゃになってるというか。


ゆかり:硬かったのがね。なんか輪郭がふわふわしていく感じですよね。


ひろこ:そうですそうです。


ゆかり:素晴らしい。今、その先生は乳腺の最初に診てもらったところの先生ですか?


ひろこ:違いますね。そこから紹介状を書いてもらって、長野県に大きながんのセンターがある病院があるんですけど、そこの先生に今は診てもらってます。


ゆかり:どうですか。先生との相性は?


ひろこ:最初、なんか先生は見た目がとても若い先生だったので、絶対わたしより年下なじゃないかなって思ってなめてかかってしまって(笑)。


で、しかもわたし性格的に全部聞かないと気が済まないので、ものすごい質問責めにしたのを覚えてるんですよね。でも、その先生はちゃんと淡々と答えてくださるし、わかんないことも全部教えてくれるので、やっぱりそこからなんか先生との絆じゃないですけど、信じるものは救われるじゃないけど、この先生に託してみようかなみたいな(笑)。


ゆかり:ちなみに男の先生ですか?女の先生ですか?


ひろこ:男の先生です。


ゆかり:なるほど。でも、先生との相性で全然変わってくるから。


ひろこ:そうですね。なんか看護師さんとかも薬剤師さんもチーム一丸なんですよね。なんかそれで支えてもらってるのがすごい伝わってきて。だから、もうわたしもがんばろうみたいな。


ゆかり:カナダでいらっしゃるときって特に病院にかかるようなことってあまりなかったですか?比較できるのかなと思って。


ひろこ:そうですね。ウォークインクリニックに行くことは何回かありましたけど、やっぱりフォローの仕方が違うのかなって思いました。


ゆかり:丁寧?


ひろこ:はい。


ゆかり:カナダの医療システムはわからないけれど、アメリカと日本の皆さんの治療の様子を、看護師さんとのやりとりだとかを聞くと、なんかやっぱり行き届いているっていうかきめ細やかっていうか。って勝手な印象としては受けるんですけど(笑)。


ひろこ:あの、その通りだと思います。なんかやっぱりわたしもトロントにいて、何回か病院に行ったことはありますけど、適当ではないですけど、大雑把なんですよね(笑)。


ゆかり:そうそう、大雑把ですね(笑)。


ひろこ:小さなことは気にしないよみたいな。国民性が出ているというか(笑)。


ゆかり:そうそう。でも、ほんとそれは嬉しいですね。一丸となってていうのが。


わたしは今いろんな方と触れますけど、治療している中で、やっぱりその場所とかその時々でその人とやりとりしてるって感じで、チームっていう感じはないので。もしそれがあったらみんなに支えられてるみたいな勇気づけられるのかなって思うんですけど。


ひろこ:手術が終わって久しぶりに分子標的薬を受けに行ったときに、看護師さんって、レジュメっていうか今日こういう治療をしますっていう書類をみると、その人が今どういう状態なのかっていうのがわかるんですよね。


がんが良い方向にいってるのか、悪い方向にいってるのかがわかるみたいなんですけど、それでわたしはいい状態に進んでたので泣かれちゃって、看護師さんに。感動して。


なんかその瞬間に、この人たちすごいなって思って。こんなに親身になってくれるんだって思ってわたしも感動しました。


ゆかり:そうですね。しかも、看護師さんにとってはそれが日常なのに、それを目の前の患者さんの良くなってるってことに涙してくれるってすごいですね。


ひろこ:ほんとに。日本すごいって思いましたね(笑)。


ゆかり:やっぱり日本いいって(笑)。えっと、抗がん剤の副作用のお話をちょっと聞きたいんですけど、どういうのが一番辛かったかとか。


ひろこ:えーっと、やっぱりEC療法のときは吐き気とか、食べられないのが続きましたよね。でも、4〜5日我慢すれば、だんだん良くなっていくというか。最後の1週間は元気で薬もそんなに飲まずに大丈夫だったんですけど。


わたしはそのEC療法の後のハーセプチン・パージェタとドセタキセルの治療のほうが辛くて実は。日に日に副作用が強くなっていくんです。蓄積していくっていうんですか。


ゆかり:蓄積型っていいますね。


ひろこ:そうなんですよ。だからもう打つ週によって、出てくる副作用が違すぎてパターンが読めなくて。で、最後に打った抗がん剤の日から手術前からずっと副作用に苦しめられて。


一番酷かったのはやっぱりむくみと全身筋肉痛がひどくて、階段が登れなくなりましたね、痛すぎちゃって。


ゆかり:もう動けない感じ?


