*ポッドキャストの内容を書き起こして記事にしています。読みやすさを優先して微編集を加えています。 *内容は、ポッドキャスト収録時点の話です。収録と配信までにはタイムラグがありますのでご了承ください。
----------
こんちわ(根治の輪)第16回のゲストは、大阪府在住のかとちゃみさんです。結婚式を2ヶ月後に控えた2022年11月始めに乳がんを告知されました。旦那さんと2人暮らしで、現在お仕事は休職中です。
2023年2月に再建なしの左胸全摘手術をされて、術後ににんようせい温存療法を行った後、EC療法とパクリタキセル計8クールの抗がん剤治療を受けました。2023年8月からはホルモン治療のタモキシフェンを服用し、現在は放射線治療の最中でいらっしゃいます。
検査結果の待ち時間に感じる不安に向き合うために決めたこと、妊孕性温存療法、3週間待ってもらって決めた再建なしの左胸全摘、ホルモン療法と放射線治療の副作用、職場の上司との距離の保ち方、インスタグラムで繋がったAYA世代の乳がんサバイバー、認定看護師やカウンセリングというサポート、乳がんになったことで学んだことなどたくさん伺いました。
かとちゃみさんのインスタアカウントは、@katochami2820です。
それでは、大阪府在住かとちゃみさんの乳がんストーリーをお聞きください。 ----------
ゆかり:今回のこんちわ(根治の輪)のゲストは、かとちゃみさんです。よろしくお願いします。
かとちゃみ:はい、よろしくお願いします。
ゆかり:じゃあ、さっそくなんですけど自己紹介をしてもらってもいいですか?
かとちゃみ:はい、初めまして。大阪府に住んでます、インスタではかとちゃみでやってます。よろしくお願いします。
去年(2022年)11月始めに乳がんの告知を受けまして、2023年2月1日に左胸の全摘をしました。再建はしていないです。
3月は1ヶ月間、妊孕性温存の治療に動いてまして、無事に凍結ができたので4月から7月後半まで抗がん剤(EC療法とパクリタキセル)を4クールずつやってました。
8月からはタモキシフェンのホルモン療法が先に始まって、9月から放射線を今受けている途中です。
ゆかり:ありがとうございます。放射線はちなみに全部で何回やるんですか?
かとちゃみ:わたしの場合は25回ですね。
ゆかり:どれくらいきたんだろう?
かとちゃみ:今日で19回目。
ゆかり:19回目。いえーい。そう、大谷カードって言うんでしたっけ(笑)。
かとちゃみ:ありますよ、ほら(笑)。(Zoom越しにカードを見せてくれました)
ゆかり:ファンってことですよね?
かとちゃみ:そうですね、WBCと手術がかぶってたんで。見えるかな?
ゆかり:お手製の大谷さんのお写真つきのカードで。モチベーション大事ですよね。
かとちゃみ:そうですね。けっこうケモのときもどうせしんどくなるよりも、ちょっと男前な顔を見てちょっと癒されるほうが(笑)。なんか治療にちょっとでも前向きな気持ちになれるかなと思ってずっと点滴の横に吊るしてもらって。
ゆかり:ケモ用の大谷さんは、もうちょっと大きいバージョンでしたよね。
かとちゃみ:そうですそうです(笑)。
ゆかり:素晴らしい。かとちゃみさんのインスタのプロフィールに「笑いを届けるサバイバー」って書いていらっしゃるじゃないですか。あれは、どういう経緯でそういう風に書いて発信するようになったんだろう?
かとちゃみ:あー。なんか、それ思ったのもつい最近で。ちょっと前に自分の本当のアカウントでも乳がんだってことはオープンにしていて。
で、友達にも、なんだろう、まだ若い世代だから検診っていうのは義務じゃないけれども、やっぱり積極的に自分の身体に興味を持ってくれたりとかしてくれるきっかけに繋がればいいなと思ってオープンにはしてるんですけど。
でも、治療でも可哀想とか、なんていうんですかね、悲しい目で見られるんじゃなくて、がんでも元気にやってるで!っていうのをずっと広めたくって。
で、今から治療の人とかの気持ちもわかるし、でもそんな人でも絶対笑える日がくるから大丈夫やで、こんな私でも笑ってるから大丈夫やでっていうのを届けたくって。面白おかしくっていうかっていうのがけっこうテーマで。
ゆかり:じゃあ、同じ治療をしている人に元気を与えるのもそうだし、周りから乳がん患者ってみられて、でもそれでも元気だぜっていう両方あるってことですね。
かとちゃみ:そうです、そうです。
ゆかり:インスタでかとちゃみさんをフォローすると、面白い動画に出会えるかもしれないのでぜひって感じなんですけど。
2022年、去年の11月に乳がんの診断をされて、その発見に至った経緯って聞いてもいいですか?