ひろこ:もうだるくて。ちょっと5〜10分歩いただけでも息切れするし。疲れちゃって動けなかったですね。だから家にいることが多かったです。


ゆかり:もう横になってるとかそういう感じかな。


ひろこ:そうですね。寝る時間が多かったですね。


ゆかり:たとえば、本を読む気力もない感じですか。


ひろこ:それが、本を読みたくなるんですけど、開くと集中力が続かないんですね。それであきらめちゃう。読みたいけど、あー、もうダメだって。抗がん剤の影響なのかもしれないです。やる気がやっぱり起きなくなっちゃうっていうのはあります。ちょっとうつ状態になるっていうか。


ゆかり:そうですよね。で、なんかアクティブにもできないから塞ぎ込んでくみたいな。


ひろこ:そうなんですよね。


ゆかり:でもあれですね、パターンが見えないとやりようがないっていうか、次に向けてじゃあこう改善しましょうっていってもまた違う副作用みたいになっちゃうと。それ辛いですね。


ひろこ:味覚異常もでましたね。


ゆかり:鉛みたいな味がするみたいなそういう感じですか?それよく聞くけど。


ひろこ:一番面白かったのは、甘い物を食べて苦く感じたりとか。


ゆかり:何は食べられましたか?


ひろこ:えっと、わたしが一番食べたものは、なんだろう。えー、あ、カレーライス?


ゆかり:カレーライスいけたんですね(笑)。


ひろこ:カレーライスいけたし(笑)。あ、でも甘いものは一切食べられなくなって。あとりんごとかフルーツは美味しかったですね。アイスクリームとかも食べてましたね。


ゆかり:それはせめてもの救いですね。栄養もあるし。もう食べられるものを食べるって感じですよね。


ひろこ:もう、あれですよ、気にしないでなんでも食べてました、わたしは(笑)。なんでもいいんですよ、食べられれば。


ゆかり:美味しく食べられるんだったらなんでも食べるみたいな(笑)。


ひろこ:でも、薬を飲んだほうがいいです。気持ち悪いかなーって時に飲むんじゃなくて、もう最初から飲んじゃったほうがいいですよ。そうすると、やっぱり抑えられます。症状が出てから飲むともう遅いかもしれない。


ゆかり:でもそれ聞きますね。気持ち悪くなるつもりで早めに飲んでおけと。


ひろこ:そうそう。ほんとに。で、けっこう強い薬っていうか、効くんで。吐き気止めは本当に効くので。絶対に飲んだほうがいいです。


ゆかり:飲みます、欠かさず。時間きっちりきっちり。


ひろこ:で、食べられるものを食べたがほうがいいですし。でも、吐くことは少なかったですよ。ほんと数えるくらい、1〜2回でしたよ。全然つわりを経験されたことがあると思うんで、つわりの感じだと思います。


ゆかり:なんかムカムカみたいな。


ひろこ:ムカムカする感じかな。食べづわりっていう人もいますね。なんか食べてないと気持ち悪いみたいな。


あと、わたしが思うに水をめちゃ飲んでください。水分。めっちゃ飲んでます。水はやっぱり出てもいいから絶対飲んだほうがいいと思う。もう、出すみたいな。おしっこで。


だからACの点滴を打っているときからどんどん水を飲んでトイレに行って出しちゃったほうが楽ですよ。


ゆかり:ほんと、身体から悪いものを全部出す。なるほど。あと、ひろこさんのインスタの投稿で、はさみをもう持てなくなちゃったっていう風に書かれてて。それは抗がん剤治療を始めてどれくらい経ってからでした?


ひろこ:やっぱりドセタキセルを打ち始めてから、運動もしていないんで筋力も落ちてくると思うんですけど、手の感覚が変わってきてしまって。


ハサミを持てはするんですけど、ハサミの開いたり閉じたりするっていう作業がなんとなく鈍くなってきた感じがして。で、腕も長時間上げられなくなっちゃって。


ゆかり:今はどうですか?もう大丈夫?


ひろこ:今は毎日ハサミを開いたりとかちょっとお人形で切ってみたりとかしてるんですけど、感覚は戻ってきてるような気はします。


ゆかり:そういうところから、不安とかって感じたりしましたか?やっぱりお仕事に。


ひろこ:そうですね。やっぱ自信をなくしますよね、こういうときって。一回がんになった人が同じ思いかわからないんですけど、自分だけ時が止まっちゃったような感じ。


ゆかり:置いてかれてるみたいな。


ひろこ:そうなんですよね。で、仕事もやっぱり休職してる状態でまったく仕事してないんですけど、周りはみんな動いてるわけじゃないですか。


こういう手に職の仕事って毎日手を動かさないとどんどん劣ってしまうんですよね。だからそれが不安で。それはすごくわたしはネックでしたね。


ゆかり:そっかそっか。なんかでもそれはこう考え方とか気持ちを切り替えられましたか?


ひろこ:そうですね。今、やっと手術が終わって少し先が見えてきて、なんか何とかなるだろうっていう風にどっかで思うようにしてますね。


ゆかり:あと、やっぱりお仕事柄、ヘアメークアップアーティストとしてお仕事されるってことだったので髪の毛って大事じゃないですか?一層。わたしのような一般人に比べると、そこへの思いとか強いのかなって思うんですけど。


ひろこ:って、思うじゃないですか。そこまでショックを受けなかったですね(笑)。わたし、今みたいに帽子を仕事柄普段からかぶることが多いし、帽子が好きなので。ま、髪の毛がないっていうことにはすぐ慣れました。


ゆかり:なんか坊主が似合う感じですよね。


ひろこ:いやー、生まれて初めての経験なんですけどね(笑)。でも、なんか見慣れますよね。ま、いいんじゃないかな、楽だなっていうぐらいで。


ゆかり:楽は楽ですね(笑)。もう、しゃーって水かけて以上みたいな。時短ですよね。


ひろこ:全身を全部一緒に洗えるんじゃないかっていう(笑)。


ゆかり:周りの人たちに自分が乳がんになったってことはどれくらいシェアしました?特にトロントを離れられたから。


ひろこ:そうですね。でも、ちょうど自分が乳がんってわかったときはまだトロントにいたので、そのときにはもう話せる人たちに話しましたね。オープンに話したというか。


たとえば、わたしのパートナーの家族だったり友達だったりとか、あとわたしは同僚に話しましたね。同僚だったり、自分の友達もそうですけど。はい。なので、一部のお客さんにもシェアしました。


ゆかり:ま、でもそうですよね。しばらくいないっていうこともあるし。


ひろこ:そうですね。やっぱり美容師はお客さんありきの仕事なので。お客さんと離れるってことがほんとに苦痛で苦痛で(笑)。


ゆかり:もう長年ね、ひろこさんのとこに通ってらっしゃるみたいなお客さんたちがいらっしゃるんですもんね。


ひろこ:そうですね。何人か定期的にきてくれる方はいらっしゃったので。寂しかったですね。この人たちと会えなくなるっていうのは。


ゆかり:まだいつぐらいにトロントに戻れるとかそういうのはまったくわからないですもんね。


ひろこ:ちょっとまだ未定ですね。今どういう状態なのか、まだ把握しきれてないので。


ゆかり:じゃあ治療中に、やっぱりサポートしてくださったのはご家族がメインだったのかな?長野にもお友達とかいらっしゃるのかな?


ひろこ:そうですね、友達は年齢も年齢でみんなやっぱ外に出てる人も多いので、あんまり友達っていう友達はいないんですけど、ま、主にやっぱ家族ですよね。あとは元同僚ですよね。わたしが元々働いていたお店の店長さんだったりとか同僚だったりとか。


ゆかり:それは長野にいらっしゃるんですか?


ひろこ:もともと一番最初は長野で美容師をしていたので。


ゆかり:そっか。ちょっと話が戻っちゃうんですけど、手術を全摘だろうって言っていたのが部分で済んだというお話なんですけど。


これはわたしの考えなんですけど、やっぱり残すことで生まれる不安みたいなのがわたし個人はあって。わたしの乳がんは左胸にあるんですけど、ま、右胸もまた同じ思いをもしすることになったらどうしようみたいなのもあって。


わたしはもうどう転んでも全摘をするっていう風に決めてるんですけども、そこはひろこさんはどういう風に考えました?