かとちゃみ:わたしは、それまでずっとジムに行ってて、ジムでも全身鏡を見てけっこう自分の身体とか見る機会があったんですけど、実は発見したのはお風呂の浴室で。
あれ?ちょっとおかしいな、ポッコリ出てるなって思って、あ、これはちょっとひょっとしたらいいものじゃないかもしれないと思って。
で、絶対に病院に行こうって決めたので、ちょうど週末を挟んでたので、その場で土日やってるクリニックをとりあえず調べて、明日行けるクリニックに電話したら来てくださいっていうことだったので。ほんとに見つけた翌日に家の近くのクリニックを受診したっていう形ですね。
ゆかり:そのポッコリ出てるなっていうのは触ってみてってことですか、それとも見えた目にも?
かとちゃみ:けっこう見た目でもわかりましたね。
ゆかり:そうなんですね。でも、じゃあすぐ行動で診てもらって生検とかして。
かとちゃみ:行って、次の日に先生にもう一回翌日に来て針生検しようかっていうときに、次の日は旦那もついてきてくれて。
で、検査の結果は1週間くらいで出るからって。先生もまあ、見た感じ、初期か良性のものか、まだちょっとわからへんけど大丈夫だよって言ってはったんですけど。
結果を聞きに行ったら悪性っていうところで、クリニックでは手術も大きい検査もできひんからっていうところで、今の病院に紹介してもらってって感じですね。
ゆかり:そっかそっか。針生検の結果ってどれくらいででました?覚えてます?けっこう待ったかな?
かとちゃみ:クリニックのときに受けたときは10日間くらい。
ゆかり:けっこう長いですね。たぶん乳がんになったことを診断されるのももちろん辛いですけど、いろんな検査の待ち時間とか、常に何かしら検査があるじゃないですか。
常に不安が付きまとうと思うんですけど、そういう待ちの時間ってどういう風に過ごすようにしてるっていうか。ネガティブにもいってしまいがちだと思うんですよね、どうしても不安があるから。
かとちゃみ:一番最初に行動にうつしたのは、乳がんのことを調べるのはとりあえずやめようと思って。一切調べることはこれまでもしたことがなくって。
自分で何か情報を得るんだったら、本か、それこそ体験した方のお話を聞くっていうので、もう罹患してわかった次に当事者の会にわたしは参加させてもらって。
今でもずっと毎月参加させてもらってる会があるんですけど、そこでお話を聞いたりとか、手術も前だったのでその不安を和らげるじゃないですけど。
なんかちょっとでも自分のこれからの治療に役立てればなっていうのはすごいそれは大きかったですね、自分にとって。
ゆかり:早めのタイミングで決めたんですね、自分で探すことはしないと。
かとちゃみ:そうですね。
ゆかり:それ、すごい懸命ですね。絶対ググるなって言われるけどついついやっちゃう。手元にスマホあるからみたいな(笑)。
かとちゃみ:わかるわかる(笑)。
ゆかり:でも、あんまりいいことは生まれないっていうか。どっちもあるじゃないですか、意見が。
だから、自分が信じたい情報と、信じたくない情報両方あっちゃうから、結局どっちつかずでまたわからない状態に不安を覚えるみたいな。
だから、それは確かにできるならそうしたい(笑)。
かとちゃみ:たしかに(笑)。
ゆかり:でも、かとちゃみさんはそれだけすぐにアクションを起こしてらっしゃって、万が一乳がんだったらっていう思いがどっかであったのかな?ニュースを聞いたときっていうのは実感はありました?