ひろこ:実はわたしもまったく同じ状態だったんですよね。もう、ちょっとでも可能性、再発の可能性が残るくらいだったらもう全部とってほしかったんですよね。


なので、わたしは治療の最初からお願いですから全摘をしてくださいって実はお願いをしてたんですけど。で、先生がオプションをくれた感じですね。がんが抗がん剤で消えて部分切除をしてみて、手術をしているときに同時進行でとったものを顕微鏡でみてがん細胞があるかないかをみるんですけど。


それで、もしがん細胞があった場合は全摘をしましょうと。なかったら、とりあえずそのままいきましょうっていう2つの選択肢をくれて。


でも、なんかいずれはとるものなんだったら、とりあえずちょっと可能性があるならそっちに行ってもいいかなっていう風に思って。それでわたしは今回は部分切除で済んでしまったんですけど。


でも、今でもなんか、あー、全摘すればよかったなってちょっと思います。今でも。やっぱり不安ですよ。再発するのかなっていう不安がずっと付きまとうので。


ゆかり:ですよね。なんか、それわたしもほんとまだ治療もしてる段階でそんなことを考えてもっていうのは思うんですけど、なんかずっと付きまといますよね。


ひろこ:でも、わたしが一番納得したのは、先生にグラフを見せてもらったんですよね。全摘をした人と、たとえば部分切除をしてそこに放射線治療を加えた場合の生存率って言うのを見たときに、あまり変わらなかったんですよね。


ゆかり:おー、なるほど。データがある。


ひろこ:そのエビデンスにわたしはけっこうすごく納得したというか。


ゆかり:説得力がありますね。


ひろこ:そう。ほんとにこうグラフを見たときにほんのちょっとしか変わらない。それだったら、あ、いいんじゃないかなっていう風に思ってしまって。


ゆかり:うんうん。じゃあ部分切除でして、特に再建とかはないってことですか?


ひろこ:そうですね。とった部位がかなり小さいので、ほんと傷だけで見た目はちょっと傷が大きいですけど。でも、そんなこう突っ張ってしまうっていう感じではないです。見た目は普通ですね。


ゆかり:えっと、治療中、まだ今も治療されてますけど、メンタル面できたとき、それをどう切り替えるなり、乗り越えるみたいなのってどうしてらっしゃいますか?


ひろこ:ゆかりさんはどうですか?わたしはすごく波があったんです。波があるんですよね。プラスに考えられるときと、もう落ち込むときの差が激しくて。


でも、なんか最終的には自分自身との闘いというか。もう泣いても喚いても変わらないんだなっていうのが途中で実感するんですよね。こう落ちるところまで落ちると。


だからもう話したいときはパートナーだったり話せる人に聞いてもらえる人に聞いてもらって。で、先生とか看護師さんとかって、現場にはいますけど、実際にがんになったことがないので、がんの人の治療の大変さっていうのはなかなか伝えられないんですよね。


なんで、わたしはやっぱり経験者の人に話を聞いてもらったりとかして、気持ちを落ち着けてましたね。


ゆかり:うーん。そっか。基本はわたしは、英語でcoping mechanismっていうじゃないですか。わたしはだから乳がんになったことへの辛さというか、現実への対処法としてはとにかく忙しくするみたいなことがあって。


ひろこ:でも、いいと思います。自分のできることをすればいいなっていうのがやっぱあって。わたしは自分の趣味にぶつけたり、勉強してみたりとか。あと楽しいことを見つけてやるとか。なんか、忙しくわたしもするようにしてます、今でも。


ゆかり:そうですよね。なんか立ち止まってそのときの気持ちとかをいろいろ受け止めるのも大事なんだとは思うんですけど、基本はもう動くみたいな感じ(笑)。


ひろこ:いいと思います。わたしもそれには賛成です。


ゆかり:え、ひろこさん、ちなみに息抜きでヨガとか瞑想とかやってらっしゃるんですか。投稿で見たんですけど。


ひろこ:そうですね。ヨガスタジオにがん治療を始めてから通っていて。メディテーションというよりも、身体をほぐすじゃないけどしていて。すごくいいですね。


なんかやっぱ人って呼吸がすごく大事だっていうのを習って。やっぱストレスが溜まってくると呼吸が浅くなって自律神経が乱れてくるっていうのはほんとにわかるんですね。


ゆかり:なるほど。でも、ほんと発見ってありますよね。いろんな発見。


ひろこ:たくさんありますね。たしかに失うものもたくさんあります。でも、その分得るものも、ものすごいたくさんあるんで。


ゆかり:ほんとそうですよね。もうちょっと自分の身体の声みたいなのに耳を傾けられるようになったとか、ま、わたし自身はけっこう乳がんになったことはwake-up call、目を覚ませよ!みたいなのはすごく感じてますね。