かとちゃみ:あー、でもやっぱり先生から検査結果を聞いたとき、やっぱ悪性でしたって言われたときはやっぱりショックでしたね。
衝撃を受けました、あ、やっぱりかっていうのと、そうじゃないほうを信じたかったなっていうのが50/50くらいあったんで。やっぱあかんかったかーみたいな。
でも、そこからはけっこう大きい病院にしてもらって、もうあれよあれよという間に検査があったりとか。
で、実は告知を受けたのが2022年11月で翌月12月はわたしは結婚式を控えていたのもあったので。もう、手術よりも結婚式できる?みたいな(笑)。先生に「先生、結婚式できますかー?」って泣きながら聞いたのを思い出しました。
ゆかり:じゃあ11月でもう1ヶ月先とかに結婚式が決まってて、全部準備も整ってて。
かとちゃみ:そうです、そうです。
ゆかり:それは、治療のタイミングとしては何か始めてる段階でした?結婚式のときって。
かとちゃみ:それこそ、紹介してもらった先生にも結婚式を控えてるんだねっていうのを紹介状で書いてもらってたので。
ま、手術を結婚式より前にすることもできるけど、やっぱり気持ち的におすすめはしないよって言われたから、終わってからでもいろいろ検査して結婚式終わって、そこからでもいいんじゃないってことだったので。結婚式は無事にあげることはできました。
ゆかり:えっと、かとちゃみさんが投稿されてたんですけど、先生の言葉に救われたって。乳がんですって診断を受けて大丈夫かな?治るかな?って絶望してしまっているときに先生がかけてくれた言葉があったって。
かとちゃみ:けっこう先生には、最初のクリニックもそうですし、今の主治医もそうなんですけどすごく恵まれてるなって。大丈夫だよ、大丈夫大丈夫、治るからみたいな。
ゆかり:あー、淡々としてる感じなのかな?ちょっと。
かとちゃみ:淡々としてる感じもあるけど、でも、こうなんかすごくポジティブな。そこまで悩む必要ないじゃないみたいな。
ゆかり:自信がある感じなんだ、治るからみたいな。
かとちゃみ:そうそう。で、人に寄ったら冷たいって捉えられる方ももしかしたらおられるかもしれないですけど、わたしはけっこうあっさりして大丈夫大丈夫って言われるほうが「あ、いけるんや」みたいな感じで捉えるほうなので(笑)。なんかそっちのほうがありがたいなって思いますね。
ゆかり:旦那さんは乳がんだよってことを一緒に行かれてニュースを聞いたのかな?どんな反応でした?
かとちゃみ:うーん、でも、最初はびっくりしてそれこそ、まあ表には出さないですけどショックは受けてたけれども、なんかそれよりもじゃあこれからどうしていくだったりとか、大丈夫っていう旦那はけっこう冷静という感じでしたね。
ゆかり:そっか。ま、でもそれが救いになったりしますよね。おどおどされるより。
かとちゃみ:けっこうわたしも今でもジェットコースターのような日々を送っているので、どっちも落ち込んでたらお互いにしんどいですけど。
旦那はどっちかというと大丈夫大丈夫っていうほうなので、なんとかなるよ大丈夫だよっていうほうなんでそれはありがたいですね、一緒にいて。
ゆかり:頼もしい。そっかそっか。えっと、妊孕性の温存療法についてちょっと伺いたいんですけど、これは最初に先生からそういうことができるよってお話があった感じなのかな?治療を始める前に。
かとちゃみ:そうですね。大きい病院に紹介してもらったときに、先生に、ひょっとしたら手術が終わったら抗がん剤の流れになる。今後の治療のときには、今後子どものことを考えることもひょっとしたら出てくるっていうところで、妊孕性の温存治療の方法を受けてたんですけど。
手術が2023年2月で、1月はもう検査でそれどころじゃなかったんで、結局手術が終わって、手術後の病理結果がやっぱり抗がん剤が必要ということだったので、妊孕性の温存のほうを今後のためにしておきますかっていうところで。
で、クリニックのちょっと近いところに紹介状を出してもらって、そこで1ヶ月治療を受けてた感じですね。もともと、温存するかせえへんかっていうところで、正直わたしは治療を先行したかったので、もうできるだけ早く抗がん剤だったら抗がん剤の治療をできるだけ早くって思ってたんですけど。
でも、それも一つの方法としてすごく大事ですけど、この先長いこと考えて、やっぱり何年後か自分の子どもを本当に持ちたいって思った時にひとつの選択肢として残しておくっていうのも、自分のお守りがわりみたいになるんじゃないかなっていうのを主人と泣きながら話して。海で(笑)。
ゆかり:そっかそっか。
かとちゃみ:で、妊孕性は残そうかっていうことで治療を受けてました。
ゆかり:そう、で、かとちゃみさん素敵だなと思ったのは、これはご主人のご提案だったのか、今の身体の写真を撮るっていうのをやられたって。
かとちゃみ:そうそう。左胸を全摘する前に、実は母親から「胸ちゃんの写真残しといたら?」みたいな感じでけっこう軽く言われて。
あ、でもたしかに無くなるし、それも一つの手やなって思ってたけど、わたしが住んでるとこ大阪なんですけど、インスタとかでフォトスタジオとかフリーでやってはる方とかけっこう調べたらお値段が高くって。それこそスタジオつきでとかってなったらほんとにデータ付きで5〜6万したんです。
で、これから治療も始まるし、なんかそこにお金をかけるのも大事ですけど、それやったら美味しいもん食べてよっしゃ頑張るぞって景気付けして(笑)なんか夫婦2人で楽しめるほうがええなっていう話になって。2人きりで露天風呂入れるとこでそこで携帯でパシャパシャ撮って(笑)。
ゆかり:記念撮影して(笑)。そっかそっか。すごい素敵だなと思って。なんか、発想にないじゃないですか。残しておくって。
たしかにもうなくなちゃって二度と会えないものだと思うと残さなきゃって思うから、そう言うイベントにしてよし頑張るぞみたいな一つのきっかけにするのはすごいありだなと思って。
さっき冒頭の自己紹介のところで治療の流れは教えてもらったんですけど、最初に左胸の全摘をされたんですよね。全摘をするっていうのは、かとちゃみさんが自分で決めたこと?それともお医者さんにすすめられたのかな?
かとちゃみ:そうですね、もう最初から全摘はすすめられました。なんか、最初に検査したときも実は浸潤がんか浸潤じゃないかっての針生検で実はわからなくって。
でも、がんの広がりがけっこう大きいから抗がん剤を先にしてもどうせ小さくならないと思うし、全摘でとってしまったほうがやっぱり今後の治療であったりとか再発予防には繋がるからっていうところで。
ただ、同時再建っていう方法もできるよって言われたんです。でも、なんかその同時再建っていう言葉が全然自分として知識がなかったので再建って何?みたいな。インプラント、何?みたいな感じだったから(笑)。
先生にも、じゃあ全摘だけなのか再建もプラスでするのかちょっと視野に入れて考えておいてって言われてから、その足で家の近くにこれもたまたまなんですけど、人工乳房をつくってるところがあって個人で。いろいろ見に行ったりとかしてて。
で、なんかそのときにふと思ったのが、自分はなんだろう、全摘って言われたけど再建がしたいんじゃなくて、あ、手術したくないんやって思って。あ、左胸がなくなることが怖いんやってことがあって。
じゃあ再建します、左全摘しますってなかなか先生に答えが出せなくって。2週間、3週間くらい伸ばしてもらったのかな?結局。で、いろいろそのときに再建のこととかで動いてたけど、でも再建?なんか違和感があって。
最終的にたどり着いたのが、再建ももちろん大事だけど、結局左胸を失うことが怖くって手術するって決断になかなか辿り着けなかったんやってことまですごく腑に落ちて。
で、それで先生と話したら、でも、再建はちょっと時間が経ってからでも今すぐじゃなくても大丈夫だから。まずしっかり手術して、悪いところをとるっていうことが大事ってところで腑に落ちて。じゃあ、手術します、全部とりますって決めました。
ゆかり:なるほど。じゃあ、まあ、再建もこの先もしそうしたいなって思えばすればいいしみたいな。今はまずは治すこと。
かとちゃみ:そうですね、まずはしっかり治療して。で、もしタイミングが来て、自分がそれこそじゃあ新しいお胸ちゃん欲しいなっていうタイミングが来たら手術しようっていうところです。
ゆかり:で、抗がん剤はEC療法とパクリタキセルをやられたってことなんですけど、どうでした、副作用は?
かとちゃみ:副作用はそうですね、なんかそれこそでも抗がん剤ってよくドラマでいうオエオエする、めちゃゲボゲボ吐いてるようなイメージを持ってたけど、なんか一番最初に抗がん剤を受ける前に看護師さんに「今はもうそんなきつい薬じゃないから、昔みたいに吐き気止めもいい薬がちゃんとでてるし」って言われて。
わたしの場合は実際に嘔吐するっていうことはなかったんですけど、ま、でもどっちかというとECのほうが動けない時間が長くって。ECの初回は入院だったので、その時のECはほんと何の副作用もなく元気に帰っていって。で、骨髄抑制のジーラスタも打ってけっこう乗り切れてたんですけど。
2クール目からは、もうアップダウンのように身体の体調の良し悪しがすごくって。こんなに動けなくなるもんなんだっていうので、すごいショックを受けて泣きながら実家に帰ったのを覚えてます(笑)。
ゆかり:それは、あれなのかな、主には倦怠感みたいなことですか?それともいろんな副作用だった?
かとちゃみ:倦怠感が一番大きかったですね。もう、なんか倦怠感もそうだし、ちょっとした吐き気ももちろんあったし、なんかわからへんけど動かれへんってやつ。
ゆかり:そっかそっか。ほんとそうですよね、副作用みんなそれぞれ違うし、毎回違ったりもするじゃないですか。中にはパターンが見えたっていう人もいらっしゃるけど、わたしも毎回全然違うからあまり準備のしようがないっていうか(笑)。きたら対応みたいな感じで。
かとちゃみ:そうですよね。そうそうそう。
ゆかり:でも、じゃあ8クールを終えられて、その後ってちょっと身体を休める期間があって放射線ですか?