ひろこ:わたしもターニングポイントじゃないけど、ずっとこう止まらずに突っ走ってきたんですよね。やりたいことをめがけてずっとやってきて、なんかこ乳がんがわたしを止めてくれたような気がします。


ゆかり:一回ちょっとね。


ひろこ:止まりなさいと。そんな感じですね。


ゆかり:なんかこうやっぱり今おっしゃったみたいに、乳がんになったことが一つのターニングポイントで、人生観というか、ま、これからどうしていきたいかとかに影響を与えたりしてるかな?


ひろこ:そうですね。わたしはほんとにがんになって人生観が180度変わったなっていうのがあるんですけど。


ま、夢の形っていうのはあまり変わらないんですけど、なんかこのやっていく方法を変えていかなきゃいけないなっていうのがやっぱあって。


たぶん、がんになったことで今まで通りにまた生活したらたぶんまたがんになると思う。だからアプローチの仕方を変えていかなきゃいけいないなっていうのはすごく考えていて。


あとやっぱり自分がこれからどうしていこうかなっていうのはまだちょっと模索してるんですけど(笑)。


ゆかり:ある意味、永遠の模索ですよね。


ひろこ:模索ですよね。


ゆかり:でも、ひろこさんは手に職を持ってらっしゃるし、やっぱりその道でやりたいっていうのは軸にあるわけですよね。


ひろこ:そうですね。やっぱり美容の仕事が大好きなので、なんかそれは軸に動いていきたいなっていうのはあるんですけど、はい。


ゆかり:じゃあ、もうちょっと自分の身体とかペースとかみたいなものも考えながらかな。


ひろこ:そうですね。様子見で(笑)。新たな野望を(笑)。


ゆかり:じゃあ、一回今ちょっとお休みして。また新たに。えっと、最後に、これから治療に立ち向かう女性にどんな言葉をかけてあげられますかね。なんか伝えたいことっていうか。わたしたちも、ちょっと前はスタート地点にいたわけですけど。


ひろこ:うーん。そうですね。ま、これはわたしの勝手な自分の意見なので参考になるかわかんないんですけど、でもほんとに不安しかないと思うんですよね。最初の時って。


でも、なんかとにかく、がんと自分に向き合うことかなっていうのがわたしは一番かなって思っています。アクセプト(受け入れる)するっていうか。


あとはもうがんばらないこと。がんばらない。がんばってもたぶん変わらないっていうか、どうしようもないときって絶対あると思うんですよね。具合が悪いときもそうですけど、だから、流れに身を任せるというか。でも、こうできることがあるならば、やったほうがいいと思うし。なんかもう、ケセラセラじゃないですけど。


ゆかり:ま、でも抵抗しようもないんですけどね。だからもう受け入れて。


ひろこ:そう、受け入れることだと思います。自分の中で受け入れて、どう消化していくかっていうか。が、大事なのかなって思いました、わたしは。


ゆかり:でも、ほんとできることは、ほんと目の前のことをやるだけなんですよね。やることがあれば。


ひろこ:そうですそうです。だから、できないことをこう別に悔やむ必要はなくて。なんかできない自分も当たり前だって、それもできない自分もアクセプトしちゃうっていうか。いいと思うんですよね。


ゆかり:そうですね。がんばらないね。


ひろこ:はい、もう十分頑張ってますから。がんになってる人は。


ゆかり:そうなんですよ、デフォルトが頑張ってるんですよ。


ひろこ:そう、だからがんばってくださいっていう一言がすごくわたしは嫌で。いや、もうがんばってるよ、十分って叫びたくなるくらい。


ゆかり:わかります、ほんと。安易ですよね「頑張ってね」は。


ひろこ:安易です、はい。十分がんばってるんです、私たちの身体は本当にがんばってくれてますから。


ゆかり:ほんとですよね。自分の身体さん、ありがとうですよね。


ひろこ:ありがとうだと思います、わたしは。はーい。


ゆかり:ありがとうございます。


ひろこ:いえいえ。


ゆかり:長野にいらっしゃる大自然に囲まれた中で治療されているひろこさんに今回はゲストにきていただきました(笑)。ありがとうございました。


ひろこ:ありがとうございました(笑)。




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