かとちゃみ:そうですね。えっと、2023年7月中旬ぐらいに抗がん剤が終わって、ちょっと2週間開けないとってことだったのでホルモン治療のタモキシフェンを2週間後の8月1日から飲み始めて。
本当は8月のそれこそ中旬ぐらいから放射線を始める予定だったんですけど、ほんとに1日前くらいにコロナになってしまって(笑)。それで2週間伸びて、今に至るって形ですね。
ゆかり:ちなみにホルモン療法は毎日だから錠剤を飲むってことですよね?どうですか、それもやっぱり更年期障害みたいな感じになるって聞くんですけど。
かとちゃみ:ありますね。毎日ホットフラッシュでなんかもう寝てる間にも頭がカーってなって起きるし、でも足先は冷たいし。なかなか、それこそ抗がん剤じゃないですけど、ホットフラッシュのくるタイミングが掴めなくて。
ゆかり:じゃあ、タモキシフェンを飲み始めてまだ2ヶ月経たないくらいだけれど、だんだんに身体が慣れてくみたいなことを聞くんですけど、まだそんな感じはないです?
かとちゃみ:まだないかな。
ゆかり:そっかそっか。で、これって5年くらい飲むとかって決まってるのかな?
かとちゃみ:わたしの場合は、5年からそれこそ10年。はっきりそこまで言われてないですけど。
で、放射線が終わったら経口薬のベージニオを2年間プラスで服用って言われてるので、そこのまた経口薬といえどもやっぱり分子標的薬っていうのも未知の世界なんで、そこがどんな副作用が出るかっていうのもちょっと色々気にしながら。
ゆかり:あと、放射線はどうですか?今日で19回でしょ。あと、6回かな。副作用は、皮膚の感じだったりとか、あと疲れとかも出る人は出るって聞くんですけど、かとちゃみさんはどうです?
かとちゃみ:わたしの場合は一応予防的なところでいうと、とった左胸のところ全部と鎖骨上と、できた腫瘍がどっちかというと右胸寄りやったので、胸骨の間、胸と胸の間にもちょっと転写するよーって言われてたんですけど。
結局、放射線治療のときの事前のCTのときに身体の臓器が肺にもちょっと被ってるし、心臓にもちょっと被ってるってことがわかって。
肺に当たることはけっこうあるみたいなんですけど、心臓に放射線が当たるっていうのは避けたいねって先生から話があって、結局胸と胸の間はなくなって、今は胸骨と鎖骨のところと左胸をメインで当ててもらってるんですけど。
もう1週間でけっこう赤くなってきてるかなって感じだったんですけど、今もう半分終えてけっこう火傷の後くらいになっていて。で、1週間に1回先生の受診があるんですけど、けっこうひどいねーって苦笑いしながら(笑)。けっこう酷いけど、でもいっちゃおうみたいな感じで(笑)。
ゆかり:酷いことに対して塗り薬とかそういうものの処方とかはないのかな?
かとちゃみ:一応塗り薬と乾燥の薬を出してくれてるんですけど、でも、んー、なんかまだジュクジュクになったりまではいってないけど、まあジュクジュクにはなってくるだろうって言われてるから。で、ここまできたらっていうところはちょっと自分の身体と相談しながらかなって思ってます。
ゆかり:そっかー。なんか、それもまったく読めないっていうか。皮膚が、わたし自分はどんな化粧品とかも大丈夫な肌が丈夫なほうって思ってるけど、そういう風に思ってたら意外と放射線では痛いことになっちゃったりみたいなこともあるかもしれないから。読めないですね、やってみないとね。
かとちゃみ:これも先生に話してて、転写してるのもわりとレベル的にはそこまで強くないんだけれども、体質とか、もともと日焼けしやすいとか吸収しやすいとかで変わってくるんだよって言われて。
「先生、これ、わたしけっこう日焼けしやすい体質やけどそれって関係あるの?」って聞いたら「あ、関係あるねー」みたいな。
ゆかり:じゃあ、わたしそうだ、まさに。午前中に水泳したら、まあラスベガスだからっていうのもあるんですけど、11時くらいに水泳したらめっちゃもう白黒みたいな線になってて(笑)。
かとちゃみ:じゃあ、もうあれですね、保湿保湿ですね。
ゆかり:でも、保湿はあくまで先生が処方してくださったお薬をってことですよね。あまり下手に塗らないほうがいいのかな。
かとちゃみ:なんか、使える成分と使えない成分があるみたいで、身体に描いてもらうラインが消えない成分のほうがいいって言われたんで。わたしはもう病院で出してもらってるのを放射線中は塗ってます。
ゆかり:ちなみに左胸は全摘されてるじゃないですか。それでもやっぱりそこにもあてるっていうのは、なんでかって先生から聞いてます?
かとちゃみ:一応予防的なものと、私の場合はリンパ節転移がすごい数が多かったので、16個中9個の転移があったので、それはちょっと予防。再発予防っていうところが大きいですね、先生が言ってたのは。
ゆかり:乳がんの治療をすることで生活がどういう風に変わったかを聞きたかったんですけど、もともとはお仕事をされてたのを辞められたんですか?治療を始めるにあたって?
かとちゃみ:今は休職中です。
ゆかり:これはあるあるかなって思ったんですけど、上司の方との距離の保ち方って言うか、どこまでを話すかみたいなところで大変だったというかっていうお話をあげられてて。その話を聞いてもいいですか?
かとちゃみ:あ、もちろんです。これもけっこう今も実は現在進行中で。わたしの職場は、もともと直属の上司が男性ですごくいい上司で今も良くしてくれてるんですけど。
やっぱり自分がなった病気っていうのが女性特有の病気なのもあって(*男性も乳がんになる。国立がん研究センターによると乳がんの全体の1%)、なおかつなかなか身近に同じ癌患者っていうのが職場にはもちろんいないっていうのもあったので。
自分がどこまでをオープンに話していいのかっていうのと、どこまで話さないと仕事に影響するかっていうのがちょっと自分自身わからなくて。あと、その時自分自身の職場の中のキャリアっていうか立ち位置も変わるタイミングだったので、なかなか忙しくって。
で、治療との兼ね合いもあったし、もうどうしよう、どこまで話そうって。で、私自身もそこまで、これは話したくない、これは話さんどこうっていうのをあんまり考えることなく、もともとオープンに話すタイプなのでけっこう全部話してたんですよ。
そしたら、仕事以外のこと、たとえば治療のことであったり、身体のことに関しても良かれと思って相手は言ってくれてのはすごくわかるんですけど、それがだんだん自分の中で「あ、負担になってきてる。しんどいぞ」って思って。
ちょっと本社の女性の方にも相談させてもらって。で、それはプライバシーのところをちょっと踏み込みすぎてるから間に入るねってことで入ってもらって。あ、自分話をし過ぎてたんやな(笑)っていうのを後々気づいて。
ちょっと上司にも申し訳ないことをしたけど、あ、自分けっこうしんどい思いをしてたんやなーっていうのを後から気づいて。なんか全部話さんでも良かったんやみたいな。
ゆかり:じゃあ、今はちょっとワンクッションみたいな感じで人を挟んで、あまり積極的に新たに情報を伝えるっていう感じではなく距離を保ってる感じなのかな。
かとちゃみ:そうです。その直属の上司もちょっと変わって、女の方とちょっと本社の方と間を挟んでもらって。もうほんとに話さないといけない最低限のこととか業務に関わることだけを今は伝えるようにして調整はしてもらってますね。
ゆかり:ずっとお仕事をされてきて、急に乳がんってわかって急に休職みたいになって、お仕事をしない自分に対する戸惑いとか、社会から置いていかれるかなみたいなそういう感じってあったりします?
かとちゃみ:もちろんありました。なんか、わたし2023年2月1日に手術したので、だいたい先生からも手術は長くても入院期間は1週間くらいだよって言われてたから、ほな、長くても2週間経ったら仕事復帰できるかと思って。
同僚とかにも2週間で戻ってくるから待っといてーみたいな(笑)。そう言ってたんですけど、蓋を開けてみたら戻られへんやんってなって。そんで、もうずっとそっから長期的に休みをもらって。
で、最初は会社内のチャットとかも携帯で見られるからちょっとずつ情報とかもどんな感じで動いてるんやろって見ててたけど、よくよく考えたら休職中やし、治療してるし、そんな仕事のこととか考えてる余裕ないわと思って。もう途中で、見るのをやめました。
ゆかり:今は治療に専念する期間ってことで。
かとちゃみさんは、インスタは前からやられてるけども、実際周囲にいらっしゃる方に対しては比較的最近になって乳がんになって治療されてるってことをオープンにした感じなのかな?
かとちゃみ:えっと、自分の本当のインスタのアカウントで繋がってる友達にはほんとにそれこそ2023年8月くらいに言ったんですけど。本当に仲良い友達には結婚式で伝えていて。
それこそ、結婚式で言うのもどうしようかなってずっと考えてて、親とか旦那もそうですけど相談してて。せっかく来てくれてめでたい席で、今後長く付き合うであろう友達に黙っておくのもなんか「え、そんなんなんで黙ってたん」とか絶対言ってくる友達っていうのはわかってるから。
それやったら、あとあとお互いに気まずくなって「なんで言ってくれんかったの」ってなるよりも、今ちゃんと伝えてがんばってなーって後押ししてくれるほうが自分のためになるなと思って。
そこで言ってた友達はけっこういてたので、そこのちょっと2段階に分けてっていうのはありますね。
ゆかり:乳がん専用のインスタは、治療を始めるくらいに新たに作ったのかな?
かとちゃみ:そうです、今作ってる乳がんのアカウントは手術が終わってからですね。
ゆかり:やっぱり同じ治療に向き合う人と繋がって情報交換したいなみたいなそういうところからだったのかな?
かとちゃみ:そうですそうです。それももちろんありますし、同じ世代、私たちの世代ってAYA世代っていうじゃないですか。AYA世代で治療を受けてる方っていうのはリアルに周りにはまだまだいなくって。
で、インスタを開いてみれば、けっこう年が近かったりとかっていうAYA世代の方がたくさんいてて、それがすごい衝撃で。こんなにいてんのみたいん。すごいなと思って。最初はわたしもこれみんな嘘ついてんのちゃうやろなと思って(笑)。
ゆかり:偽アカウントみたいな(笑)。
かとちゃみ:そうそうそう(笑)。こんなにみんな治療がんばってはるんやと思って。それはすごく自分の中で救われたのはあって。
ゆかり:あと、かとちゃみさんはがん患者専門の相談窓口みたいなのを活用されてるって。それはかとちゃみさんが通われてる病院がたまたまそういう仕組みがあるってことなのかな?
かとちゃみ:そうだと思います。わたしの病院は古い病院なんですけど、がん専門の看護師さん、認定看護師さんっていうのが在籍してて。
で、一番最初に紹介状を書いてもらった大きい病院に行って、その時は乳がんって告知を受けてる段階だったので、その時に一番最初に看護師さんに繋いでもらって、これからの治療のこととか、それこそ妊孕性のこととか。乳房再建のこととか、抗がん剤ってなったらウィッグのこととかお金のこととか。
先生との間に入ってくれて、間接的な役割をしてくれる看護師さんが一人いてくれはって。で、まだまだ全然治療の先が見えない状態だったときに、いろいろ不安なこととか話を聞いてくれたりとかしてる看護師さんを一人担当に当ててもらったのと。
で、それこそ手術する前に臨床心理室の心理士さんともちょっと繋がるタイミングがあって。今は治療もだいぶ放射線っていうところで落ち着いてるので、月に一回心理士さんとカウンセリングってことで設けてもらってますね。
ゆかり:なんかあれですね、家族でもないし、先生とかでもないまた別の第三者的な存在がいると、逆にオープンになれたりとかありそう。
かとちゃみ:そうそう、そのカウンセリングも本来であれば自分がダメだ、もうしんどいって思う時にいつも予約入れてたんですけど、すんません、カウンセリング受けさせてください〜って。
でも、それってなんかもう終わった後やから、けっこう自分なりにはスッキリしてるんですよ。じゃなくって、やばくなる前にカウンセリング受けようって思って、やばくなる前っていうのはけっこう自分自身の性格的に掴みづらい、私自身がまだまだ傾向を掴めてないところもあるので。
あ、それやったら定期的に受けようって思って。別に何もなくても話そうと思って、今は月に1回心理士さんと話してるんですけど。自分の病気のことだったり、それ以外のお仕事のこととか。でも、やっぱり毎回泣きますね(笑)。泣く泣く。で、すっきりして帰ります。
ゆかり:でも、それだけ包み隠さず全部出すことができてるってことですね。
かとちゃみ:そうだと思います。
ゆかり:そっかそっか。だから、そういう仕組みがあるのかどうか、もちろん病院によるんだけども、調べてみるのはありですよね、皆さんね。
かとちゃみ:そうですね、ぜひ。なかなか先生に言いたいこととか聞きたいこととかって時間も限られてるし、何を聞けばいいのかっていうのも最初のうちってわからないじゃないですか。
そういうことを病院側から、こういうものがあるよっていうのを教えてくれる病院だったらいいですけど、なかなか自分から情報っていうものを調べていかないとっていうところもあるので。
ほんとに病院のサービス?っていったらあれですけど、病院の使えるものはとことん使いこなして(笑)。使えるものは使って。そのほうが、自分の治療の役立つっていうのは身に染みてわたしが実感してるので。使えるものは使ってって感じで(笑)。
ゆかり:使わない手はないですね。
乳がんになられて、治療も放射線まできていて、なんだろう人生観っていうのかな、日々の生き方とか生活への向き合い方みたいなところって自分はこう変わったなとかっていう点はありますか?
かとちゃみ:そうですね。わたし乳がん以外にも実は20歳のときに蜘蛛膜下出血っていう大きな病気をしてて。で、それは今もう経過観察で予後もよくって社会復帰もできてる状態まで回復できてるのですごくありがたいんですけど。
でも、やっぱりなんだろうな、去年乳がんになって、大きな病気をしたとしてもやっぱり日々の生活に戻っていくと忘れるんですよね。
ゆかり:わかる(笑)。
かとちゃみ:あ、気つけなあかんな食事もとか、あ、今日ははや寝なあかんのにこんな遅くまで起きてって思うけど。
自分が健康になっていくっていうのはすごくありがたいんですけど、健康になればなるほど気つけなあかんもんも忘れてるわってなるから、なんかそこはすごく今回あんたもっと気つけやみたいな気付かされたっていうのもすごくある。
ゆかり:わかります。そうですよね。わたしだったら、子どもと一緒にいてなんて幸せなんだろうって思うことがあって、この瞬間があることがすごくありがたいって思うときもあれば、もうイライラして早くして!みたいになる時もあるし。そこを忘れないでいたいなとは思うんですけど(笑)。
なんだろう、乳がんになったことについて、わたしのことで言えば、まあどっかでこれはどこかのタイミングでそうなるはずだったんだなっていうのがあって。
別に不健康な生活をしてたわけじゃないけど、決して健康とか精神面でもそんなに自分のケアをしてきてなかったので、そういうツケが回ってきたのかなっていうのが私個人的にはあって。
かとちゃみさんは、ご自身が乳がんになられたことに関して最初どういう風に捉えてて、それはその後変わりましたか?
かとちゃみ:どうやろう。でも、そうやんな、なんかその時をそれこそ、当時の自分の生活を振り返ってみたら、もちろん結婚式前っていうのもあったし、仕事もしてたし、毎日のようにジムに行って帰ってくるのもそれこそ遅い時で11時とか。
で、そこから旦那と一緒に軽くご飯食べてとかっていう生活を送ってたので。そりゃ、不健康やわなみたいな(笑)。
なんかこうバタバタしてるほうがけっこう私自身楽しいしワクワクするっていう人なんですけど、でも、バタバタし過ぎてたんかなっていうのはあって(笑)。ちょっと休もうやっていうのがけっこう乳がんで気付かされたっていうか。
なんかこう、それこそ頑張って頑張って、仕事もそうですけど無理して頑張って、いけるよ、大丈夫だよっていうのをどことなく、体力もあるし自信もあって動いてたっていうのもあったけど、自分の身体は動いてるけど自分の心が無理してんでーっていうところのサインまでなかなか気づけてなかったなっていうのはあって。
今もちょっとずつ身体も動くようになって、毎日放射線には行ってるけどそれ以外のスケジュールとか予定とかもちょっとずつ増やしていけたらいいなーって思ってる。
でもそこも無理せず、身体は良くなってるけど自分の気持ちどうやろなって。これ行って自分疲れへん?大丈夫?みたいなことはちょっと問いかけるようになったかな(笑)。
ゆかり:そっかそっか。最後に、これから乳がんの治療に向き合いますよって言う女性に、かとちゃみさんから伝えたいこととか、伝えてあげられることはありますか?
かとちゃみ:そうですね。うーん。伝えてあげられること。
なんか、もちろん皆さんそれぞれ治療方法とか今の状況とか副作用とか環境とかって異なってくるので、一概にこれが当てはまるってことはもしかしてないかもしれないですけど、でもほんとになんだろう、治してやるぞっていう気持ちだけは捨てないでほしいなって思いますね。
わたしも治療中ですけど、もちろんアップダウンした日々を送ってるので、そこはこれからも続いていくのかなって思うんですけど。
でもその中でも絶対治すから大丈夫やでって、待っとけよってぐらいの気持ちをちょっとずつちょっとずつ、乳がんになったすぐは持てないと思うので。持てるような環境作りであったりとか、っていうのをこう持ってもらえたら大丈夫やでっていうのは。
自ずと自分の気持ちを奮い立たせるじゃないですけど。
ゆかり:そうですね。これに関しては、根拠のない自信が大事な気がします(笑)。
かとちゃみ:そうですそうです。それ大事です、うん。まさにそれ。
ゆかり:なんの根拠もないけれど、きっと大丈夫っていう。それが根底にあれば。
かとちゃみ:そう。それの繰り返しかなって。どんなことがあっても。
ゆかり:そう、かとちゃみさんはインスタのきょうこさんと一緒にお話会をされてらっしゃるんですよね。今は月2回やられてるっていうので、前回ポッドキャスト でお話したのがきょうこさんだったので、その話もしてるんで。
乳がんの治療に同じ向き合ってる仲間とお話したい、繋がりたいみたいな方は、かとちゃみさんときょうこさん主催のお話会にぜひ参加すると良いかと思いますね。
かとちゃみ:ぜひぜひぜひ、お待ちしております。毎回毎回メンバーが変わって、リピートの人も増えてくれて。
ゆかり:場所を問わず参加できるし、時間帯もけっこういろんな時間帯にやられるってことだったのできっと参加できる枠もありそうだし。
かとちゃみ:お待ちしてます。
ゆかり:今回は、大阪在住のかとちゃみさんがゲストでした。ありがとうございます。
かとちゃみ:はーい、ありがとうございましたー。
ゆかり:ばいばーい。
かとちゃみ:はーい、ばいばーい。
Comments